世界の始まり~ そして残されたもの
今回は世界観と主人公の初任務に力をいれてみました。
良ければ感想をよろしくお願いします。
~道化師~それは歴史を紐解いてみても様々な存在として数々の物語にあらわれては消えて、時には首謀者となり、敵味方関係なくまるでその出来事は一夜限りの祭りかのように時に楽しみ、時には翻弄し、まるで実感のない。空気のような存在。私が知りうる限りの話だが、子供に曲芸や大道芸で喜ばせ、風船や驚くものをみせ、あっとするような事をする。 道化師 カードゲームの中では時に最強・時に負けの要因ともなる”ジョーカー”となる。 推理小説の中ではあれほど敵も味方も恐れるほどの力を発揮する恐怖の象徴として、古今東西にわたって、さまざまな説が存在する。・・しかし・・逆にこう言った道化師になってしまった存在は何を思って、どんな心理で動いているのだろう? 無地蔵な 喜びかそれとも無限に広がる闇か・・・。
・・6月・・日本はちょうど梅雨の時期に入っていた。雨の日はいろいろと人の気持ちが顕著に表れる。
多かれ少なかれ人間として生きてきたものなら,感じたことはあるはずだ。 主に作用するのは、
過去・思い出にかかわる部分で共感してもらえるだろうか? もちろん、良きものも切なさのものもひっくるめて・・・薬物事件解決からちょうど約3週間が過ぎようとしていた。ここは、とある町中の中心部分から少し離れた住宅街。ここに安定な仕事とは程遠い事務所。探偵事務所・正治 とかかれている看板に書かれている。ここには従業員は当事者も含めて3人ほどいる。 まず、ここの事務所を立ち上げた張本人、
焔 正治 (ほむら せいじ) 年齢は45歳。普段は髭は伸びきったまま過ごす。彼の実績は事務所の中にあったレポートを見てみるに大きく分類すると
殺人関連の調査及び解決はここ5年のうちに25件。・窃盗・紛失物の捜索願100件。マフィア・ヤクザがらみの案件をジャンルとして分けるなら200件。長期なら2年・短期なら3日前後で、もちろん金額もその仕事に応じてかなりの開きがある。最低で2000円から大きい仕事にもなると1000万円となぜこんなに差が
出ているかというと、この当人があの”焔 財 閥”の”次期当主”様とういうこともあり、(現段階ではその片鱗は皆無)金銭面は事務所の維持のために回す以外はあまり金銭的には困らないのが現状だと本人いわく正真正銘の慈善事業にも近い感じで運営しているという。(・・・そんなんでいいのかと私は考える)このご時世、飯を食うのもやっとの人間もいるというのに、正治がいうには仕事を決める際の請求は、まず相手の足もとをしっかりと見て・見極め。
とるべき人間にはしっかりともらい。ない人々の依頼には無償で本当にやってしまうこともあるようだ。
本当に金のない人間かどうか、確かにそれを見極める力は正治は経験とその遺伝子の才能で十分に備わっている。 つい最近だと、わざと富豪であるにも関わらず貧困をよそって、弱者をいたぶろうとした人間が
偽装してやってきたが、彼の眼力と心理戦に持ち込まれたら涙目になって帰っていった変な依頼者がちょうど、あらわれたようだ。 最近はその門前払いを喰らった連中が外の電柱あたりでこちらの様子をうかがっている。 このとき、外で掃き掃除をしていた女性がいた。ここの管理者の娘 焔 恵
年齢は24歳・様々な事情により、命を狙われているため、父親のところに避難してきたそうだ。 主に家事・書類の整理・時には女性的な視点からの調査が必要になった際の調査補助要員 兼 秘書(肩書き)が付いている。
そして、この親子の中に不運にもある能力に一目置かれ、きっかけがこの娘さんの事件に半ば巻き込まれた
青年がいた。この事務所のなかで平社員でこの娘さんの護衛 兼 現場調査員及び前回の事件で能力の発現したため、執行者にもなってしまった青年 安藤 真 年齢は25歳。
前職はタクシーの運転手をしていて今回の事件に巻き込まれた。 彼 自身その事件の影響で前職を離れることになってしまったため、こうして様々な因果でここに半ば強引に素性を調べられ、ここに世話になって今に至る。今回一番重要視しているあの事件が解決するまでは彼はここにいることを承諾するしかなかった。何よりこの青年はもともと正義感があり、危険になった人間を目の前にして、逃げたりすることはできない性格でもある。 彼は現在その正治からお客から依頼された捜索願いにある”猫”をさがしていた。
正治にはまだ聞きたいことが山ほどあるのだが、いつの間にか契約されたとされる子供だましな書類の中の裏側にこうつづられていた。 そして、この制約に基づきある条件をもうける。そのひとつに働かざるもん食うべからず、真はある程度のギャラを協力することで得て、それで仮宿として律儀にその管理者に支払っていた。つまり、彼は常に最低限の資金しか持っていない。情報開示も実は金で開示ができると勝手に制約に書かれていた。あの誓約書さえ破棄してしまえば、話は簡単なんだが。 下手に逆らうと、日本中
どこにいたとしてもこんな人間なんて次期当主の前では当然無力なわけで、これがまた真にとって悩みの
種になっているのは言うまでもない。 唯一の救いは護衛している間は泊まる場所と飯代が保障され
(娘さんの新料理の実験台として)そしてもうひとつ、前金制度と事後清算可能という点。彼は金銭的計画に頭を抱えながら、猫探しに興じるのであった。
とりあえず、町中に来た真は、その目的の猫のいつも言っている場所に向かった。「正治さんが客からもらった情報によると、猫の種類は三毛猫のオス。まあ、だいたい想像がつく。しかし、今回の捜索金額は信じられない額が前払いで入ってきたという。(三毛猫オスはかなりの希少価値があるそうだ)真は今回の事件が解決する=情報公開開示ができる。という意味でやる気十分だ。 「しかし、家族に猫嫌いがいるせいで捨てたはいいが、後で調べたらかなりもったいないことをしていたことに気づき、いまさら見つけてほしいか。」 真は、人の欲というものは時に嫌気がさすとつくづく思っていた。
