プロローグ
短いですand僕、初心者ですので長い目で見て頂けると幸いです
あの日、あの時、俺は逃げていた。
「はあはあ……もう嫌だ。もう、疲れたよ……何で、なんだよ……俺は、俺は何もしていないじゃないかぁ!?」
何故? 何故何もしていない俺が殺されそうにならなければならない。
何故、この国を想って行動していた俺が追っ手から逃げている?
もう嫌だ。なんで、こんな暗いところに1人でいないといけない?
何もかもが嫌になってくる。こんな所に追い詰めたアイツらも、こんなことになった世界も。
俺はそう思いながら、この暗く、寒い場所で1人孤独に隠れていた。たびたび聞こえてくる鎧の擦れる音を聞きながら、そして、聞こえる度にビクビクと震えながら……
そんな時間が何時間も何時間も続き、何度も何度も絶対的な絶望を抱きそうになった。
もう、自分ではどれほどの時間が経ったのかすらも分からない1日か、それともまだ1時間か……もう、いいのではないか? もう十分だろう?ここで死ねば楽になる。……そう何度思ったかしれない。
「誰か、頼む、お願いだ……助けてくれ……」
だが、それでもまだ生きたいと、そう願い、そう呟いた時だった。
「誰かいるのですか?」
俺が運命の人と出会ったのは。
〜★〜
「どうしたのですか? そのような所でボーッとするなんて、アルにしては珍しいですね」
そう言って俺の運命の人……いや、子爵家の娘、ヒルダお嬢様が覗き込むように俺の顔を見てきた。
「……いえ、私がお嬢様に拾っていただいたときのことを思い出しておりました。……申し訳ございません」
「いえ、いいのです。別にアルを責めたわけではありませんから。……それとあの時のことですか。確か、あの日は雨が降っていたときでしたね」
「ええ」
そう、2人して遠い目をしながらあの日のことを思い出していたが、俺がふと自分の腕時計を見るともう約束の時間になっていたためこの時を口惜しく思いながらもお嬢様に言うことにした。
「お嬢様。そろそろ王城に行く時間でございます」
「あら、もうそのような時間なのですね。……分かりました。では、そろそろ行きましょうか、アル」
「はい」
そう言って歩き出そうとしたお嬢様が急に立ち止まってこちらを振り向いた。そのはずみにお嬢様の金色の髪が揺れた。
……天使か?ここには天使がいるのか?
「……と、まずは馬車を呼ばないといけませんね」
「もう家の前に呼んでおります」
「では服を……」
「今日の服はこちらでどうでしょう?」
「では朝ご飯を……」
「もう出来上がっております。出来立てホヤホヤですよ」
「……ねえ、少し行動が早すぎませんか?」
何かお嬢様が俺にジトッとした視線を送ってくる。
馬鹿な、お嬢様のご用意を最優先に、そしていち早くするのは当たり前のことではないか!!!!
「当たり前です。私はお嬢様の為なら例え火の中、水の中でも躊躇することなく何でも致します」
「……アル。たまには自分の好きなことをしても良いのですよ?」
「お嬢様にご奉仕するのが私の最大の喜びでございます」
俺はそう即答した。
だが、そんな俺にもたった1つの秘密がある。
「はあ、分かりました。もういいです。では、王城に向かいましょうか。今日は行方不明になった第1王子についての会議らしいので早く行きましょう」
「はい」
それは……俺がその行方不明の第1王子だということだ。
〜★〜
「お嬢様、着きましたよ」
「ええ」
「では、お手を」
俺はお嬢様の尊いお手をを触れるという喜びを噛み締めながらそう言った。
「では行きましょうか」
「はい」
そう言って歩き出した時である。ヤツが現れたのは……
「おお、ヒルダではないか。どうだ?俺様の婚約者になることに賛成してくれたか?」
そう言って赤髪の背の高い伯爵家の嫡男がやってきた。
「大変嬉しい事ではございますが、今はそのような時ではございませんので。本当に申し訳ございません」
「まあまあそう言うなよ」
お嬢様がやんわりと断っているのに、まるで聞こえていないといったようにしながら男がお嬢様の肩に手を触れようとしたとき、俺の頭の何かがブチッと音を立てて切れたような気がした。
「申し訳ありませんが、時間がおしておりますのでやめていただきましょう」
汚ねえ手でお嬢様に触んな。
俺はお嬢様と男の間に瞬時に立ち、男の手を音が鳴るほどに思いっきり握ってから睨んだ。
「いでっ!? おい!やめっ、やめろっ!!!無礼だぞっ!……いっ!?」
こいつ、調子に乗りすぎだな。 やはり、ここで始末しておくべきか……?
「……アル、やめなさい。無礼ですよ」
「ですがお嬢様……」
「アル。私はやめなさいと言ったのですよ?」
「……はい」
「申し訳ありません。あとでこの者にはキツくいっておきますので、どうかご容赦のほどを」
なっ、お嬢様よりいくら位が高いといったってこんなヤツにそこまでする必要は……しかし、これ以上お嬢様の顔に泥をなるわけにはいかないっ……くっ、命拾いしたなクソ野郎。
「チッ」
「おい!? 待てヒルダ!お前のところの執事がこの俺様に向かって舌打ちしやがったぞ!?」
「そのような事実は一切ありませんよ?」
「事実しかねぇだろうがっ!?」
「……はあ、アル。今のは私にも聞こえていましたよ」
何故だ、何故お嬢様が溜息を……解せん。
……分かったぞ、原因はこの赤毛だな。よし殺すか
ボギッ
「いでっ!?」
「アルッ!?」
そしてこの後俺はお嬢様にしこたま怒られたが先程の音がなんだったのかは伏せておくことにしよう……
ちなみに全治二週間のようだ……プッ、ざまあ
怒られても全く反省しない男であった。
まあ、少し"お願い”をしてきたからちょっかいを出してくることはないだろう。……それでも出してきたときは、ねえ?
などと怖いことを考える男でもあった。
次回、執事やらかすand説明回
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