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1/1

4/25雷竜vs激突

フリースペースの堅い椅子に腰かけて、デッキとコアケースをテーブルに置く。

いい歳をしてカードゲームが趣味はどうかと言われるが、好きなものはしょうがない。

平日の疲れや休日の家事を言い訳にショップ大会から遠ざかっていたが、

今月から新レギュレーションが開始された。

インフレしきったカードパワーがリセットされた。

コア1個の置き方で勝敗が左右される環境が帰ってくると思うと、どうにも我慢ができなかった。

土曜日の夕方、雑事を片付けて空き時間を作り、その日大会のあるショップに向かった。


大会のあるショップは急行で2駅、ギリギリ地元と呼べる場所にある。

30分前に到着してフリースペースに入ったが、見知った顔はなかった。

大会にこそ出なくなったとはいえ横のつながりはそこそこあるつもりだったので、

知り合いが一人もいないという状況は想定外だった。

思った以上に、不人気なのだろうか。

私はただ単純に、好きだったあの頃のバトスピが帰ってくると浮かれていたのだが、

カード資産を抱えた人や「エターナル」のプレイスタイルに順応できている人たちの不満は私の想像を超えてしまっていたのだろうか。


TCG+、バンダイゲーム専用のアプリで確認すると、私以外に2人がエントリーされていた。

フリースペースをゆっくり見渡したが、バトスピの特徴であるコアを盤面に展開しているプレイヤーは見当たらなかった。

よく考えたらTCG+を使って大会に参加したことは一度もなかった。

ショップに来たのはいいけれど、これから何をしたらいいのかわからない。

昔は買取カウンターの横に受付があって、小銭を握りしめていったものだが、今はどうすればいいんだろう。

アプリに任せておけばいい気もする。でも、参加費はいつ払う?そもそもアプリの操作は必要ないのか。

この期に及んであれこれわからないことが浮かんで不安が加速する。

程なく店内アナウンスでバトスピの参加者はTCG+でチェックインすればいいこと、参加費は大会開始時に徴収することなど説明があった。


時間になり、店員さんの案内で大会参加者が集められた。

シンプルで清潔な感じのシャツを着て、レンズの大きなメガネを掛けた学生さんぽく見えるお兄さんと、

ややオタクっぽく明るい色のグッズを自然に抱えた社会人ぽく見えるお兄さん、どちらもきっと20代でバトスピのメインターゲット層だと思われる。

二回りも上の私は彼らからどう見えるんだろう。

私も含めてみな初対面の様子。

TCG+はマッチングと勝敗報告機能を兼ね備えている。

私の一回戦の対戦は不戦勝だった。

学生さんぽいお兄さんは折り目のくっきりした紙のプレイマットを広げる、社会人っぽいお兄さんはちょっと年季の入ったバトスピオフィシャルプレマだ。

断定はできないが、学生さんは初心者寄り、社会人さんは復帰勢といったところかな。

二人の対戦を観戦することはルール上なんの問題もないが、どちらが勝っても二回戦に対戦する選手、

私だけが情報アドバンテージを取ってしまうのはフェアではないので、席を立つことにした。

商業施設の一角に組み込まれたショップなので、フロアをぐるっと巡って戻った時には対戦が終わって盤面の片付けをしているところだった。

勝ったのは社会人さんの方だった。

対戦を見ていないうえで申し訳ないのだが、順当に見えた。

彼が二回戦、私の対戦相手になる。

学生さんが立った席に私が腰を下ろす。

席を譲った学生さんは自然と隣に座って観戦モードに入った。

店員さんが時計を見て第二回戦の開始を宣言した。


使用デッキは「雷竜」。

コア効率重視、序盤から押し切る構成だ。


先攻後攻を決めるじゃんけんは私の勝ち。

手札を確認する。


悪くない。


ディヴァエス

ファイアピラー

ストドル

ヴェロキラント


後攻を取るなら最善手、

後2で使えるBPマイナススピリットとマジックが揃っている。

迷わず後攻を宣言した。

お相手は手札交換なし、私も手札交換なしを宣言してゲームが始まった。


相手1ターン目


1枚ドローした後、間を置かずにネクサスを配置した。

<浮遊樹園>

赤か。


---

浮遊樹園

4(2)/赤/紅雲

<0>Lv1 <2>Lv2

Lv1-2『配置時』

BP2000以下の相手のスピリット1体を指定する。それを破壊する。

Lv2『自分のアタックステップ』

ターンの最初に自分の赤のスピリットがアタックした時、そのアタックしたスピリット1体を指定する。このバトル中、それをBP+2000する。

---


アタックありきの効果。激突なら厄介だ。