真は、街中のその中心ともいうべきアーケード商店街に着いた。ここは日本の北部にあるその中央都市から少しずれた場所にある小規模な町。交通機関は市電、電車、バス、一般的な道路交通整備はできているが、ここ数十年で、世界はまた再び過ちを犯してしまった。この町に名などあるときを境にない。今から200年ほど前、世界恐慌が再び起き、労働者のかつてないリストラ。それに一部の権力者が引き金となった。世界大戦がわずか一年で全世界の人口約半数を奪い去った。生きる意味を見失い、何かにすがるようになった人々はとある宗教に自らのすべてをゆだねるようになっていった。
その名も”リターン”(復帰)。簡単で単純な言葉ほど、死の連鎖に苛まれてきた人類にとって、どんな言葉も神・恵み・救い・喜びの象徴に変わる。その統括者が発足時このようなことを話していた。
「~我々は神から再び大いなる試練をあたえて頂いたのだ。人類が再び恵みと恩恵を授かるための糧とするために、今は私たちは今度こそ、この過ちを教訓に立ち上がり、富と繁栄を勝ち取るのだ。これまで人間は言葉や文字の意味に惑わされ、共感する心を互いに認めることができず、時に反発し・蹴落とし・あまつさえ殺し合いにまで発展した。 一方的な考え方といわれても仕方がない。しかし、あえて私はこう言おう! 言葉と意味をこの一人に一つの単位で互いに一歩も引かず、誇示してきたことこそ我々のこの惨劇を止められなかった要因と私は考えている。 幼少のころ、自分が何よりも価値のあるものに名と意味を持たせ、他者のものの価値よりも己自身のが非常に重要だと・・・この主張こそ傲慢で自己中心的な妄執へと変貌し、人類同士でその奪い合いをする喜びに魂をささげてしまった。結果がわれらの今いる世界の基盤となってしまったのだ!!私はこのことを深く受け止め、言葉・文字・知識にいたるまで簡略に簡潔に余分なことをそぎ落とし、皆が等しく・平等に生活するきっかけとして、まず各地の名称や呼称・意味や関係性にいたるまで簡素なものに一度改め、皆の理解ある社会へと単一化し、この世の整理をすることをここに誓うものとする!!」
・・といった ”リターン” 先代統括者 神田 皇子その人だった。この話が人々の
これまでの考えを変えある結論に至ったのが、ある程度の言語や用語は人間関係上必要なもの意外は、数字や記号で単一化し、それらで全世界の人間のもっとも最良な共通点にする・・というものだ。これにより
日本という国名は何とかなくならずにすんだが、それまで自由に使っていた地名や地区・名称まで数字や記号・絵などで表記するように法律上で定められた。馬鹿げているかもしれないが、これがいろいろなところで作用している。 歴史によれば、本屋といえどさまざまな名称で独占・経営・運営をして横並び一線で競争していたが、これが単一化によって本屋はただの本屋になった。品揃えの優劣はあるが、従来みたいに名称を知らなければ、そこがただの文具の入っている書店なのかただの本屋など店先で悩むことがなくなった。この単一化は、このように日常から歴史の改変に至るまで影響を及ぼした。・・しかし、それに比例してわずかに残されたのは各家庭の苗字や世界の貿易会社の呼称のみは従来通りだった。 これにも理由が存在し、いくら単一化とはいえ、ランドマークや目印・表記しなければわからないものにはさすがに混乱をきたすので、その点は過去の日本と相違ないらしい。
つまり、この町には日本の人間が住める範囲までが東西南北で大雑把に分割し、ここは分類するなら、北部15区画(NーS15)と表記される位置だ。これは昔の番地の表記を採用している。あらかじめその土地の
決めた番号からある一定の区画がアルファベットで表記に変わり、昔みたいな××市○○町△△といった
ややこしい地名がなくなった。その引き換えに観光する際、有名だったランドマーク以外は数字やアルファベットの区画で簡略化され、すべてのデータバンクは何桁もの数字に保存されるリスクは残った。しかし
この現象は、人間が幼少のころから老後にいたるまで数字に多く触れれば、脳の発育および認知症の予防
といった。リスクの見返りも存在する。実際に最近の老人の行方不明者・認知にかかる費用は大幅に減少し
ひと家族にかかる精神的な負担が消えたという。統計もそれを物語っていた。 古い呼称では北海道というところらしい。
しかし、真はその単一化に現在悩まされている。なぜなら人間には苗字などの呼称は残ったが、愛玩動物や動物園に飼育されているものには、ある程度の呼称を残してそれ以外は国が定めたものは申請をしなければすべて呼称の後ろに数字がつく、例えばこのように「あの~すみません。ここで125-12って三毛猫の雄の猫はいますか?」 すると、聞き込み先の店先の兄さんが、「ああ、三毛猫の124-11ならあっちにいるよ。」と
明らかに間違っているが、ニコニコしながら指をさす。 「えーと、すんません。124-11ではなく、125-12なんですけど・・」 すると、「おお~!ワリィな雌の123-11なら・・・」 「いえ・・ご協力ありがとうございました。」 さすがに人間の思考回路や意見の食い違い、性格まではどうにもならんらしい。しかし、ここまで似たり寄ったりの猫が集結するのはこのへんにいる可能性を捨てきれない。アーケードを抜け、少し路地を曲がった先にちょっとした袋小路に野良猫の集団がえさの取り合いをしていた。しかも三毛猫のメスが割合が高く、猫たちも同じ種別同士で集まる傾向にあるようだ。ここまでの条件さえ揃えば、後は彼の能力でなんとかなる。「よし、あの争っているソーセージを食べさせれば近づいてくるな。・・よし!おーい猫たち、飯だぞ。」 先ほど聞き込みで立ち寄った出店で売っていたフランクフルトを(さめたやつ)を
