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氷の女神 7
「俺はどこへ行けばいい」
またシ・ルシオンは、リーファが泣きやむのを待った。
立ちすくんだまま嗚咽を続けていたが、ようやく彼女は笑顔を見せた。
「西方のバザ」
ビシュラ辺境の都市である。
「マイクラ・シテアは、そこにいます」
「バザか」
シ・ルシオンは唸る様に呟いた。
彼はリーファに背を向け、もう歩き始めた。
熊革のマントが吹雪で激しくたなびく。
「私も」
「足手まといだ」
もう彼には、新しい戦場しか見えていなかった。
リーファが入り込む隙は、もうなかった。