配置時効果不発はきっとなんの問題もない。

先行1ターン目にフィールドにシンボルを配置、それで十分だ。


使用可能コア0個でターンが返ってきた。



自分2ターン目


ドローは<ファイアピラー>。

2枚目だが腐らないので問題ない。

4コスト真界放持ちスピリットは後2最強。

想定通り<ディヴァエス>を召喚する。


---

ディヴァエス

4(2)/黄/雷竜

<1>Lv1 4000 <3>Lv2/真界放 6000

Lv2《真界放》『アタック時』

相手のスピリット1体を指定する。このターン中、それをBP-2000する。その後、それがBP0なら破壊する。

---


アタックステップに入り、真界放状態の<ディヴァエス>ででアタックする。

相手にはライフで受ける以外の選択肢はない。


5-4


私の手札は4枚、使えるコアはソウルコア1個。


相手3ターン目


<ペルガソス>が召喚された。


---

ペルガソス

スピリット

4(2)/赤/紅雲・風炎

<1>Lv1 4000 <3>Lv2/真界放 6000

Lv2《真界放》【激突】『アタック中』

相手のスピリットすべては、可能ならブロックする。

---


激突持ち、読みは当たった。


<ペルガソス>のアタック。


幸い盤面の<ディヴァエス>は疲労状態、

ライフで受けることになんの躊躇もない。


4-4


相手の手札は4枚

使えるコアは2個とソウルコア


自分4ターン目


ドローは<ディヴァエス>の2枚目。


<ヴェロキラント>を召喚、


---

ヴェロキラント

スピリット

4(2)/黄/雷竜

<1>Lv1 4000 <2>Lv2 5000

Lv1-2『アタック時』

相手のスピリット1体を指定する。このターン中、それをBP-2000する。その後、それがBP0なら破壊する。

Lv2『自分のエンドステップ』

このターンに自分が系統:「雷竜」を持つマジックカードを使用していたなら、このスピリットを回復できる。

---


フィールドの<ディヴァエス>がソウルコアを使ってしまっているが、

こちらはLv1からアタック時BPマイナスが使える。


このターンで<ペルガソス>を破壊する。

2体のアタックでBPマイナス4000し、マジックを1枚使う。

難しいことだとは思えなかった。


<ディヴァエス>からアタックしたのに深い意味はなかったが、

フラッシュタイミングに相手が動いた。

「フラッシュタイミング。<フレイムハリケーン>を使用、<ヴェロキラント>を指定して、破壊します。」


---

フレイムハリケーン

6(3)/赤/風牙

《ソウルマジック:[赤]》

自分の赤シンボルがあれば[ソウルコア]だけで使用できる。

フラッシュ:

BP7000以下の相手のスピリット1体を指定する。それを破壊する。

このターンに自分のライフが減っていたなら、かわりに指定するBPを10000以下にする。

---


切り札であるソウルマジックを序盤のこのターン、この盤面で使うと想定していなかった。

甘かった、相手も本気だ。

盤面から<ヴェロキラント>が除かれる。後続はいなくなった。

盤面にはBP4000になった<ペルガソス>が健在。プランが崩壊した。

シンボルが1つになってしまった今、フル軽減の取れない状態でマジックを撃つことに意味はない。

一瞬のパニック、そして思い出した。

まだ終わらない、スタンダードにはメイン2がある。


アタック側にフラッシュがないとこを宣言、お相手はアタックをライフで受ける。

追撃は許さないが、使用コアを増やす、ライフ3までは安全圏。手慣れたプレイヤーの思考だ。

アタッカーを失った私はアタックステップを終了し、メイン2に入る。


選択肢は2つ。

このまま<ペルガソス>を残してターンを返す。手札にマジック2枚とコアが温存できる。

もしくはBP4000まで落ちているペルガソスをファイアピラー2枚消費してでも打ち取る。


腹は決まった。

<ストドル>を召喚。


---

ストドル

2(1)/黄/黄玉・呪物

<1>Lv1 2000 <2>Lv2 3000

Lv2『相手のアタックステップ』

自分が系統:「黄玉」を持つマジックカードを使用した時、このバトル中、このスピリットをBP+2000する。

---


使えないテキスト、BPも低い、返しのターンに激突されたら抗うすべはない。

だが1コア消費で1シンボルとなる。今はこれが重要だ。


「ファイアピラーを使用、<ペルガソス>をBPマイナス2000します。」


---

ファイアピラー

3(2)/黄/雷竜

メイン:

1枚ドローする。

フラッシュ:

