第1話〜第4話 突然の事
1、プロローグ
「チ、カ??」
そう。あなたはカオリっていうの・・・・・・??
「ん、そーだよ」
そうなんだ
「その、2人は?」
コーくんとレーだよ
「よろしく、みんな!」
よろしく・・・・・・。
12年前、まだ私が5歳だった時に、華織はやってきた。
お父さんの転勤で。
そのとき私は幼馴染の康治と怜也と一緒に遊んでいた。
大きなトラックに乗ってやってきた華織に、とにかく私たちは圧倒されていた。
康治も怜也なんて、何もしゃべれなかった。
2、朝
「おーはよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
もうっ、朝から騒々しい。
まだ7時・・・・・・・・・・
「もう8時だよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
もう、騒々しいったら。どうやったら、私の家のドアの前で2階にある私の部屋まで届く声がだせるの・・・・・・・って、えーーーーーーーーぐおーーーーーーーーーーっ!!もう8時じゃん!!
「ねえ、みんな聞いてよおー」
横で私の今朝の寝坊をみんなに愚痴る寸前の我が友、川西亜紀。
「はいはい、なによお。あんたのエンジンはいつ緩むんだか。」
いつもどおりの亜紀のテンションに、いつもどおり返す我が友、島冴実。みんなはサエと呼ぶんだが。
「智花さあ、8時まで寝てたんだよ。わたしをそっから10分待たせて。その後学校まで全速力で。だよね、ちーかさーん??」
「はいはい、そうでございましたね。ごめんなさい」
「よろしい。」
亜紀、おまえは何者じゃ。
「もう時間だよ。わたしが怒られるんだから。」
そういったのは、我が友、香谷英。調子のって副委員長になった亜紀とは違い、実力と信頼で書記になった、しっかり者。部活(私と同じ吹奏楽部なのだが)でも、中2にしてホルンのパートリーダーになっている。
「英がいうならちゃんとしなきゃ。智花みたいな頼んない奴じゃないし。」
もうっ、うるさいなあ、、、。
あえて無視した。
亜紀もあきらめて、席に着いた。
ふう。ようやく授業おーわったーーー!!
「やっと部活だあーーー」
亜紀が叫んでいる。
亜紀と冴実は、陶芸部だ。
「英ーっ、いこ。」
亜紀が冴実と話している中、音楽室へと向かった(吹奏楽部の部室)。
数日後には、亜紀が部活にいきたくない、といっているなんて想像していなかった。
3、陶器
この色合いがきれい。
いびつ?にも見えるこの形が美しい。
陶芸が趣味のおばあちゃん。
私もそれにつられ、好きになった。
だから、仲のよい子もあまりいなかったが、この部活に入った。
まあ、今は友達の智花と仲の良い亜紀と、部活では行動を共にしているのだが。
陶芸部には、2年生があと一人いる。
「サエ?」
そうそう、この子。仲川梨良。リラ、って名前、珍しいでしょ。
去年もクラスが同じで(今も)、亜紀よりずっと仲がいい。
でも英や智花と仲の良い私を気遣ってくれ、最近めったに話していない。
「ちょ、さーえーーー??」
あ、忘れてた。ごめんよ、リラ。
「ごめんごめん。なーに??」
「はあっ。サエ、もういい?」
ん?何がだ??
「は?」
「いやいや、なんかマイワールド、というか、、近づき難い、、、あ、なんでもない。」
キーーッと睨めばおしまい、っと。
「で、何の用事ー?」
「あ、あのね・・・」
リラの声は、ザーーーッと小さくなる。
「みーがね、亜紀を嫌ってる。」
私は、一生懸命色を見ている亜紀を見た。
あ、色って、もちろん陶器のね。
4、帰り道
「はあ。梨良にいわれたらなあ・・・・・・。」
そう、梨良はクラスのリーダー格の子、愛田美羅伊(みらいっていう名前でこんな漢字めずらしいよね?あれ?違う?あ、そうそう、さっきでてきた「みー」っていうのは、この子のこと。)と、一番仲が良い。これで私がいつもどおり亜紀と帰ると、私がクラスのみんなにはじかれる。
もともと、冴実は亜紀が苦手だった。
でも、智花とは小学校以来(ちなみに英は中学校だったが)仲がいい。
1年生の時、別のクラスだった智花は、亜紀と仲良くなった。
亜紀はいやだったけど、智花とは一緒にいたかった。
だから、私は亜紀とそれなりの「友達」をしてきた。
智花がいなければ私は亜紀と縁を切ると思う。
「ああっ、もういやだ!」
そういって何とかなるものならいいけど。
とりあえず今日は亜紀をおいて、さっさと帰ることにした。
校門を出る時、前に、たーまたま智花と英があるいていた。
「あーーーっ!ちーかーっ、えーいっ!!」
声を掛けた。
「あ、やっほー。」
「あれ?亜紀は??」
英が聞く。
んー、と。えー、と。
「あ、あああ、亜紀は、お腹がいたいって、、途中で帰った。」
「大丈夫かな?」
智花、あんたの鈍感さに感謝っ!
「さあ、、、どうだろ・・・。」
「あ、でも亜紀のことだから、ね。」
智花、あんたすごすぎる。
そこで、英が話題を変えた。
「ところでさ、もうすぐ夏休みでしょ?どっかいかない?」
ん?夏休みはあと2ヵ月後ですが。
まだ6月。
今は梅雨の中休みで晴れてるけど。
私と智花は、沈黙。
「え?私、変なこといった?」
うん。十分言ってる。
天然が少し入ってるのが、英の面白いとこなんだけどね。
友の中でしか見れない英、がこれ。
ピーロリロリ。ピピピピピピピピピ。
んあ?誰のだろ。
「あーー。私だ。」
智花、の携帯か。
「あ、華織からだー。
ねえ、ねえ、サエ、英、なんか今日康治ん家で食事会らしいから、急ぐね。」
智花はバイバイ、というと、走って帰って行った。
英に、亜紀のことを言うのは、今しかない。