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魔帝  作者: 松本 力
ソルドの墓
183/192

ソルドの墓 2

「マルゴーはね、その歴史を誰も知らないんだ」


 連日の馬車移動で、ローブはすっかりばてていた。

シ・ルシオンは涼しい顔だが、ローブはあくまでもただのはみ出し者の僧侶に過ぎない。

非常識な速度で悪路を駆ける馬車の揺れに、そう耐えられるものではなかった。

だがそれでも、彼はマルゴーに到着早々、瓦礫となった中心部をよたよたと歩いて、探索するのだった。


「おかしいと思わないか?

 この辺りは、人があまり立ち入ることがない。

 その証拠に、周りにはまったく民家がないだろう?

 だから、ここは何か理由があって、わざわざ作った遺跡なんだ。

 でも、一切の記述が存在しない。

 存在はね、知られてるんだ。

 百年ほど前には冒険家がここを見つけたし、まやかし師たちはここが、強い力場だと言ってる。

 だからマイクラ・シテアも、ここを利用して魔馬車を作ったんだろう。

 だが、本来の目的とか、建てられた経緯とかが、まったくわからなかった」


 ローブとシ・ルシオンはゆっくりと、破壊されてしまった遺跡を歩き回る。

何か手掛かりはないかと目をそこかしこに向けるが、特にこれといったものはない。


「でも今は、よくわかる。

 ここは、大賢者ソルドが建てたものであり、重大な何かを封印するための場所だった。

 もっと言うなら、五つの聖地のうち、四つ目の場所だ」


 オデュセウスが破壊した建物の周りには、それを囲むように五つ小さな建物がある。

玄武岩のブロックでできていて、扉はない。

それぞれに入って中を確かめるが、小さな一部屋で、宗教らしく中央に灯籠があるだけで、他は多少のがらくたしかない。


「火でも点けてみるか」


 枯れ枝などを集めてそれぞれの建物の灯籠に火を点けてみるが、何も起こらない。


「ま、そんなことは、誰でもするさ」


 彼らは再び中央の建物に戻る。

瓦礫の下を覗いたり、石張りの床を踏みつけたりしてみるが、何も起こらない。

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