新入生に注目
「「「皆さんよろしくお願いしまーす!」」」
そんな声が聞こえて来る平日の大学。
「みんなご苦労様なこった」
「まー……良いんじゃないっすか?」
先輩が気怠そうに言ってくるので半分聞き流していた。
「そう言えば新入生の中に物凄いべっぴんさんが入ったらしいじゃん、知ってるか?」
べっぴんさんなどと言っている時点で既に会話をする気など失せている。
「確かに可愛い女の子が入りましたよ、確かハーフだった気が……名前も長かったですし」
「ハーフなうえに頭も良いんだろ?羨ましいわー」
何を基準にしたら羨ましくなるのだろうか。
「人間平凡が一番ですよ」
「まぁーそうだな」
先輩が何かを納得したみたいで良かった。
「それじゃあ先輩また明日」
「ん?今日も用事か?」
「はい」
「たまには可愛い女の子でも集めて飲もうと思ったのになー」
「すみません、また今度で」
自分の言葉で会話を締めくくり小走りで何時ものBARに向かう。
「……あれ?」
階段を下りて扉の前まで来るとそこに「本日貸切」と書かれた札が掛けられている。
「誕生日でも開かれているのか?」
楽しみを味わえなかったことは残念だが誰かの誕生日なら仕方がない。
踵を返して階段を上がる、すると俺とは逆に階段を下って来る人が来た。
その人は何故か有名な女子校の制服を着ている。
擦れ違いざまに目が合う、何処かで見た顔だと思ったが思い出す前に扉を開けBARの中へと入っていった。
その子が大学内で話題になっている新入生であると思い出したのは、家に着いてからであった。