相手のスピリット1体を指定する。このターン中、それをBP-2000する。その後、それがBP0なら破壊する。

---


シンプルなBPマイナス破壊マジック。

デッキにはリバースサンダーと合わせて6枚入っていることが「雷竜」の基本構築だ。


続けてもう一枚も使う。

「ファイアピラーを使用、<ペルガソス>をBPマイナス2000、ゼロになった<ペルガソス>を破壊します。」

残り手札は1枚。

この局面で相手が使用したソウルマジックとこちらが使ったマジック2枚の価値の軽重はわからない。

だけどこのターン、お互いは持てる全力で相手の展開を阻止した。


4-3


相手フィールドシンボル1個、手札3枚。

自分フィールドシンボル1個、手札1枚。

これで相手にターンを返す。


相手5ターン目

7コア


手札から2枚目の<ペルガソス>が召喚される。

僅かな徒労感、いやしかし1コアと手札1枚を消費させた。


続いて手札から<サンスポーン>が召喚された。


---

サンスポーン

スピリット

3(2)/赤/紅雲・風炎

<1>Lv1 3000 <3>Lv2 5000

Lv1-2【激突】『アタック中』

相手のスピリットすべては、可能ならブロックする。

---


小型の激突だ。

使いどころが難しいが、今の盤面には確実な使い道がある。


相手は<サンスポーン>でアタック。

お互いにフラッシュはない。

盤面には最小クラスのスピリット、ストドル。激突から逃れることは出来ない、

ブロック宣言、そして破壊。

余りに早い退場劇だったが、1ライフを守ったことで仕事をしたことにする。

アタックステップ終了、後続はない。

真界放状態の<ペルガソス>はブロッカーとして残る。

ライフ3までは削る、それ以上は危険、ちゃんと解っているプレイヤーだ、強い。

メイン2はなにもない。

ターンが返ってくる。


4-3


相手フィールドシンボル3個、手札2枚。

自分フィールドシンボル1個、手札1枚。


自分6ターン目


ドローは三枚目の<ディヴァエス>。


今や盤面を更地にするのは絶望的だ。

ネクサスに触れない黄色の不利が気持ちに重くのしかかる。

盤面をコントロールできる最後のターン、正念場だ。


使用できるコアを数える、8個。

コアは足りている。

2体目の<ディヴァエス>を召喚、コアを3個乗せてLv2にする。

ソウルコアの乗っている方の<ディヴァエス>に通常コアを1つのせて、

ソウルマジックが撃てるように見せかけるブラフを張る。

手札に一枚だけ握られているのは最後の<ディヴァエス>だが、

これをマジックに見せる。


ソウルコアが乗っていない方の<ディヴァエス>でアタックする。

対象は疲労状態の<サンスポーン>、残りBP1000

一方<ペルガソス>のBPはそのまま、ブロックされれば相打ちになる状態。


「ライフで受けます」


ブラフが通ったのか、相打ちを嫌ったのかはわからない。

それでも賭けに勝った。私が思い描いていた結果。

続けてもう一体の<ディヴァエス>もアタックする。

BP0となった<サンスポーン>は破壊されトラッシュへ。


「そのアタック、ライフで受けます」


ここでブロックされても本望、と思っていたので気持ちが軽くなった。

初心者はよくバトル負けを嫌う。

相手は思っていたほど手練れていないのかもしれない。


4-1


ライフ差は圧倒的と言っていい。

返したターンに4点取られることはあるのかと考える。

緑なら全く安心できないが、赤ならどうなのだろう。

激突軸なら軽いスピリットはそんなに採用しないはずだが。

ここで赤のカードプールを善く知らない私は疑心暗鬼になった。

そして後で致命的とも思えるプレミをしてしまった。


「<ディヴァエス>を召喚します」


激突対面に、ブロッカーとしては低性能のスピリットを捨て駒として召喚。

それよりなにより手札を切らすことでブラフの余地をなくしてしまうというボーンヘッド。

気が付いた時にはターンが返っていた。


相手7ターン目


新たな<サンスポーン>がフル軽減で召喚される。

そして<サンスポーン>のアタック。

ターン最初のアタックなので<浮遊樹園>の効果でBP2000が加算されて

BP7000で出番を間違えた哀れな<ディヴァエス>に激突してくる。

手札のない私にはなすすべもない。破壊される。

それ以上はアタックに来ない。


4-1


---

自分のフィールド

ディヴァエス

ディヴァエス

手札0


相手のフィールド

浮遊樹園

ペルガソス Lv2

サンスポーン Lv2(疲労)

