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魔帝  作者: 松本 力
129/192

槍 5

「あんたとオデュセウスがいる部隊は、ある程度戦えるだろう。

 それについてはあまり心配していない。

 移動も恐ろしく速いから、あちこちの援護にも走り回ってもらうだろう。

 問題は、援護が間に合わなかったり、同時にいくつもの戦闘が起こった場合だ。

 実際ブサナベンの時には、そういう事例がいくつもあったようだ。

 ドルアーノのいる戦場はもっぱら勝てたが、それ以外は、力で負ける事がよくあったらしい。

 とすれば、力と力のぶつかり合いを、どうやって回避するかが、主な命題となる」


 ローブは金色の少し長い髪を、右手でつかんだ。


「と、口で言うのは簡単なんだけどね」


 ローブは額を右手でこすり、ため息をついた。


 それから二十日あまり経った頃から、各国の使節団がトルキスタ教皇庁にぱらぱらと集まり始めた。

主だったところでは、南方ベシュイラ帝国元帥のゴート、東方アーグ王国の双璧イシュマイルとベネン、北方ルビアの将軍ガイル、そしてホルツザムの将軍バイペルが挙げられた。


 文明交流のある主要国二十三が、数日のうちに揃った。

 会議はトルキスタ大聖堂の大講堂が使われた。

各国の使節達は必ずしもトルキスタ教徒ではなく、他の宗教を信じる者もいたため、多少手こずったが、


「優位性を取りたいってことさ」


とローブに見抜かれていた。


 実際ローブが直接出向き、


「もちろん、無理に参加なさらなくても結構ですよ。

 ただ、今のところ他の各国には、別の会場の確保が難しい旨、ご理解いただいております。

 とは言え、皆様の宗教上の問題については、我々としてはとやかく言う立場にはございません。

 しかし、懸念として、万一の際はその、互いの協調関係として、優先順位的に、実際、どうなんでしょう、懸念材料としては、微妙なところを、お感じになるかも知れません」


と、ローブにさも心配している顔で、ひどく遠回しに言われると、いきり立っていた使節達も、受け入れざるを得なかった。


「くだらねぇ」


 ローブはフォルタに言った。


「誰も彼も、自分、自分、自分だ。

 自分に向かっていて、一体なにができるってんだ」


 ローブが荒れるのはそう珍しくない。

フォルタは一旦下がり、温かい茶を入れて戻ってきた穏やかになだめた。

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