星灬
――私はお姉ちゃんを探す為に生きている。
いつからかぼんやりとしていて、はっきりとしなくて――でも、”お姉ちゃんを見つけなくちゃいけない”っていう意識はとても強く、他の誰よりも強く、持っていました。
お姉ちゃんと言っても、私にはお姉ちゃん自体は4人いて、その中で一番歳が上のお姉ちゃんを探しています。
二番目のお姉ちゃんは誰にでも優しくて、裏表がなくて、――とっても良い人です。優しくはして貰えるんですけど、特別仲良くはなれなくて、好きだけどそれ以上好きにはなれない。
三番目のお姉ちゃんは・・・私に消えて欲しいと思っているようです。何度も殺されかけました。
四番目のお姉ちゃんは私のことが見えないみたいで、私がいくら話しかけても気が付いて貰えません。
そんなお姉ちゃん達なので、私は一番上のお姉ちゃんが一番好きです。
それなのに、一瞬目を閉じた間にすっと居なくなっていて――
それ以来お姉ちゃんとは会えていません。
お姉ちゃんが居るとしたら、それは遠い海の向こうだと私は思います。
――なぜかって?
ここは島で、ここを出るにはお船で航海する必要があるのです。
だから、私もお姉ちゃんを追いかける為に海へ出ようと思います。
船は手に入れたし、船の操縦も出来るようになりました。
――居心地の悪いこの島を出て、お姉ちゃんに会いに行ける。
そんなことを考えて、足取りがとっても軽くなります。
そんなわけで楽しみなので、さっさと出航させました。
ちょうど島が小指ほどに小さくなった頃、
――船が溶けていきました。
息が、苦しくて、戻しそう。
頭がちかちかする、ぼうっとする、吐く。
周り一帯の空気はどろっとしていて、私の正気を掴みとって去っていきます。
船はもうすっかりと固形を失い、ねばねばと広がり、海の区別がもうありません。
私の足元から、じゅっという音を立てて煙が上がりました。
痛みを感じる間もなく、瞬く間に私の全身は海に包まれていきました。
ひたすら頭を揺らされて、不定期に喉元を金槌で叩かれているような感覚があり、気を抜くと足や腰、脇腹などを、足の沢山ある虫が大量に這い出します。
視界は点滅を繰り返し、頭や目に痛みを伴うほどに眩しいです。
暗くなったときは、眼球を引っ張られて取れそうになり、臓器を持ち上げられて、落とされます。
私は、沈んでいきました。
沈みながら、私はそこでお姉ちゃんの欠片を見つけて――
意識が遠のいていく中、最後に理解、しました。
お姉ちゃんの居場所