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魔帝  作者: 松本 力
ソルドの墓
192/192

ドバイルの戦争 1

 バザに程近い場所に、空洞の地下建造物が作られ、そこで巨大な何かが作られている。

これはマイクラ・シテアが、その魔導の力と、千程度の魔物を使って作っている物だ。

バザは聖地だが、それは同時に強力な魔の力場でもある。

トルキスタ大聖堂も、ガラシェも、マルゴーも同じだが、元々彼はよくバザかマルゴーを拠点にしており、今回もやはりバザを選んだ。


 魔導師は、以前よりさらに凶悪で不吉で、すでに実体があるのかどうかわからない様になっていた。

その手には常に禍々しい形の杖が握られ、それが彼の魔力をさらに増幅していた。


 杖には、その先端近くに、地獄のマグマのように赤く渦巻き輝く宝玉が埋め込まれている。

それには、ある男の魂が格納されている。


 ザーグ砦に、バルダ王国に、その人ありと唱われた名将ドバイルである。


「随分、大規模ですね」


 杖は、魔導師に言った。


「そう、巨大じゃ。

 そしてこの船が、わしをこの地上の支配者たらしめ、そして魔界をも手に入れる、究極の力となる。

 その力は」


 魔導師は、喉の奥でゴロゴロと笑った。


「冥王をも凌ぐ、不死王への礎となる。

 またこの力は、魔界門をこじ開けるじゃろうぅひひひひゃひゃ」


 杖は黙って、魔導師が笑い終わるのを待った。

杖は常に穏やかで、魔導師相手でもその態度を一度も崩したことがない。


「これが、空飛ぶ船ですか。

 私の想像よりも、遥かに凄まじいですね」


 その船は、あるいは船と呼べないかもしれない、極めて禍々しい代物だった。

全体が黒か紫で、所々金色。

蛍光色に光る場所もある。

それらは脈打ち、時には赤く光る。

血管のようなものが浮き出て、筋肉のような物もありそうだ。

全体が鱗で覆われ、その鱗一つ一つに目が付いている。

時おりそれは唸り声を上げ、明らかに生きていた。


「こやつは人間どもの魂を餌に生きておる。

 まだまだ赤子じゃが、完成した暁には、空を覆う巨大な生ける船となるじゃろう。

 あの魔馬車を越える、最高傑作じゃ」

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