今日は、
魚。そう、魚です。
今日は、少し水温が高いようだ…。毎日のように酷使している尾ヒレも、追い風を受けているように軽快に動いてくれている。私は、サクラ鯛。しがない、鯛だ。
いつものように、食べ物が豊富な浅瀬に移動する。
「やぁ、サクラくん。今日は、漁師が出向いてきてるから、食べるのもほどほどに引き上げたほうがいいよ。」知り合いのうつぼくんが岩の隙間から顔を出す。
「今日は、メバルくんと遠出するからすぐに帰るよ。…イサキくんは来てるかい?」
サクラくんは、辺りに漂う食べ物の香りに顔を緩ませながら返した。
「イサキくんは…。イサキくんは、漁師につかまっちゃったよ。もう、生きていないだろうな。」と暗い顔で応えた。
サクラくんは、落ち込んだ気分になりながら、いつも食事をとっているわかめを目指して進む。
以上、魚でした。