猫たちに提供した。すると、猫たちはやってたかって群がってきた。「おお!お前らそんなに腹が減っていたのか、ほらもっとあるよ。」 ・・ちなみにこのフランクフルトは真の昼飯だったりする。 涙目になりながらも、人馴れしている猫を見つけ、彼はぶつぶつとつぶやいた。「過去と現在、知るゆえにわれあり」これは、彼のもう一人の彼を呼び出すトリガーになることが前回の事件でわかった。すると、猫たちも本能で感じとったのか少しおびえたり、びっくりして物陰に隠れたものもいた。 「心配するな、別にとって食おうってわけじゃない。」 聞こえているかわからないが、安心したのか再び自分たちの飯に食べ始めた。
すると、真はさっき見つけた人馴れしている猫の頭をなでた。すると、その猫は尻尾をピーンと伸ばしながら、そこから動こうとしない。どうやら彼の力によって硬直しているようだった。これよっての対象物の害はない。真は猫が過去にたどってきた経緯をその猫の視点から探ろうとしている。すると、昨日の出来事の中で重要な手がかりを見つけることができた。 それはさっきのアーケードでこの猫が人の間を歩いていて近くに仲間の餌の催促する声が聞こえてきて、この猫もそれを頼りに向かいそこにいたのは猫の着ぐるみきた人間の周りに猫たちが集まっていた。その手には魚の塩焼きが棒に刺さっていてにおいにつられて猫たちが集まってきた。するとその猫の
着ぐるみはある程度集まってるのを見計らって路地に猫たちを誘導していた。 この猫の映像は別のところへと移り、終わっていた。その後2~5日分ぐらいさかのぼってみたが、猫の数が減ったことの事実を残して、さしてこの行方不明に関係するような内容はないようだった。おそらくこれを見るに誰かが意図的に
この野良猫たちをどうにかしている可能性が高いことがわかった。その猫にさらに指揮系統に微量のショックを与える。すると、猫は昼間なのに目を真ん丸にしてこの場から離れようとしていた。真はその後をついていった。もちろん残った餌も確保して、しばらくすると猫はアーケードのとおりのひとつのペットショップに立ち止まった。その中を覗いてみると、白い髭の老人が体格の良い猫を腕の中に抱きながら店番をしていた。
「なんだ、若いの・・その猫の相方でも探しにきたのかの?」 いきなり真は話しかけられたが、淡々と会話した。「短刀直入にいう。とある人間がこの店で猫を売ろうとしてなかったか? ご老人」すると、老人はあごの髭をなでながら答えた。「おお!ちょうど昨日のことじゃ、三毛猫じゃったか?それはどのくらいで売れるか聞きにきたよ。」 彼は、「どのように答えたか聞かせていただきたい。」 すると老人は、
「ああ、この三毛猫の”オス”は30000円でなら買い取るといったよ。」と答えた。「そうか、なるほどそこの猫はあんたの猫か?」と老人に真は問いかけた。「ああ、そうじゃよ。」と老人は猫を持ち上げながら、真に向けて見せた。 すると、彼はまたその猫の頭を撫でた。真は不敵な笑みをした。「失礼。ご老人、あなたの言ったことは本当だが、その後の話は聞かせていただけるだろうか?」 と 老人も手がピクッ!と反応した。
(老人)「若造、すまないが今日は店じまいだ。さっさとかえってくれぬか?」
と手を使って、去れといってきた。
(真)「ご老人、あなたも相手を間違えたようだな。相手はいくらを要求してきたんだ?自分のお孫さん に対しての・・」
老人はガタっ!と立ち上がり 「・・・なぜそのことを!!私はそのことは誰にも・・」 すると、
(真)「ちょっとした聞き込みがあって、やってきたが、ややこしいことになったな。 老人、俺はあんたの強欲さにはあきれているが、そのせいで大事なお孫さんを見殺しできるほど冷酷な人間じゃない。・・とりあえず、今回の件 この俺に任せてくれないか?」 と正治の娘さんからもらった。俺の名刺を見せた。「おお!それは・・お前さん、正治さんとこの・・・」 と老人はなぜかうちの大将を知っているようだった。「わかった。おまえさんに任せる。そうか、正治さんに部下ができたか・・・こりゃ驚いた。」と 老人は涙目になった。「ここから、北に3区画先にある廃居住区にかろうじて残った一軒家の脇に過去 地下鉄に利用されていた階段がある。そこを使って中に向かって指定された金の入ったトランクを投げ込めという、ファックスが届いた。時間は明日の夕方5時。」と老人はその紙を見せながら、話してくれた。「わかった。・・あと最後に聞きたいことがある。」 「・・・なんじゃ?」 「なぜ?あんたは俺の上司を知っている?」この辺なら確かに正治は聞けば探偵だと皆が知っているが、その素性を知っているのは親族と事件に関わったわずかな人間しか知らない。それだけ、彼の肩書きには大きなものをもっているのは真にもなんとなくわかる。 「そうじゃな、蛇の道は蛇に聞けという言葉を知っておるか?」
この変な返しかたには最初何を言っているかわからなかったが、彼にはなんとなく察しがついてしまった。
「なるほど、うちの”お得意様”かそれか、”情報屋”だったのか?」 老人は「おおっ?まっ及第点はつけてやろうかの?」大方、この狸爺は別手段で稼いでいたようだ。「それにしても、わしがこんな汚れ仕事につかなければ孫が帰ってくる。この店前でさらわれるような事は・・・」 老人は再び悲しんだ。
「なら、今回の件があんたの分岐になるだろう。一言だけ言っておく、続けるのはあまりお勧めしない。
いままでみたいなことはあなたがよかろうと、息子さんに影響を及ぼす。これで自分の周りの立場が明白になったわけだ。あんたはここが潮時だと思うんだが・・」そういうと老人は「そうじゃな・・それとわしはあんたではない。夏木 宗次と名がある。おぬしのいう通りじゃ、正治さんには
申し訳ないがこれを機に足をあらうとするかの・・。」 すると真は、「必ず、お孫さんは生きて取り戻すから安心しろ。まずはこのことをうちの上司に報告するから、”夏木の爺さん”は今から言うものをあるだけでいい俺に譲ってくれ。」と老人に次の作戦のぃ必要なのものの指示と、真は経過報告と今後の行動を報告するため、真は事務所に連絡を入れた・・・
・・トルルルッ ガチャッ!(正)「・・・あああ~フゥ・・。 はいはい、こちら正治探偵事務所・・・。」
