morning―15
わたしが高校一年の時、彼は高校二年だった。
六月頃だったろうか。初めて着ていった私服が半袖だったから、もう夏の盛りに入っていたかもしれない。
わたしの通っていた高校では服装の規制がなかった。制服でも私服でも、何なら髪型の指定もないから、金髪モヒカンの世紀末みたいな格好で行っても問題なかった。
とはいえ。初めて通う高校に、初日から私服で行こうという猛者はなかなかいない。かくいうわたしも無難に、と最初の頃は中学の制服をそのまま使い回しにして登校していた。高校でも一応制服は売っていたが、母にかかる負担を考えればとても手を出せるものではなかった。買ってもいいよ、と言う母の言葉を押しやって、勿体ないよと慣れ親しんだ制服に袖を通した。
初日の、あのショックは今でも生々しく残っている。
同級生の多くが高校で買った、青いブレザーを羽織り、首元に赤いリボンタイを揺らし、チェックの入ったスカートを踊らせて登校していた。
羨ましい。そう思った。
所々ほつれ、少し古びたセーラー服の中でわたしは、擦れて汚れた鞄をぐっと握り締めた。
そのせいもあってか、わたしは私服に切り替えるのも早かったのだろう。目立ったことの嫌いなわたしだけど、クラスの中でも私服に切り替えたランキングでは上位に食い込んだと自負している。
そしてそんな、初めて私服を着ていった学校で出会ったのが、彼だった。




