表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/133

第3話 意外だった......

正直俺は、伝令が夢でも見てるのか? って思った。だって有り得んだろう......うちの兵士達だって別に『かかし』じゃ無い。その名の通り『兵士』だ。剣、槍、矛などなど......立派に武器だって持ってる。そんな重装備の兵士達を素手で投げ飛ばしてるだって?!


タッ、タッ、タッ......気付けば一目散に階段を掛け上がってた。百聞は一見に如かず......それが一番早いと思ったからだ。それで、ギー......村役場の扉を開けてみると、俺は思わず目を見開いてしまった。


「こっ、これは?!」


なんと! この村の兵士達が揃いも揃って皆ぶっ倒れてるじゃないか。腹を押さえてうずくまっている者、顔が大きく腫れらせて泡を吹いてる者、そして、股関を押さえて白目を剥いてる者......打撃を受けた場所は様々だ。


この時、俺はある事に気付いた。それは明らかに『自警団』特有の殺戮を目的とした戦い方じゃ無いって事。戦力さえ失わせればそれでいい......そんな戦い方だ。


では一体誰がそんな戦い方を?......俺はゆっくりと顔を上げ、周囲を見渡した。すると......ヒタヒタヒタ。立ち上がる砂煙の中から、1人の若者の姿が浮かび上がって来る。こいつか?! 俺の目がそいつの姿を視界に捕らえたその時だった。


「ジャックが居たぞ!」


「たたっ殺せ!」


ダダダダダッ......

ダダダダダッ......


東西南北、四方八方から虫ケラ共が涌き出て来たじゃねぇか! 全く......懲りない奴らだ......


「死ねや!」


グサッ......


「うっ!」


「あの世で後悔せいっ!」


ザクッ......


「ひぇっ!」


............


............


............


正直、ザコなど何匹居たところで俺の敵じゃ無い。蹴散らすのに、息1つ乱れやしなかった。剣を血で汚す事にいい加減飽きた俺は、


「ザコ共は引っ込んでろ! 親玉はどいつだ? 俺と一騎討ちでケリを付けようじゃねぇか?!」


そんな風に叫んでみた。あちこちで火の手が上がってるし、これ以上戦いを長引かせたくも無かった。それで何より、素手で戦うその者と是非お手合わせしたい......そんな武士特有とも言える欲求がうずいた事も事実だ。


すると......砂煙の中から現れた若者は、余裕の薄笑いを浮かべながら、ただ一言。


「あんたが、親玉のイバンか?」


ん、こいつ何言ってんだ? 俺の事を知らないのか? そう言えば......初めて見る顔だな。新入りか......全く、飛んでも無い奴を自警団は入れたもんだ。


「俺の名はジャック! 貴様ら自警団の『悪』を滅ぼす為に俺は生まれて来た。この先へは一歩も通さん。潔く俺と勝負しろ!」


自警団の狙いは、我が息子イバンである事は最初っから分かってる。美青年を捕まえては、内陸の強権者達に売りさばいてるって聞いたぞ。そんな事には絶対させん!


イバンを守る為には、ここでこの若者を倒す以外に道は無かった。強者ならば、一騎討ちを挑まれて断れる筈が無い......そう思って俺は、敢えて大勢の前で宣戦布告をした訳なのだが......


「自警団が『悪』だと?......」


その者は思わぬ所に食い付いて来た。正直、意外だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