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魔帝  作者: 松本 力
124/192

杖 12

「貴様の言うとおり、ほれ、奴ら二人を恨んでいた連中の魂を拾ってきたぞ」


 マイクラ・シテアは、紅く渦巻き輝く宝玉 を大切そうに懐から取り出し、部屋の祭壇に立て掛けてある杖に差し出した。

杖にも同じ様な宝玉が一つ輝いている。


「どんな方ですか」


「忌々しい魔封じめには、貴様も知っておろう、バルザムとかいうじじいじゃ」


 これには多少、杖は驚いた様子だった。


「ほう、それは、なるべく私は、関わり合いになりたくないですね。

 私も恨まれているでしょう」


「そのようじゃな。

 が、まぁそんなことは黙っていればわからぬ」


 マイクラ・シテアは咽の深いところで妙な声を出して笑った。


「もう一人は?」


「クズじゃ。

 ただ、これほどオデュセウスを恨んでいる人間もそうはいまい」


 またマイクラ・シテアは喉の奥を震わせて笑う。


「ともかく、この二つの宝玉を埋め込む物を考えねばの」


 それを聞くと、杖はしばらく考えていたが、やがて言った。


「マイクラ・シテア様、あなたは、こんな戯れ言とは違う、別な何かをすでにお考えなのでしょう?」


 それを聞くと、マイクラ・シテアは少し驚いた様子だった。


 しばらく言葉を失っていたが、やがて彼は、マグマが煮え立つように、低い声で笑い始めた。


「さすがは伊達に当代随一の将軍と言われただけのことはある」


「それは、何なのです?」


「空飛ぶ船よ」


 マイクラ・シテアは、そういった後も、さも楽しげに、一人笑い続けていた。

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