(真)「俺です・・真です。お疲れ様です。今よろしいでしょうか?」 (正)「ああ・・ご苦労。それでどうだった?そのオス猫は見つかったのか?」 (真)「はい・・居場所が特定出来たんですが・・・。」
真はこれまでの経緯を簡略に説明した。 (正)「ありゃりゃ、そんなことになっていたのか・・・うちのお得意さんの・・・それだけじゃ敵さんの情報が少ないな。 俺はこっちで明日の朝までに心当たりのある組織のリストと資金を用意する。本来なら警察でも頼むのが筋だが、お前だけでやるんだな?」 (真)「はい、こういう緊急事態ですし、このままでは猫だけでも敵が他方面へ売りにいきかねない。時は一刻の猶予もないかと・・」 (正)「そうだな・・初単独だが、油断するんじゃねぇぞ!」 (真)「はい、了解です。」 とあらかたの次の方針がついて、タイミングよく。
(宗)「・・おぬしが言っていた。例の・・・じゃ・・いったい何を?」
(真)「ああ、これを使ってやつらのアジトへ乗り込みをかける。」 と真は信じられない言葉を言った。
(宗)「おぬし、自殺行為じゃ。ただでさえ敵の素性すら憶測の域を超えない。それに武器としてこれだけでは装備として足りているか?」
すると真はおもむろに用意された道具を確認した。それはこの爺さんがその本業で仕入れて売買していた
一般人なら恐怖する代物の一部だった。 それは、過去に軍事仕様で使われてきた隊長クラスに相当する
者のみ許された。いわゆる権威の証とも言うべき代物”拳銃”だ。あと、小銃とバトルナイフが数本。
しかし、持ってきたものはパーツごとに別れ、まるで他の用途で使える部品ともいうべき代物に姿を変えてこの爺さんの手元にあった。
しかし、孫が誘拐されてすぐに受けとるはずだった者からの連絡が来ないという・・・。
おそらく、よほどこの爺さんの大事なものを奪ったやつらは、そこらのチンピラではないようだ。 金だけ?・・・
・・ちがう・・。 もっと他のような・・なんだか胸騒ぎがする。 用意する額もその三毛猫のオスの代金には到底
及ばない。それこそ闇金に借りるほどでもない。 たったの数十万だ。チンピラにしてはあまりにも
人身誘拐する度胸があるほどの肝の持ち主にしてはありえない行動だと思う。このご時世にその額で
生活をたった一人の人間でさえ改善できた話は聞いたことはない。もってジリ貧生活を5年分まかなう
(一食にご飯とスープの他にサイドメニューが足せる程度)ほどぐらいだ。 真はパーツの中から
あさりながら考えていた。
(真)「いや、これはあくまで最低限の防衛に最適だと思ったから、少し借りるだけさ。それに俺は銃は使わないぜ。」 彼はその中から取り出したのはナイフのみ、それもほぼ接近戦闘仕様の代物5~6本ぐらい。 (宗)「わしも長い事、この仕事についていたが あいつらはあの時あって思った。あいつらは
プロの殺し屋じゃ。火薬の匂いをかすかにしておった。銃火器を使うやも知れぬ やつらの本拠地にナイフのみで戦う奴はお前さんが初めてじゃ。」 宗治は信じられない顔でこちらを見ていた。
確かに確実にこんな代物のみで敵さんの懐に入るのはだれがどう見ても無謀としか思えなかった。
(真)「ああ、普通ならドラマや映画みたいにドンパチするなら確かに無理があるが、俺の戦いの場合は
ちょっと違うし、たとえそうなったとしても自分には鉛玉は効かないんだ。」
彼の言っている言葉に驚いたいたが、宗冶は冗談だと思い、(宗)「何じゃ、それぐらいの自信があるのか。まあ、どうあってもおぬしにしか頼る者がいないのも事実。わかったおぬしの勝手にしてくれ、」
そういうと宗冶は近くにあった仏壇に向き合って手を合わせた。 (真)「その仏壇の写真はもしかして?」 (宗)「そうじゃ、わしの妻と息子、そして・・その孫の母さんじゃよ。 わしがこの裏の世界に
手をつけたきっかけになったのも5年前・・この3人の亡くなった理由を見つけたかったのじゃ。」 真はその話を聞いて少し同情した。 この人はただ、納得のいくところまで必死の思いで探したかったのだと。
(真)「すまない。俺はそんなことも知らずに手を引けといってしまって・・」
(宗)「なに・・・その守るべき孫を失うかも知れない状況で今やっとわしのするべきことがわかったのじゃ・・だからたのんだぞ。」 宗冶は仏壇に向いた状態で拳を握り、こっちを向いたが、その笑みの顔に
片方の目から涙を浮かべていた。 (真)「ああ、俺のこの手にかけて・・」 そういうと真は再び明日の
準備を進めた後、彼らは明日のために眠ることにした・・・・
その夜・・・真は夢を見た。それは彼が幼少の頃から見る夢・・・・彼自身、今生きてきた世界ではない
・・風景で・・周りは草木が当たり一面に広がっていた。 彼はその草原に眠っていた。 なぜか大人の姿で・・そして隣には誰かが眠っていた。しかし鮮明には誰だったのか黒い影でわからなかった。
・・すると、突然に遠いところから叫び声がした。どうやら助けを呼ぶ声に聞こえた。しかし、その黒い
影は俺の裾をつかんで首を横に振り”いくな”といっているような感じで俺を引き止めていた。
(真)「・・おい、あっちで助けを呼んでいるんだぞ。いかなきゃまずいんじゃないのか?」
彼がそういっても影は首を振り続けている。すると、その影の後ろにも黒い影が手の形となり、
その影をつかみ、黒い渦みたいなものに引き込もうとしていた。真はなぜかこの影をその渦に
入れてはならない。そんな気がした。(真)「おい、行くなよ! そっちにいくな!」
その影の手をとろうとするが、その引き込む力に抵抗も虚しく、影は渦の中にひきこまれる。
すると、真は何かを叫んでいた。誰かの名前だったと思うが、彼が見る夢はそこでいつも終わる。
最後は、ある白い風景の中で必死に泣き叫んでいる自分らしき存在をみて目が覚める。
朝になっていた。真はそのとき、ふと頭に額の汗を拭いながら自分の力ともう一人の自分の力を
再認識する。この力は、きっとこの悪夢とも言うべき夢?もしくは過去のきおく?生前の?
