表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/133

第5話 あれが盗賊集団の親玉?

「へっ、へっ、へっ......こんな所に隠れてやがったぜ。オリバー、でかしたぞ!」


なんとブルートの奴は、イバンの髪の毛を掴んで奥から引き摺り出して来てるじゃないか! 


「ちょっとブルートさん、そんな乱暴に扱わなくても......相手は子供なんだから」


誰がそんなブルートを諌めたかと思えば、一緒に付いてきた小柄な自警団だった。


「うるせー、チョビ! 弱っちいくせにテメーは黙ってろ!」


「弱っちいだって?!......くっそう......」


やっぱ弱っちかったんだろう。いきり立っては見たものの、黙ってろと言われて直ぐに黙ってしまった。


「お、お父さん......」


「イ、イバンッ!」


俺がなだれ込んで来た事に気付いたその者は、やがてゆっくりと振り返った。そして剣を握る俺の目をじっと見詰め、静かに語り始める。


「よしっ、相手になってやろう」


気付けばその者は、壁に飾ってあった剣を手に取っている。素手には素手、剣には剣......きっとそんなとこなんだろう。


それにしても不思議だ......つい今しがたまでは全く俺を相手にしてなかったこいつが、何で急に俺と戦う気になったんだ? お前達の狙いはこの『悪の親玉』イバンじゃ無かったのか? 何かこいつ企んでるな......


でもまぁ、いいだろう.。一騎討ちはこっちから望んだ事だ。よくは分からんが、とにかくやってやる!


やがて、


ジリッ、ジリッ......


俺がジワジワと間合いを詰めて行くと、


ジリッ、ジリッ......


その者も間合いを詰めて来る。


スタスタッ......


俺が西の方角へ摺り足を見せると、


スタスタッ......


その者も西へと移動する。


距離にして凡そ2メートル......踏み込んで行くにはちょうどいい距離だ。この後、どちらかが1歩踏み込んだら、その時が死闘の始まりとなるであろうに。ところが、いざ対峙してみると......


その構えには全く隙が無かった。無闇に踏み込んだりしたら、真っ先に切り落とされちまうだろう。進むべきか、それとも、待つべきか......


俺が取るべき行動を決めかねているうちにも、いきなり戦いのゴングは鳴り響いたのである。きっと痺れを切らしたんだろう。


「ふんっ!」


その者は突然、剣を上から振り下ろして来た。それはあまりに正攻法であり、そしてその振りはあまりに大きかった。まるで自分の攻撃を剣で避けろと言わんばかりの大振りだ。


「くそっ!」


俺は咄嗟に剣を前に差し出し、バキッ! その攻撃を剣で防いだ。それで自ずと力比べが始まった訳である。ギギッ、ギギギギッ!......剣と剣がぶつかり合い、軋む不気味な音が村役場中に響き渡っていった。


その時、俺の真っ赤に火照った顔の10センチ先には、その者のクールな顔が......そしてなんと! その者は静かに語ったのである。それはまるで、親友と話すような口調だった。


「あれが盗賊集団の親玉? ただの子供じゃねぇか」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