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総合学校の(運が悪くそうなってしまった)劣等生-2

 個人認証を行いその場でIDカードが作られる。窓口に並んでカードを受け取ったクロードは、同時にどこの教室に行けばいいのかも教えられた。

 学校の在籍可能期間は六年。いろんな理由込みで最大が九年だ。授業は必須の他はすべて選択式。卒業に必要な単位を取るために朝から晩まで詰めて出れば四年かからないかもしれない。学年制ではなく単位制、知っている知らない、できるできないにかかわらず受けなければいけないということもなく、試験で結果を出せればそれで単位取得というものもいくつかある。

 敷地内には寮もある。金さえ払えば利用は自由。一部屋あたりに一人、二人、四人……とあるが、人数が少ないほどに高い。ちなみに三人は一人部屋だ。


「おいおい今年もクズどもが入ってきやがったぞ」

「ぎゃはは、やめちまえばいいのによぉ」


 A―C組、D―F組、G―I組。

 クラス分けはこの形の中で行われる。クラスと言っても特定の行事でまとまって動くための形だけのものだ、単位制だから同じ授業に揃ってでるということもなく、ホームルームでの顔合わせというやつも月一のもの以外はばらばらだ。

 そして一番の問題は分かりやすい"区別"だろう。

 成績のいいクラスほどすべての種目から受けたいものを選べ、施設の利用権も優先。校舎も綺麗な場所を使える。悪い方はその逆だ。

 教えられた教室に入ると、すでに何名かはいたが暗い。

 出席番号もなく、席は自由。クロードは一番窓際の後ろに座った。ここならちょうどいい感じに日があたって寝るにはちょうどいい。

 予め机の上に置かれていた端末にIDカードを挿入すると、簡単なアナウンスののちに色々と表示された。いまどき脳内にチップを入れていない方が少ないが、そういう者のために未だに端末はある。

 クロードは寝る前に面倒事を終わらせようとインフォメーションのチェックを始めた。

 施設利用規則、風紀規則、履修規則……常識の範囲内で行動すればどれもこれも問題はないものばかりだ。学内行事や各種案内はどうでもいいと飛ばして、登録事項だけさっさと打ち込んで眠りに入った。

 フェンリルでほとんどの基礎は習得している。



 予鈴が鳴り、生徒たちが席について行く中、目を覚ました。

 このあたりの決まりごとは昔っから変わらないが、ここから先は違う。

 まず担任という者がいない。

 連絡にいちいち人を使わない、そんなことのための人件費は削減できると、底辺クラスはすべて端末経由で音声案内とデータが送られてくるだけだ。


『三分後にオリエンテーションを開始します。各自、自席で待機し、IDカードをセットしてください』


 面倒臭い、思いながらもクロードは眠気を覚ます為に座ったままで身体を動かした。後ろの席であり教師もいない、誰も咎めない。

 本鈴とともに端末の画面に古臭い視覚効果満載のガイダンスが表示された。クロードはそのすべてをスキップして、適当に学内の資料でも読み漁ってやろうかと思って、ここで思い知った。

 アクセス権限がない。

 単純にクラスがクラスだからアクセス権限が無いのだ。

 セキュリティの破壊クラック、改竄ハック……してやろうか。しかしばれたときがまずい。


 ……教えられないことを前提に結果を出せ。それがやり方か。


 出来ない者はさっさと自分から出ていけ、そんな風に捉えることができなくもない。

 あぁ本当に面倒だ、思いながらも必要なことだけを確認して後はすべて飛ばす。

 寮の部屋番号や、使用するロッカーの場所など必要なことだけ覚えてまた寝る。

 最初の数日は授業はなく、あちこち回ってみたり勧誘活動に揉まれたりというものだ。

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