まだ、彼にはこの状況を説明できるほどのところまで理解できていない。わかるのは自分以外の
生きているものなら触れて、あいつさえ呼び出せばその対象のこれまでの記憶から過去~現在。
そして、因果によって起こされる未来を頭痛を伴う代償で垣間見ることができる。それによって
伴う対象の影響はまだ定かではない。 まだ彼は過去の記憶しか見ていないからだ。
そして、その力自体使った後の代償は・・ (真)「うぐ・・・。ぐああああ・・」
彼はトイレへ駆け込む。彼は眠って起きた後必ず嘔吐した。原因はわかるがこればっかりは慣れない。
彼ともう一人の彼は同じであって同じではない・・ 一種の拒絶反応だ。そして、相手の情報は膨大な
量で彼らの中に入ってくる。人は眠っているときに記憶の整理をする。その中で本来の記憶以外は
普通の人間の頭には限界がある。だから、パニックを起こして今に至る。彼は必ず頭痛薬と正治から渡された青い錠剤を口にする。これは、この仕事に着く前に焔家専属の医師に調べてもらってつくってもらった俺専用の鎮静剤のようなもの。吐き気と記憶の錯乱を防止する。こんな状態でも力を使うのは彼はどうしても生前の記憶を取り戻したい。最近そんな衝動に駆られることが頻繁になった。あの事務所にいって眠ったときに真は感じた・・昔感じていた温かい感じに・・・。
電話が鳴る。 真の上司からだ。
(正)「俺だ。大体のやつらの目星がついた。何とか絞り込めて2組の組織がそこら一帯に活動拠点を移した。 その中でも一部が目撃されていて、昨日警察がそこらを巡回していて口封じで一人殺されたらしい。
しかし、警察もどちらの組織の襲撃かわからずに本格的に動き出すのはまあ聞いた話じゃ一週間かかる
ようなことを言っていた。結局のところお前しか動けるところに・・・いる。」となんだか様子が変だ。
(真)「大丈夫ですか?すみません。別件以外で手間かけさせてしまって。」
(正)「いや、こんなこと・・・ぐらい余裕だ。おそらく相手は俺の見解だがこの誘拐に関与している
組織はおそらく ”バースト”と呼ばれる集団の一味だと思う。こいつらは何かと資金を
調達する方法を持っていて、かなりの浪費集団として裏でもなかなかの有名な連中だ。
きいいつけろ・・・よ。」
・・・・プツ・・・・プープー。
正治はそのまま電話を切ったようだ。おそらく徹夜で疲れていたのだろう。真は準備したものを
少し大きめのバックにいれ懐に武装し、その店を跡にした。目指すはここから3区画先にある
地域。ここにいる住人にはこう呼ばれていた”屍の土地”と・・。
・・・いつの時代も格差は決してなくならない。それは歴史とそこに生きているものすべてが
証言者である。それは愛が足りない・・それは理解しえない・・それは必然などと言うようなことは
ない。たとえ共に協力して生き抜くと頑張ったとしても、自然と人為的に作られた絶望と破壊の前ではあまりにも無力だ。200年ほど前に戦いが終わった。正確には戦うための武器・兵力・資源が火の海に消えた。実質、人類初の戦場からの生存者は誰一人もいない。最後に残ったもの同士も拳銃を片手に互いの
頭を打ち抜いて絶命。一番恐ろしいのは、戦場で負傷した人間もなぜか家族のもとへ帰るものがいなかったという、それは真の歩いている一帯で確認がとれる。200年も前に終わった戦いの後が今もなお、この地に残っている。あたり一面に人々の骸が散らばっている。 ここは、その商店街から2ブロック行った所にある通称”屍の土地”と呼ばれる区画だ。ここにあるものは当時、家族の元へと送還されるはずだった。死体または負傷者の後方地帯へと搬送するはずだった戦争発端両国の攻撃禁止区域として両者の絶対領域だった。しかし、とある権力者は面白半分にひそかに地下で開発していた生物兵器ミサイルを両国から飛ばし、そのターゲットに卑しくもここを狙った。このとき戦況は五分と五分、ジリ貧に近い戦いを繰り返しよもや停戦を残すばかりとなったはずだったが、そのときにその生物核の光は無差別に戦えないものをあの世へと導いた。これほど人々に絶望を与える輝きはないだろう。そして、こともあろうにそのなきがらさえもひどい汚染状態でその土地自体を汚し、現在もその土地は埋め立てて道として使う道路以外はヘドロと今となっては誰もその骸を救い出す人はいない。 まず身元がわからないまでに粉々になり、生き証人もいない状況下で自分の家族を探すのは容易なことではない。そして、その骸を拾おうとしたものは・・・
(?)「うわわああああああああ!・・」遠くで誰かが叫んでいる。
前方を見るとこちらに向かおうとしていた大型運搬車がその道をはずれ、
ヘドロと化した地面にまるで沼に落ちたような状態でズブズブと姿を消そうとしていた。
その運転側に男性が叫んでいる。
(男性)「落ちる落ちる・・死にたくねーーーー!」
彼は何とか車から出ようとするが、窓が開かない。どうやら脱出用の工具すらないようだった。
真は走った。ここの地面は強い毒素で気化することもなくこの土地に浸透し、人がそこに
落ちれば数分と持たずに絶命する。浮かび上がってくるころには骨となってゆっくり歳月を
経て浮かび上がる。これが終戦後生きて帰るどころか、骸すら郷土の地に帰ることがない
理由だ。 男性はなおも小さく開いた窓から出ようとしていた。真は懐にあったナイフを
もち叫んだ。
(真)「窓から離れてください!!」 彼は下がる男性を確認し窓めがけて
ナイフを投げた。 窓が割れた。(真)「割れました!さあ、早く!!」 真は力いっぱいに
手を伸ばし、男性が飛び移ってくるのを受け止める準備をした。(男性)「おおおおお!」
男性は割れた窓を粉砕し飛んだ。 真が受け止める。しかし、男性の体重が重くズルズルと
斜面を降りて、片足だけその毒沼に入ってしまった。 しかし、真は平気だった。少し毒が
入ったが、そのまま男性を道まで投げた。 そして、彼は片足を手でつかみ目を閉じた。
すると彼の片足についていたヘドロが生き物のようにうねうねと動き彼の足から離れて
元の地面に戻っていった。これは昔から彼が傷や毒蛇にかまれた時に使っていきなぜか
元の状態に戻す変な力があった。医者に見せると、噛まれた後や傷跡はあるが、出血や
毒素はなくなっていたそうだ。つまり、真には毒は効かない。これの力は原因はわからない。
しばらくして、だいぶ落ち着いたのか男性は息を整えてから話し始めた。(男性)「青年!
助かった。俺の人生ここで終わるのかと思ったらパニくって、情けないとこを見せちまっ
たな。 (真)「いえ、でも何とか近くにいてよかったです。あと何十秒遅かったら・・」
(男性)「そんなことより、お前さんは足大丈夫だったか?」
(真)「いえ、何とか入らずにすみました。そっちは大丈夫ですか?」
(男性)「おう!心配してくれてありがとよ! 俺はこのとおり大丈夫だ!」 男性は真の背中を思 いっきりたたきながら感謝した。
(真)「ブッ(痛)・・・であれはどうするんですか? 何か運ぶ途中だったんじゃ。・・・」
(男性)「ああ~はっはっははあ~(笑)」 男性は笑っていたと思ったら、いきなり涙目になって 毒の沼のところへ飛び込もうとしていた。 真はすばやく後ろに回りこんで彼を止めた。
しかし、彼は体格がよく真の力ではズルズルと一緒に引っ張られてしまうほどの馬力があった。
(男性)「離してくれ!今の仕事は大事なものを運んでいたんだ。こんな状態で部下たちに申し訳がたた ねえ!」
男 性は自暴自棄になってしまった。よほど重要な仕事を任されたのだろう。
かなり混乱しているようだった。
(真)「そんな事を言っても、なかった事にもなりませんし、解決にもなりませんよ!」
真はなんとか男性を引き止めると説得を始めた。しかし、とまる様子はない。
(真)「なら、最後に私にわけだけでも話してください。それからでも遅くはないでしょう?」
すると、男性は納得したのか道に戻り座り込んでここまでの話を話し始めた。
(男性)「俺の名は”龍宮 和人”(たつみや かずひと)年は36.見てのとおり、大型車両運搬および客人からの交渉も一手に引き受けるそこそこ信用された運送業者”龍宮運送”の一人だ。」
その車両の荷台には龍の一文字が・・”龍宮運送”それはこの時代にいまだ数少ない旧時代の運送会社。かろうじて生き残った人々が
協力し合って、何とか復旧や工事を進めてきたのもやはりこういった運搬職がなければ、とても
人の足ではここまでの復旧は望めなかったであろう。 会社名と苗字が一緒ということは?
