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魔帝  作者: 松本 力
130/192

槍 6

「皆さんそれぞれ、母国を憂えての事なのでしょう。

 ただいささか、ローブ様より視野が狭いのです。

 往々にして古くから争いは、そうした視野の狭さから起こっているようですし」


「別に俺は、特別視野が広いわけじゃねえさ」


 ローブは木の粗末な椅子に、背もたれに向かって座り、背もたれに顎を乗せて駄々っ子のような顔になった。


「これから起こることと比べて、自分と教会の未来に興味がねぇだけだ」


 その二日後、教皇主催の祝賀会もつつがなく終わり、いよいよ実務者協議が始まった。

二十三の国の特使が、大聖堂の大講堂に集まる。

軍事的色彩の強い会議のため、軍人らしい姿が目立った。


 トルキスタ聖教からは、聖騎士団総帥のロド、実質的とりまとめ役のローブ、フォルタを中心とした補佐官六名、そして大講堂の外にシ・ルシオンが控えた。

また、会議が始まった直後、オデュセウスが大聖堂裏手にやってきた。


「旦那とオデュセウスは、とりあえずいてくれ。

 もしかすると逃げ出すかも知れないからな」


といってローブは笑っていたが、明らかに本音ではない顔だった。


 会場は、異様な緊張感と、表面上の和やかさに満たされていた。

まず第一に各国は、今回の会合の趣旨について、


「有事における各国の協力体制の確立」


という題目以外、あまり詳しくは知らされていない。

そもそも今回のような世界的会合自体、歴史上初めてと言って良かった。

ローブはそこを強調して呼びかけていたし、世界の列強としては、それぞれの利害は守る意識は強いものの、参加しないわけにはいかない。

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