第11話 悪魔の化身?!
そして最後(4ブロック目)
そこに描かれた壁画は実に衝撃的! 燃え盛る炎......崩れ落ちる家屋。そんな地獄絵図の中で逃げ惑う人々を、人間ならざる者達が無数の槍で突き刺している。その姿は正に悪魔の化身。そしてなんと......身体の特徴が、今腕の中でスヤスヤ眠る健気な赤ちゃんと酷似していた。
「バーバ様! この壁画は一体......」
「過去に起きていた事なのか? それとも現在起きている事なのか? それとも未来を予言している事なのか? リラはどう思うかのう?」
「私の知る限り、過去にこのような惨事が起きたと言う話は聞いた事が有りません。また今現在も同様に起きておりません。
ならば、残るは未来と言う事になるのですが、私が思うに、これは未来を予言したものでは無く、むしろ私達に対する『忠告』なのでは無いでしょうか?」
それが正解かどうかなんて分かりはしない。ただ私は、思った事をそのまま口にしてみただけだ。正直、あてずっぽだ。
すると意外や意外。なんとバーバ様は、驚きの表情を浮かべているではないか。一体、どうしたって言うんだろう?
「まだ子供だと思っていたのじゃが......いつの間に成長しおってからに......」
バーバ様は感心仕切り......どうやら的外れな事を言った訳では無かったようだ。ちょっと、ホッとする。
調子に乗った私は、更に饒舌になってしまった。生意気かな? などとは思ったけど、止まらなかった。
「この壁画群には体躯の異なる2種類の『人間』が登場しています。私達......それとこの赤ちゃんです。
最初、両者は互いの存在に気付いていません。そして気付いた途端に触れ合っています。
結果として、両者の数が一気に増え、気付けば異なる体躯の人達が『悪魔の化身』となって私達を殺しています。
つまり、異なる2種類の人間は、互いに触れ合ってはいけない。触れ合わない為には、互いの存在を知ってはいけない。
この壁画は、そんな事を私達に伝えようとしているのでは無いでしょうか?」
するとバーバ様は、
「なんだ面白くない......少しはワシにも話させて欲しかったわい」
不満タラタラな表情だ。
「やったぁ、バーバ様に誉められた! あら、私の赤ちゃんも笑ってる。あなたも喜んでくれてるのね。ア・リ・ガ・ト。うふふ......」
そんな私の様子を見ていたバーバ様は、突然怖い顔して、怖い事を言い出したのです。
「だから、分かるな?」
「何をですか?」
「この子を殺さねばならぬ!」
「バーバ様! 私この子を育てます。もう決めました!」