(真)「まさか、あなたは?」
(和)「ああ、俺は終戦から継いでいる七代目候補の一人であり、三人兄弟の次男坊さ」
真は驚いた。最近の真の周りには信じられないことばかり起こっていたが、こんなことにまで
なってくるといよいよもって自分のおかれてくる状況に疑心暗鬼になってくる。
誰かの手の上で踊らされている気がするような。
その頃・・ (正) 「ハックショイ!」 時代遅れのくしゃみして起きる男がここに一人。
正治は真に連絡してからどうやら眠っていたようだった。時刻は昼間の12時を過ぎたときだった。
今の状況に探偵なりに分析を始める。(正)「俺は坊主に連絡してから後の記憶はない。こんな状態は
初めてだ。いったい?・・・・!」 正治は最後の連絡時にあるものを飲んでいた。そして、自分の
いつも”隠しているものの量を数え始めた”(正)「これか・・どうりで・・服用してから一日で規定の
5倍。 しかもここの場所の所在を知っているのはあいつしかいない。」 推理するまでもなかった。
彼にとって唯一の弱点がそばにいない。そしてその目的も・・(正)「たく・・・誰に似たんだか・・こりゃあいつらに頼るしかないか」 そういうとダイヤルをまわし、旧時代の黒電話を片手に連絡をかけた・・・が、(正)「チっ!・・・血筋ってーのはここまで厄介なのかよ。」とつながらない。いまさらながらに自分の血ともう一人の血に恐ろしさを再認識する正治だった。
・・そして、話が戻り・・・その次男坊の龍宮 和人 その人はやっと本題を切り出し始めた。
それまでの間の自己紹介は長い&自慢話なので後々いうとして・・・
(和)「んで、今回は部下のやつらが遠方へ稼ぎにみんな借り出されてしまっていて、この現代当主の
6代目の親父からの依頼である物資を中央に運ぶ手はずだったんだが・・・これじゃあ・・。」
と龍宮はまだ沈み続けている龍の形に自分色にカスタムされた愛車に眼を向けた。・・・!
その時・・車両をもう一度みた真はあることに気づいた。
(真)「龍宮さん・・・」 (和)「俺は堅苦しいのは正直嫌いでな、親父と間違うから”カズ”さん
と呼んでくれ、何だ安藤?」 (真)「いや、あの車両の後ろに何かいる!」
さっきまでなぜ気づかなかったのか?あの車両の二台の下に何かいる。それはその車両がいよいよもって地面に消えようとした次の瞬間。ヘドロを振り払って その”物体”は飛んだ。
道の真ん中にとんだ物体は着陸した。 それは大きな金属体でできた8つの赤いレンズ光る蜘蛛のような
形状をした旧時代の遺物。 (和)「あれは、俺が運んでいた模造品・・何で動いてやがる。」
(真)「え・・なら・・もしかしてあれが、」
(和)「ああ・・・いきなり左右にハンドルが振られて何とか持ちなおしたが、しばらくして後ろから何かが破裂した音がしたと思っていたら・・・なんであいつが動いているんだ?あいつは旧時代の遺物で機能はすべて200年も前にすべて、”核”ってやつにすべてダウンしたって、」
和人の言うとおり、核の放射したEMP電磁パルス(強力な電磁波)によってその当時使っていた兵器すべて投入した決戦で
すべての兵器は確実にシステム自体破壊されたと、もちろんその研究施設・工場も含めて・・・
(真)「そんなことよりも、その兵器さんがこっちを見ているんですが、・・」
といった次の瞬間! その兵器は少し歩む行動をとり、攻撃する体勢をとっていた。
(和)「もしかして、あいつ今度の標的に俺たちを・・・」
(真)「カズさん。」 (龍)「オウ・・・」
二人のやることはひとつだった。
彼らは二人同時に後ろを向き一目散に逃げ出した。
それを見て敵は後を追う。しかし、思うように動かない。距離をとりながら見ると、どうやら
8本の足の片方3本の足が変形している。おそらく車両横転の際に壊れてしまったのだろう。
(和)「あいつ、もしかして動けないんじゃねえのか?」
(真)「いえ、確かあいつは・・・。」
するとその物体は横向きになり、こちらに向かって音を鳴らしながらはねてきた。
(和)「おいおいオイ!マジかよ!機械兵器にしては柔軟すぎじゃねえか!」
(真)「あいつは確か、対人市街地戦闘用に縦横十字にその装甲とその足で踏み潰す
悪魔の兵器として使われた無人殺戮兵器。足を一本だけ残してもその
歩みをやめない。敵味方関係なく対象物をその手にかけないと決して止まらない。」
必死に距離を縮まれまいと逃げながら話す二人。
(和)「俺はそんなものを・・じゃあ、このまま逃げた先の町に着いたら・・・。」
(真)「そうです。小さな町ならあいつ一匹いれば、壊滅します。」
(和)「じゃあ、どうしようもねえじゃねえか!!!」
(真)「いまは!!!・・・逃げることだけ!!!考えてください!!!!」
真は叫んだ。
(真)「この先にさっき見た廃墟が!!!!頑張って逃げてください!!!」
その数百m先には戦時に破壊された廃墟が見える。
(和)「あれか!!了解だ!!!」
兵器との距離を稼ぎつつ、真たちは廃墟の高台を目指した。
その頃・・・真が兵器に追い回されていた頃・・・。
真が離れた商店街に一人の人物が 孫の無事を祈っている 宗次の店に入ってきた。
(宗)「申し訳ないのう。入口前の立て札見えなかったかい?ちょっとわけあって店は
やっていないんじゃ、悪いね。」
(女性)「いえ、ちゃんと確認しましたよ。だけど別のことで聞きたいことがあるんですよ。
”宗”爺ちゃん。」女性は宗次の事をしっているようだった。
(宗)「おぬしはもしや、その顔立ちに見覚えがあるの・・・おお!思い出した!久しいな!
