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魔帝  作者: 松本 力
131/192

槍 7

「何と言っても紛れもなく一大勢力であるトルキスタ聖教が、これほど大々的に呼びかけたら、安易に無視できない」


 だから取りあえず、顔だけは出す。

これがほとんどの国の考えだった。


 したがって、出席者全員が疑わしげである。

冒頭の挨拶を終えたロドが、苦い顔で壇の袖に戻ってきた。


「性に合わん」


 彼はローブに小さくこぼして、自分の席に戻った。

ローブは肩をすくめて応えた。


 続いてローブが壇に出る。

会場は妙にざわついた。

金髪で色白で半笑いで自信家な雰囲気の若造が、この会議を取りまとめている。

その事が、各国の歴々には、意外であったし、不満でもあった。

中でも、先日会場のことでローブに言いくるめられたぎょろ目で髭面の将軍は、実に忌々しげな顔をしていた。


「この度は遠方よりお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 この会議の進行役を務めさせていただきます、トルキスタ聖教のローブです」


 この時ローブは、通常であれば謝辞を述べるところを敢えて省略し、いきなり本題に入った。

そうすることで、事態の緊急性と、自分の実務力の高さを印象づけるのが狙いだった。


「今回お集まりいただきましたのは、国際的な有事の際、いかに各国が協力し、被害を最小限にくい止めるか。

 これについての具体的施策について、論じたいというのが趣旨であります。

 まず今回は、狼煙による危機情報伝達について、トルキスタ教会が積極的に設置に取り組む旨、了解いただきたく存じます。

 費用は折半。

 総額八億三千グレスの予算および十万人の人員、加えて人員輸送用の船舶二千隻を計画いたしました」


 この数字は、参加者達の度肝を抜いた。

小国であれば買える程の金額である。

また船舶二千隻は、列強でも準備が困難な大艦隊である。


 実はこの資金、トルキスタ教会の過去の備蓄ほとんど全てを吐き出して準備された物である。


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