総合学校の(運が悪くそうなってしまった)劣等生-4
このところ行動するメンツが固まりつつあった。
シルフィ、クロード、リンドウ。こう見れば青髪、黒髪、黒髪。近所の知り合いの子供同士が一緒にいるように見えるだろう。実情は全く異なるが。
リンドウはことあるごとにクロードに噛みついてきて、そのたびに軽くあしらわれて。
シルフィは暇さえあればしつこい勧誘から逃げる為にクロードを嗾けて。年端もいかない少女でありながら、エレメンタリーで学ぶことのほとんどができて、しかも仮想空間への適性が高い。いろんなところから勧誘がかかる。
そしてクロード。しつこい勧誘からお姫様を守り切るナイト……周囲からはお宝を守る少年としてターゲットにされている。基本は逃げに徹するが、相手が仕掛けてきたならば容赦のない反撃で追い払う。
このメンツがアタリかハズレか。
その答えはハズレかもしれない。リンドウはともかくとして、クロードは劣等クラス、シルフィは優等クラス。
「バスタード風情が!」
「お前みたいなのがスペリオルと一緒にいることは間違っている!」
底辺クラスを罵ってバスタード、上級クラスをそのままスペリオルと。
朝の登校から昼食、寮に帰るときまで。ずっと一緒にいる三人の中で底辺クラスだからとかなんだとかで、貴族だとかそういうお高い身分が多いスペリオルが文句を言ってきた。
「入った時点でまだそんなに差はないだろ」
「入った時からもう決まってんだよ。いくら兄妹だからってなぁ、髪の色が違う成績も天と地。だったら一緒にいるべきじゃねえ、お前みたいなクズはここにいるべきじゃねえんだよ。そもそも親が違うんだろそんなに差があるってことはよぉ」
「……安い挑発をありがとうゴミクズども。そんなに優れているか劣っているか知りたいなら、お前ら全員まとめてかかって来いよ」
「エレメンタリー程度のガキが。カッコつけたくなる時期だよなぁ、泣かしてやるから来いよ」
「むしろそんな風に俺を見てギャーギャー言うあんたらはカッコわりーよなぁ」
魔法科、電子工学科、仮想工学科、総合戦闘技能科、その他多数。単位制とは言え、いろいろそういう専門コースもいくつか備えられているらしく、それを中心として受けたい授業を組むこともできる。
それにしても売り言葉に買い言葉。やっているうちに気付いたら底辺クラスは姿を消して上級クラスに、それも同級生だけではなく上級生まで混じっているそれに囲まれていた。
何でこうもこの生き物とは愚かなのだろうか。
ものの数分。
本気で喧嘩をしようとする者相手に、本気の殺し合いをした経験があり割と本気で殺す気で対応するもの。
自治会の介入で戦争になることは避けられたと言っておくのが無難か。断じて喧嘩レベルや戦闘レベルではない。貴族階級が絡んでくると私兵を用いた戦争になる可能性は否定できない。
「俺たちはお前を認めない、退学に追い込んでやる。シルフィエッタは我々と共にいるべきであり、バスタード風情が近寄っていい存在ではない」
「すてぜりふ~」
茶化したクロード、そして静かなその場に音があったとすれば"ブチッ"と血管が切れるような音だろうか?
「貴様ら! それ以上やるようならば自治会としてペナルティを科すぞ」
乱れた服装を直しながらクロードは立ち去った。
なんで入学して一月も経っていないのにこんなことになるのか。