何年ぶりかの?」 どうやら宗次も彼女のことを覚えているようだった。
(宗)「しかし、大きくなったの!母さんにそっくりになって美人さんになったもんじゃの?」
(女性)「そ・・そう?(恥) お世辞がうまいんだから じいちゃんは。」
(宗)「して・・その嬢ちゃんの後ろにいる。もう一人の嬢ちゃんは?」
(女性)「あははは・・やっぱりバレちゃうか。ほら出てきて、」
女性が手招きするともう一人の女性が物陰から出てきた。
・・・ジジッ・・・ジリ・・ガリ・・崩れた廃墟の破片を大きな鉄の足が容赦なく踏み潰す音。
その鋼鉄の何かは熱源センサーを頼りに目標に向ってゆっくりゆっくりとあらゆる対象物を
少しづつ砕きながら進んでいた。その熱源に近づいた何かは熱源を攻撃範囲に届くと勢いよく
片足を振り下ろした。まず一匹、すかさずもう一匹もそのまま串刺しにした。
よく見ると、小さなねずみが2匹死んでいた。 その後、鋼鉄の何かは次の熱源に向って
横とびを始めた。その何百m先にさっきまで狙われていた男二人は物陰に息を潜めていた。
その一人真はどうするべきか腕組みしながら考えていた。 そして、もう一人は腕組みしながら
その殺人兵器の動向をチェックしていた。時刻は昼の13時をまわっていた。
(和)「おい、どうするんだ。このままだとそこらへんのネズミがいなくなるか、もしくは
俺たちのことを見つけ次第襲ってくる気満々だぞ。」
(真)「わかってます。だけど、何個か対策があるんですが、俺も歴史書で読んで知っただけ
ですから、あいつの弱点がわからないんです。」
(和)「まいったな。ならあのでっかい塊を落とすってのはどうだ?」
(真)「いや、あいつは俺たちを追いかけてきたときに周囲を壊しながら進んできているのに
塊や周りの飛んできたものを粉々にしておいかけてきましたから、きっとあの駆動部分
ぶつけて動きは一時止まりますが、そのあとかろうじて一本だけでも足が残ってしまえば
あいつは機動力なくしてもおそらくあの跳躍で何が何でも俺たちを追いかけてくる
でしょう。あいつの武器はあの足での攻撃と本体によるプレス。これです。」
そう、あの兵器は動く以外にほかでエネルギーを使わない。原始的で一番厄介な
やつでチェスの駒で例えるならルーク。 攻守ともに使える準捨て駒。
戦時でつけられた愛称は”アサルトデフェンス”略して AD
(襲撃の守り手)として各国がその存在を知ってから、我先にと開発した結果の
完成系が現在 時を経てここで主をなくして、今暴れている。
過去の戦時での記録だと歩兵5人を爆撃装備であたってやっと倒せる代物。
機能が落ちているといってもあれだけの動き・・。
量産とはいえ、こっちは装備どころか武器もナイフと廃墟にある落石を利用する
この攻撃ではではさすがに時間稼ぎしかならない。 そして、こいつは一度
見つけた相手を追尾する機能がついていたはず、今は周りいる小動物に気が回っているが、
ひとたびそれよりも大きい熱源が動いたらそこにターゲットを切り替える。
(真)「和さん。」 (和)「何だ?安藤。」(真)「あの岩ぐらいなら一人で落とせますか?」
(和)「ああ・・、あのぐらいなら・・そこらへんにある木材でてこに使えば・・」
(真)「なら、あいつがあの下にきたらカズさんの言うとおり、落としてください。」
(和)「・・・でその後はどうするんだ?」 (真)「後はそのまま逃げてください。」
(和)「・・ハア?お前はどうするんだよ?しかもあいつ倒すんじゃないのか?」
(真)「ええ・・倒しますよ。あいつにはひとつだけ弱点がありました。」
真は一通りの説明を終えると早速行動を開始した。
・・時刻は14時・・これ以上の時間ロスは取引の時間に間に合いかつ、準備の時間がなくなる。
取引だけでは宗次の爺さんのお孫さんは決して帰ってこない。更なる追加要求が何らかの方法で
おこなって、トンずらされるのがオチだ。なんとしてもそれだけは避けたい。
真はそこらへんにある石を数個もってそのひとつをADに投げつける。すると、その物体は
突然、足を引っ込め。まるで亀の甲羅のような動作をして身を固める。・・・?
今のこの行動に違和感を感じた。 何かを防ぎたかった?何だ?ただの小石だぞ?
・・ADは姿を元に戻すとゆっくりとこちらにはねる用意をした。
(真)「動きが鈍くなった?いや・・・違う。こいつは攻守の万能型だけどその攻守の切り替えに
多少なりのタイムラグがあるのか?・・・」
真はすかさず小石をさっき投げた箇所付近を狙って投げた。・・・すると、また同じ防御姿勢に
切り替える。そこは紛れもない地を這う生き物によく目にする回避行動。
真が投げていた箇所は足と足の間にある駆動部分から中へ小石を投げた。それがカランカランと入った
音をすると、やつは防御の姿勢に入る。
これを繰り返しながら、やつを目標に誘導する。真の合図で和人がてこを使い、岩を落とした。
何とか残りの5本のうちの左側4本の部位破壊に成功した。 ・・・後は指示通りの場所まで
一目散ににげるのみとなった。降りてきた和人と真は合流する。それと同時にADは残り一本の
足でなおはねて追ってくる。しかし、スピードはさっきよりも遅く。鈍い音をたてながらでも
しっかりとついてきていた。しかし、ついてくることも計算済みの二人は最後の場所に立つ。
そこは、その建物の3階屋上。そして、その二人の後ろにはヘドロの地面がある。
そこに追いついた敵は獲物が逃げないと思ったのかゆっくりと飛ぶ体制をとり、2人めがけて
跳躍した。ただ、その動きは何回もやっているので先によけるのがわかれば
2人は別々の方向へ逃げた。すると目の前はぶつかる対象物もなくそのまま敵は
ヘドロの中へ落ちた。しかし、ADはもがきながらもそのヘドロから逃げようとする。
そこに2人で運べるだけの岩を敵の頭上に2~3回にわたって落とし、やがてその兵器はヘドロの中へと
消えていった。やっとあの脅威を2人で退けた。あれから30分が経過していた。
(和)「はあ~、なんとかなったな。まるでハリウッド映画の主人公になった気分だぜ。」
拳をあわせながら、真も息をきらしながらうなづく。
(真)「たく、依頼もまだ終わって(ハァ・・)・・・ないのに(ハァ・・)こんなところで仕事以外で
体力使ってこの後どうしろって・・・」
(和)「なァ・・あいつは一回あのヘドロにはまっていて。しかも、やっぱり足一本で襲ってきたが、
どうしてこの方法で沈黙したんだ?」
(真)「それはあいつがどんな装甲であっても、中身は機械仕掛けであり、その駆動部分は
弱く、一時の間ならあのヘドロも入ってきませんが駆動部分からは徐々に浸透し、
さらに足を砕いて結合部が露出すれば、ただの水ならともかくこのヘドロは機械にも
さまざまな不純物を持つ毒ですから、浸透するまで後は最後の岩であがってくるのを
防げば、やがて一番浸透してはいけない部分に浸透すれば・・・」
(和)「どんなものにも心臓部がやられれば機能は停止し、やがて壊れるってわけか・・・なるほどな。
でも、作戦の段階じゃそんな確証はどこにも、それにやつの動きが遅くなかったら今頃。」
(真)「・・・ええ、俺たちがあいつの餌食になっていましたが、あいつは確かパーツごとにじゃなく
必ずこのままでもっていけとの指示だったでしょう?」
(和)「ああ・・分解すると旧式だから大切にって・・・・・・ッてなんでしってるんだ?
