表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔帝  作者: 松本 力
北の竜
149/192

北の竜 4

「アバザン、戦闘参加中および当基地に駐屯中の各部隊長へ伝えよ。

 この宿営基地を放棄し、本城へ軍を動かす準備を始めよ。

 今日はこのままなんとか持ちこたえ、明日移動作業を開始する」


 ガイルはまた別の副官を呼んだ。


「城のボルス殿に伝えよ。

 城内全兵を第一級防衛配備に。

 また全砲台および投石機、油樽、石弓、火矢、毒矢の準備を行うべし。

 また速やかに全市民に対して城内へ避難開始を指示すべし。

 市民の持ち物は極力減らし、食料、衣料は城内の備蓄を使用すべし。

 決戦は長くても十日程度と予想。

 老人や病人など、動きのとれぬものは…」


 ガイルはここで言葉を詰まらせた。


 彼は最後の言葉をなかなか言えない。

唇は震え、目が赤くなり、涙があふれた。


「例外なく見捨てよ」


 ガイルは敢然と頬を上げ、その頬を涙が伝った。


 やがて魔物の群れが陣容を整えた後、一部の魔物が先走って小競り合いを起こした他は、戦闘は一旦膠着した。


 天には相変わらず、黒い円がぽっかりと巨大な口を開いている。

まだ夕暮れには少し早いが、太陽は隠れ、夜のようだ。


 ガイルはその円を睨み、様々な策を考えては、間断なく周囲に指示を出していた。

また、部下の将校達の伝令が次々に現れ、様々に提案を出しては、許可を得ている。


 ガイルは、魔物達は組織的な力押しで来ると踏んでいた。

魔物一体は、恐らく彼の兵三十に匹敵するだろう。

空を飛ぶものもいる。

訓練基地に駐屯している兵はおよそ二万。

内、後方支援などで戦闘に参加できない兵が四千余り。

対する魔物の群れは、ざっと七百はいるだろうか。

純粋に数が足りない。


 敵将はあの鎧人形。

やや強引で力任せにも見えるが、しかし引き際を知っていて、化け物どもを組織化できるだけの統率力もある。

バラバラであれば取るに足らないが、あいにくそうではない。


 ガイルは部隊長六名を集め、方針を出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