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魔帝  作者: 松本 力
魔馬車
6/192

魔馬車 6

 オデュセウスの隊は、全員軽めの鎧をまとい、矢よけの大きい盾を抱える。

槍は持たず、背中に剣を背負う。

そして馬上凛然と対岸を見据えていた。


「今日の一戦、進むも死、退くも死である。

 逃げたきものは構わぬ、今ここで去るがいい」


 隊員達は誰も身じろぎ一つしない。


「よくぞ覚悟した。

 では我らこれより修羅に入る」


 やがて狼煙が上がった。

対岸の上流側で、馬蹄の音がばらばらと聞こえた。


「進め!」


 川面に漂う朝もやを吹き払うかのような怒号を放つ。

オデュセウスの先鋒隊は、盾を構え、刹那の戸惑いもなく渡河を開始した。

川は馬の腹辺りまでの深さで、思う様に進まない。

そうこうするうちに対岸から矢がバラバラと降ってきた。

多くは盾で防がれるが、対岸の奇襲部隊が制圧されつつあるのか、次第に矢の数が増えてきた。

半ばまで川を渡った所でオデュセウスは、


「まずいか」


と思った。


 その時対岸で騒ぎが起こった。

第二の奇襲部隊が攻め入ったらしい。

矢の数が減り、歩みが速くなった。

折よく川が浅くなる。

オデュセウスの隊は、水飛沫を壁の様に上げながら突き進んだ。


「続け!」


 オデュセウスは盾を捨て、背中の剣を抜き払った。


 止らない。


 はやてのようにバルダ軍の守備隊に突っ込み、次々と血の噴水を作った。


「奴はオデュセウス!

 討取れば褒美は思うがままぞ!」


「怯むな! 止めよ!」


 敵方の将が叫んでいるらしい。

オデュセウスはそちらに馬を返した。

混乱したバルダ陣は、彼が進めばなますの様に裂けた。

やがて敵将の姿を捉えた。


 オデュセウスは魔人の叫びを上げた。

敵将との距離が瞬く間に詰まる。

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