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魔帝  作者: 松本 力
132/192

槍 8

「教会の経営に不安はないのか」


とロドが事前に尋ねたが、


「教会の備蓄資産を投資するだけですよ。その価値はあります」


と自信満々で言った。


 まさかその発言に根拠らしい根拠が無いなど、周囲が想像はできなかった。


 教会内部で激しく抵抗したのは、自治区の財務を管理しているベンハーだったが、あくまでも膨大な備蓄を注ぎ込むだけだということと、教会勢力と収益の拡大も説いたため、説得に成功した。


 何もわからない老いた教皇は、熱心な再三の説得で頷いた。


 無論各国の使節達は、そんなことは想像もしていない。

ただ単に、


「トルキスタ教会は、想像より遙かに力を持っている」


と、特段の疑いは持たず、教会に対する認識を大きく改めて警戒心を強めただけだった。


「狼煙は、どう使う?」


 中年のずんぐりした厳つい、濃い褐色の肌の男が尋ねてきた。

明らかに歴戦の猛者とわかる出で立ちである。

南方の大国ベイシュラ、「猛牛」と呼ばれるゴート元帥であった。

見た目通りの猛将であるが、しかし常に大規模な戦略と緻密な戦術も駆使する、世界屈指の名将である。


 だがローブは、全く怯まない。

想定の範囲内だった。

「そうですね、大地震や天変地異は勿論、例えば皆様もお聞きお呼びかと思いますが、二十年前、バザ大聖堂で起こった惨劇のような事態にも、有効ではないかと考えております

 現に」


 ここでローブは深くため息をつき、そしてもう一度、敢然と頬をあげた。


「バザ大聖堂での惨劇をたった一人で起こした者は、まだ生きています」


 この一言は、会場の全員を震撼させた。


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