槍 15
ローブは少し言葉を止めた。
内心、もう二十年か、と感じていた。
まだ当時は、まさしく生意気な小僧に過ぎなかった。
その少し不良じみて軽薄な態度は相変わらずだが、しかし少し年をとった。
ローブは続けた。
「シ・ルシオンは、マイクラ・シテアを追っています。
彼がここにいるのは、私もマイクラ・シテアを追っており、彼の力が必要であるため、私が引き入れたからです。
我々トルキスタの聖騎士団の精鋭が数十人かかっても、マイクラ・シテアの出現させる化け物一匹、駆除に苦労します。
しかし彼なら、雑作もなくやってのけます。
彼一人では限界もありますが、しかし彼がいることで、まだ戦いになるのです」
「ちょっと待て、待ってくれ」
ゴートは額をいかつい右手の平で何度か叩いて、首を傾げた。
「訳が分からん」
「無論そうでしょう。
私が会議の場で真相を申し上げられないのは、あまりに荒唐無稽だからです。
しかし、現実は進行していて、危機が近いのです。
その証拠は無数にあります。
滅んだ町さえあります。
だから危機管理において各国の協力体制が必要で、既に備えをしているトルキスタ聖教が、物資、軍事、戦略などで各国を支援しなければならないのです」
ローブは、一気に喋り尽くした後、言葉を失った。
そのことに少し動揺した。
いつも戦略や戦術、交渉術などを考えている彼が、珍しく裸で戦った。
それだけに、彼はこの後の展開がどうなるのか、想像できなかった。
「君は、なぜその活動を、なんというか、しようと思ったのかね?」