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魔帝  作者: 松本 力
ソルドの墓
182/192

ソルドの墓 1

 ローブとシ・ルシオンが聖地から麓まで下山し、待っていた漆黒の巨馬に行き先を告げると、巨馬はわずかに陰りのある反応を示した。


「マルゴーか」


 ローブにもその理由はわかっていた。


「あぁ、あんたがその姿になった所だ」


 ローブは一瞬迷ったあとで、そう返した。

彼は伏し目がちだった。

シ・ルシオンは、相変わらずほとんど何も喋らないから、山上で何があったか、オデュセウスには全くわからなかった。

ただ分かるのは、ローブが珍しく落ち込んでいるということだった。


「私のことは、気にしなくて構いません。

 私の故郷はホルツザムの片田舎です。

 あの場所は、マイクラ・シテアに連れていかれただけです。

 まぁ多少、複雑な気分になるかもしれませんが、私にとってそれ以上の場所ではないのです」


 穏やかなオデュセウスの声が脳裏に直接響く。

ローブは弱々しく笑った。


「そう言ってくれると、助かる」


 ローブは馬車に乗り込み、深いため息をついて、自分の椅子に座った。

続いて巨人も乗り込む。

彼は立ち乗りの御者台にまたがる。


 魔馬車は金属のきしみを響かせながら、旧街道を駆けた。

ある時は田園を、ある時は山間を。

だがその間、元々無口なシ・ルシオンだけでなく、ローブもあまり口を開かなかった。


 ガラシェからマルゴーは、歩けば一ヶ月近くかかるが、オデュセウスなら二日足らずだった。


 マルゴーは、辺境の地である。

乾燥した地域で、岩場と赤土が目立つ。

砂漠の数歩手前、といった場所だ。

人はほとんど住まない。


 だがここに、遺跡がある。

大きなものではない。

しかし、石造りで随分立派な建物が、数年前まであった。

オデュセウス自身が、その中心となる建物を破壊した。

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