表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔帝  作者: 松本 力
魔馬車
9/192

魔馬車 9

 隊員達がまた、雑草を刈り取る様に殺される。


「逃げろ」


 薄れ行く意識の中で叫んだつもりだったが、声は弱過ぎ、届かない。

虐殺は淡々と行われた。


 オデュセウス以外の全員を殺すと、再び巨人はオデュセウスの前に立った。

息を切らした様子すらない。


「いずれ逢おう」


 オデュセウスは、そこで途切れた。


  ***


 オデュセウスは、自分がだだっ広く暗いホールにいるのに気付いた。

妙に視点が高い。


「よしよし、滞りなく動き出したな。

 上出来じゃ。

 しかしまさかあの忌々しい魔封じめが現れるとはの。

 誰の差し金なのやら」


 聞き覚えのある、薄気味悪い声だ。

足元の随分下の方で聞こえる。


「オデュセウスよ、良い作品に仕上っておるぞ。

 何せ二日で大陸を横切れる様に作ったからのぅ。

 今のお前さんならあの忌々しい魔封じをも踏みつぶせるだろうさ。

 わくわくするじゃろう?」


 オデュセウスの目に飛び込んできたのは、いつかの夜現れた黒い影だった。

あの時と同じ無数の怨霊が、影を中心に激しく渦巻いている。

ただ違うのは、今そこにいる影は、どうやら実体を持っているということだった。


「何故俺に付きまとう?」


オデュセウスは尋ねた。

言葉は音ではなく、別な何かで伝わっているらしかった。


「大陸最強との呼び声高い騎兵隊の隊長こそ、この作品の魂に相応しかろうと思ったのさ。

 早く死ぬのを楽しみにしておったのじゃ。

 今のところ残念ながら、身体が死なぬと魂を採取できんからのうぅひひひ」


 オデュセウスは例え様のない粘つく様な怒りを感じた。

この影の化け物は、命を自分の遊び道具にしている。


 オデュセウスは飛掛かろうとした。

その時初めて自分の身体の異変に気付いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