手札2

---


前ターンの失策があったとはいえ、盤面はあきらかにこちらが有利。

このターンでの勝ちは揺るぎないと思っていた。


自分8ターン目


ドローは<ソーサリード>


相手ブロッカーは1体、B6000、

アタック時効果でBPを下げれば打ち取れる相手。

ライフは1しか残っていないのでブロックせざるを得ない状況。

こちらはBP6000が2体。最悪でも手札を枯らすことはできると思っていた。

ライフはまだ4残っている。

負ける要素はない、

そう思った。


<ディヴァエス>でアタック、<ペルガソス>のBPを下げる。

当然<ペルガソス>がブロックする、そして…


「マジック、ブレイククローを使用します。<ペルガソス>をBP+3000、BP7000です」

意表を突かれて焦る。

でもまだ後続がいる、詰め切れる。

最後の1ライフを削るプランは揺るがない、はずだった。


「マジック、フレイムハリケーンを使用。<ディヴァエス>を破壊します。」


思考が追い付かない。

アタック宣言をするまでは勝ち確だった盤面が跡形もなく崩れた。

ブロックされた<ディヴァエス>はBPを比べて破壊され、私のフィールドからシンボルが無くなった。

辛うじて手札に残った<ソーサリード>をメイン2で召喚したが、返しのターンに激突される運命を避けることは出来そうにない。


4-1


---

自分のフィールド

ソーサリードLv2

手札0


相手のフィールド

浮遊樹園

ペルガソス

サンスポーン

手札0

---


まだライフ差はあるが、もうライフ差しかない。


相手9ターン目


ドローしたカードはそのまま召喚された。

<ポーグリフォ>


---

ポーグリフォ

4(2)/赤/紅雲・風炎

<1>Lv1 4000 <3>Lv2 6000

Lv1-2【激突】『アタック中』

相手のスピリットすべては、可能ならブロックする。

Lv2『アタック時』

1枚ドローする。

---


<ペルガソス>と並ぶ中型の激突持ち。

お互い手札を使い切った今、スピリットの数は力だ。


<ポーグリフォ>でアタック、<浮遊樹園>の効果でBP8000まで上がっている。

ソーサリードはあっけなく激突に散った。

ここからフルアタックしても私のライフは2残る。

私のフィールドのシンボルを消したところでアタックステップが終了された。

今や相手に焦る必要はない、手札もシンボルもなく中型2体が立ちふさがっている状態。

この盤面を覆すイメージは、ない。


4-1


---

自分のフィールド

手札0


相手のフィールド

浮遊樹園

ペルガソス

サンスポーン

ポーグリフォ(疲労)

手札0

---


自分10ターン目


追い詰められもした、逆転して一時は勝利を確信した。

ドロー毎、アタック毎に潮目が変わるいい試合だった。

あとはスマートに敗北しよう、

そんな諦めの境地で引いたドローだった。

ドローしたカードは<雷噴ペールクアール>


---

雷噴ペールクアール

スピリット

7(3)/黄/雷竜

<1>Lv1 8000 <3>Lv2 10000

《継召》

トラッシュのEXシンボルを除外し軽減できる。

Lv1-2『アタック中』

このスピリットはBP4000以下の相手のスピリットからブロックされない。

Lv2『自分のアタックステップ開始時』

このターン中、相手のスピリットすべてをBP-2000する。その後、それらがBP0なら破壊する。

---


トップ。ペールクアール。

「引きました」思わず声に出た。


トラッシュのExシンボルを持つ<ディヴァエス>3枚を除外してフル軽減、残りコスト分4コアを支払い、コアを3つ乗せてLv2で召喚する。

アタックステップに入る。


「アタックステップ開始時に相手スピリットすべてをBP-2000します。」

これで相手フィールドにBP4000以上のスピリットはいなくなる。


ペールクアールでアタック。


「ペールクアールLv1,2効果、BP4000以下のスピリットからブロックされません。フラッシュありますか?」

「手札0です」お相手は微笑んでいた。「ライフで受けます」


「ありがとうございました」私は深々と頭を下げた。

「ありがとうございます。熱いバトルでした」

本当に最後の運で勝ってしまい、申し訳ない気持ちだったので、

お相手の屈託ない言葉は本当にありがたかった。

たった3人の試合だったが、優勝と言うことで、

優勝の賞品を頂いた。

赤いカードは使わないのだが、久しぶりのショップ大会で優勝した記念品だ、大事にしよう。

ショップにはデッキレシピを提出した。

お店のツイッターアカウントから公開するらしい。

一言コメントを求められて、思いついたことを口走ってしまった。

「トップ解決しちゃいました」


やはりスタンダードはいいゲームだった。

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― 新着の感想 ―
大会参加とレポートお疲れ様でした! 読み応えがあってとても楽しい時間でした! やはりスタンダードはいいですね〜。 また次回も楽しみにしてます!
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