表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/133

第3話 足を踏み入れてた

「ま、参った......か、勘弁してくれ!」



気付けば誰1人として、俺に立ち向かう者は居なくなってた。正直、あんまし戦ってる時の記憶は残って無いんだけど、みんなぶっ倒れてる所を見ると、間違い無く俺がボコッたんだろう。



「いててて......」


「歯が折れた......」


「鼻が潰れた......」


「もう立てん......」 



「大丈夫か? ほれ」


無意識のうちに、俺は傷付いたこいつらに手を差し伸べてた。元々、傷付ける事が目的じゃ無かったし、悔い改めて貰えばそれでいい話だ。そう考えると、当然の行動だったんじゃ無かろうか......



「オメー......強え~な......」


きっとこいつがリーダーなんだろう。素直に負けを認めるところが、妙に潔く感じるわ。



「まぁ......海でサメとクジラと戦って来たばかりからな」


「海だって?! お前、どこからやって来たんだ?」


「あそこだ」



俺は遥か遠く、モヤに霞んだ大陸を指差した。もちろん『オリーブ大陸』だ。



「な、な、な、何だと?! お、お前ら聞いたか?!」


「あの大陸からやって来たのか?!」


「この大海原を渡って?!」



気付けば俺は羨望の眼差しで見詰められてる。なんだか、刺激が強過ぎたみたいだな......言わん方が良かったかも? でも、もう言ってしまった。後戻りは出来ん。



「ま、まぁな......」



でも、ちょっと後悔した。



「よし、立ち話もなんだ。俺達の『砦』に来てゆっくり話を聞かせてくれ。歓迎するぞ」


「『砦』って......あんたら一体何者なんだ?」


「おお言い忘れてたな、俺達はこの『ポパイ大陸』の自警団。俺は『頭』のブルートだ。覚えといてくれ」


『自警団』?......って事は、この大陸を守ってるって事?......だったら悪い奴らじゃ無いって事か......まぁ、いいだろう。


「俺はオリバー。ただのよそ者だ」



打ち解けてんのか? 打ち解けて無いのか? よくは分からないが、このブルートって名の『頭』は、馴れ馴れしく俺の肩に手を回してやがる。すっかり『マブダチ』扱いだ。まぁ、行く所も無いし、ここは素直に付いてくしか無かろう......



海岸線を見詰めてみると、俺を背に乗せてくれたイルカ君が、心配そうな顔をして、こっちを見てくれてる。『ありがとな、心配すんな』って気持ちを込めて手を振ると、イルカ君達は安心した顔を見せて静かに海へと戻って行った。


多分、こいつらはもう君らを襲わないよ......安心して泳ぎまくってくれ......まぁ、そこまで俺の気持ちが伝わったかどうかは分からないけどね。


そんな調子で......いつの間に俺は、彼らの『砦』に足を踏み入れていたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