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providence eden  作者: かえる
1.morning
21/106

morning―21

 わたしの所属する会社は|自動情報解析運用装置監査法人《Automatic Information analysis Operation Systems external auditor》、いわゆるAIOSと呼ばれる分類になる。その仕事は、平たく言うなら|人工知能《Artificial Intelligence》に対する監査。世に無数に存在する産業用、商業用AIが法律的、倫理的に正しく稼働しているかを判定するという業務。一昔前には存在しなかった、比較的新しい業種だ。

 そう言うと多くの人が何だか凄いんだね、と実感の籠っていない感心をしてくれるのだけど、実際はそれほど大したことをしているわけではない。


 契約を交わした企業からAIのデータを送ってもらい、それを事前に構築したモデル環境の中に落とし込み、その挙動と企業側からの申告の内容との差異がないかを確認する。そしてそれがその企業の業務内容に則しているかを判定する。もし何らかの不具合、問題が判明した場合は実地調査を行い、改善する。企業としてやっていることはこの程度のことだ。


 「だからまずWPSとかいう企業の所に行って契約してもらわないと、ウチとしては何も出来ないんだ」

 「なんだ、そうなの」楓はがっかりした声を出した。「不正企業をばったばったと切り捨ててるんだと思ってた」

 「警察じゃないんだから」わたしは苦笑を溢したい。「でもこっちの航空会社の方には見覚えあるんだよね」

 すると脳内で訂正が入る。「このあさん、航空会社ではなく正確には航空機製造業者です」

 「アルはほんと細かいよね」楓が指摘する。

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