表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
providence eden  作者: かえる
1.morning
15/106

morning―15

 わたしが高校一年の時、彼は高校二年だった。

 六月頃だったろうか。初めて着ていった私服が半袖だったから、もう夏の盛りに入っていたかもしれない。


 わたしの通っていた高校では服装の規制がなかった。制服でも私服でも、何なら髪型の指定もないから、金髪モヒカンの世紀末みたいな格好で行っても問題なかった。

 とはいえ。初めて通う高校に、初日から私服で行こうという猛者はなかなかいない。かくいうわたしも無難に、と最初の頃は中学の制服をそのまま使い回しにして登校していた。高校でも一応制服は売っていたが、母にかかる負担を考えればとても手を出せるものではなかった。買ってもいいよ、と言う母の言葉を押しやって、勿体ないよと慣れ親しんだ制服に袖を通した。


 初日の、あのショックは今でも生々しく残っている。


 同級生の多くが高校で買った、青いブレザーを羽織り、首元に赤いリボンタイを揺らし、チェックの入ったスカートを踊らせて登校していた。


 羨ましい。そう思った。


 所々ほつれ、少し古びたセーラー服の中でわたしは、擦れて汚れた鞄をぐっと握り締めた。

 そのせいもあってか、わたしは私服に切り替えるのも早かったのだろう。目立ったことの嫌いなわたしだけど、クラスの中でも私服に切り替えたランキングでは上位に食い込んだと自負している。


 そしてそんな、初めて私服を着ていった学校で出会ったのが、彼だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