そんなことは一言も・・・そういえばあの時、安藤は性格変わらなかったか?」
真は少しあわてたが、冷静を取り戻し、(作戦開始時に拳あわせた際にあの力を使った)
(真)「・・いや、気のせいじゃないですか? しかも、あいつに石を駆動部の隙間に入れると
足を内側に丸めてまるで蜘蛛が弱った時のような防御の姿勢になってその中に入った
石ころを戻る際に一緒に回りに飛ばしていたんで、内部に入った時、必ず不純物を
排除する度に防御をとっていたので、あいつは生み出されたときから分解や修理も
あのままやっていたのかなってところから・・・」
(和)「なるほどな。すごいな!まるで安藤は探偵みたいだな!」
・・・まあ・・探偵見習い?助手的な立場にいるはずだが、真は余計なことは言わない
ことにした。あまり部外者にこの話をするとその事件に巻き込んでしまいかねないからだ。
それにこの兵器との死闘で何かいやな予感と視線を真は感じていた。
電話が鳴る。・・・
(?)「はい・・・ええ、監視衛星からの映像ですがですが、ついさっき 旧時代の遺物が
勝手に動き出し、そこにいた男性2名に沈黙されてしまったと技術班からの連絡です。
(?)「ええ・・あいつには特殊工作に使用される偵察及び捕獲用で・・戦闘用よりも
能力は落ちますが、それよりもまずこの反応は、・・・はい・・はい・・
・・・ええ、そのとおりです。100年前におきた披検体と同じ・・・
わかりました。今回はどちらの人間か定かではありませんが、この2人の
人間の元に監視役をつけようと思います。はい・・・はい・・・。」
謎の人物は、電話を切ると・・・独り言をはじめた。
(?)「やっと先代が残した実験が再開できるんですね。楽しみですね。
この遊び(実験)が人類に進化とすばらしい実りを与えてくるはずです(笑)」
謎の人物は席をたち、気味の悪い高笑いをした。
すると、再び電話機を持つと、その依頼をする人物に連絡を早速取り始めた。
(?男)「なんだ?変態・・・自慢話と空想話はほかのやつを当たってくれ。今の俺は
女相手に忙しいんだ。邪魔するなら。」
(?変態)「いいんですか?その子と今後遊ぶためのネタを仕入れたんですが・・・」
(?男)「なんだ?今回はやたら素直じゃねえか?それほど重要な山仕入れたのか?
いつもなら、変なうんちくたれて俺様の沸点高くして楽しんでから
依頼しやがるのによ。」
(?変態)「ええ・・・今回は不確定ですが、謎の男2人を監視してほしいのですよ。」
(?男)「アァ?(怒)男2人?ふざけんな!女ならともかくよ!野郎の監視なんて・・」
(?変態)「はいはい・・話は最後まで聞いてくださいな。・・今回は今までの5倍の額でしかも、その男の一人がもし捕獲対象だったら、さらに捕獲以来で同じ額で今回は交渉しようじゃありませんか?」
(?男)「おお?しょうがねえな!おう引き受けてやるぜ。その監視役ってのを」
こうして、謎の?変態と?男は密かに契約を交わした。標的は2人。
安藤 真 と 龍宮 和人 を・・・・・。
そして、一方その頃 正治は・・(正)「おう、俺だ。調子はどうだ?」電話をかけていた。その相手は・・・(女性)「あら、ずいぶん久しぶりね。何かあったのかしら?」それは正治の妻 弥生だった。
(正)「ワリィな。誰かさんとそっくりの奴が護衛と俺に睡眠薬盛って、どこかに消えちまった。さすがにこっちではどうにもほかの依頼と並行してこなすには無理な状況だ。」正治の後ろから罵声と悲鳴が聞こえる。
(弥)「あらあら、大変そうね。そっくりなのは仕方ないでしょ親子だもの。
しかも、好きなもののためならたとえ父や母であっても眠らせてその当人にさえ飲ませてものにする貪欲さは私はさすがというべきかしら?」弥生は、舌なめずりをした。その音を聞くと正治は必ず背筋が凍るような感覚に襲われる。この夫婦の関係はなんか他人事で聞くと確実に怖い。
(正)「お前のそのへんがどうにも好きになれんところだな。それよりもお前ずいぶん平常心だな。いつもなら冷静さにも少し焦りが混じるんだが、」
(弥)「ええ・・今回はあの子から頼まれて一人優秀な護衛をつけたの。」(正)「なるほどな。・・・あいつか・・・まッあいつなら大丈夫だろう。」
そういうと、正治は電話をきった。正治のほうの仕事のほうも動きがあったようだ。
(正)「じゃあ、俺のほうも動くとしますか!!」
----------- end ーーーーーーーーーーーーーー
これから回を重ねるごとに世界観と様々な白と黒のコントラストを主人公を軸に展開して、読み応えのある小説を短期間で作っていこうと思います。再度感想をぜひ聞かせて下さい。ダメ出しも受け付けます。