1章:親バカ魔道士
1章の初めは少し説明系多めです。
ルクス・マグナリア(ユニ・ラルクス)視点
『近づかないでくれる!?』・・・か
最近はずっとこの調子だな。
魔道学園、それも国内最高峰のマギルド学園となると、父親が教員の補佐官ーといっても、ただの雑用係であるがーってのが恥ずかしく思うのは当然か。
俺は15年前からここの補佐官として、ユニ・ラルクスの名を変えて、ルクス・マグナリアとして働いてきたのだが、ここまで悩まされたのは初めてだ。
俺の娘だから、そこそこは魔道士として優秀になるかと思っていたが、まさかマギルドに入れるとは思わなかった。
しかも、最上位クラスーSクラスーとは我ながらすごい娘を育ててしまったなと思う。
俺は雑務をこなした後、正門近くの転移魔法陣に乗り、マギルドのある街ルドルの中心にある噴水広場へと転移した。
この転移魔法陣は家がある一定の距離以上の者、または職員、或いは来客で無ければ使用が出来ないようになっている。
魔法陣は何度乗ってもやはり便利だ。実はこの街にある転移魔法陣を描いたのは俺なのであるが、そこは上手く隠せた。
転移魔法陣を開発する前は転移を使うことを躊躇していた。
家からの距離のことを考えると、どう考えても時間の齟齬が生じてしまう。怪しまれるのは避けたかったのだ。
そのせいで昔は娘と過ごす時間を帰宅如きに取られていた。もっと早く開発すれば良かった、と少し後悔している。
家に帰ると、妻シャルルが晩御飯の支度をして待っていた。娘は先に完食してしまっていたが、今は難しい時期なのでそこは我慢するとしよう。
「ただいま。シャルル、ルコア。」
「あら、お帰り。こら、ルコアもちゃんとお帰りは言いなさい。」
「・・・ お帰り。」
「はぁ、最近はいつもこうね。先に食べてしまっているし。じゃあ、2人で食べましょうか。」
「ははは、仕方ないよ。難しい年頃だし、それに、いつまでも雑務係をしてる俺も悪いんだから。それじゃあ食べようか。」
「雑務以外だと目立つ可能性がでてくるから、仕方ないのかしらね。ルコアももうちょっとなんとかならないのかしら、、、まあいいわ、食べましょ。」
妻シャルルは俺のことを知る数少ない人間の1人だ。
人間といっても、シャルルはエルフとのハーフだから、半エルフってとこか。ルコアは1/4エルフだから、クォーターエルフというところか。
この世界は『エルフ(魔道人族)』、『ドワーフ(工作人族)』、『鬼人族』、『翼人族』、『獣人族』、そして『人間(繁殖人族)』
という風に6つの人族に分かれている。
『エルフ(魔道人族)』は名前の通り、魔法の行使に長けた人族だ。魔道士が大きな勢力を持っているということもあり、プライドが高いものが多いと聞く。耳が長く、尖っており、平均寿命250歳という長寿種だ。
森霊種と呼ばれることもある程自然と共に生きる種だ。
『ドワーフ(工作人)』はとにかく物作りを得意としている種で、商業国家カレドニアに多く住んでいる。
背が比較的小さく、非常に酒に強い。ゴブリンと似ていると言うと、ものすごい怒る。俺も一度本気で怒らせたことがあったな。
『鬼人族』は一言で言ってしまえば、戦闘民族だ。
身体能力が人族一高く、身体強化魔法無しでもある程度戦える、頑丈な人族だ。強靭で大きな体を持ち、10才の頃には単騎でオークと戦えるらしい。鬼人傭兵団の本拠地を帝国エンテイドラに構えている。
『翼人族』は翼を持つ、唯一、産まれてすぐに飛行魔法をすでに使える種だ。飛行魔法は比較的燃費が悪く、それほど積極的には使われない。翼を使わずに飛んでいるのに、触るとすごく怒る。
『獣人族』は時折、『鬼人族』の劣化族と言われることもあるが、五感の最も鋭い人族である。唯一体が毛で覆われている人族でもある。ニンニクを近づけると怒る。帝国エンテイドラに獣人族の5割が住んでいると言われている。
『人間(繁殖人族)』は他の5種族に比べて魔法力、身体能力、工作能力において、基本値として最低の人族である。平均寿命が70才と、最も寿命が短く、他の種族より子孫を作ろうとする意志が強いため、繁殖人族とも呼ばれることがある。人間の総人口は2000万人以上、と群を抜いて多い。聖教国家キリルノアの民は全て人間となっている。
人間以外の種族は基本的に150歳程まで生きられるから、子孫なら関しては人間よりかなり疎いのだ。
世界の主な国家は
魔道国家 ソーケラス 商業国家 カレドニア
聖教国家 キリルノア 帝国 エンテイドラ
の4カ国である。他の小中国はそれぞれの大国を囲うようにして点在している。
魔道学園 マギルドは6年制であり、14才以上ならば試験に合格する事で入学が可能となる。
ルコラは今15才で2年生だ。Sクラスであるということが俺への嫌悪感をさらに高めているのだろうか、一年生の時より更に塩対応になってきている。
だからといって力を見せるのは避けたい。過剰な力は基本、禄でもない事態を引き起こしたり、呼び寄せたりするものだ。
ルコラやシャルルに火の粉が降りかからないように力は極力使わず、見せずとしておきたいものだ。
明日はルコラの2年生最初の授業で俺も補佐官として参加する。娘の成長を直に見られるチャンスだ。それと、ルコラを狙う男ども野獣をチエックしておかねば。
小説書くの下手すぎて泣きそぅ
修行、修行っと 頑張ります。