思い出した身近の悪編④
異世界の格闘技は一つしかなかった
その格闘技の名は「バットウ」という
元は人間同士の戦場で使われていたが、魔族の出現により戦場では使われなくなり、貴族の間でエンタメの様なものに昇華した格闘技であるが庶民の間でも護身術や見世物として広まった
構えは前傾姿勢でまるで虎の臨戦態勢に近いが右手を隠すようにしている、なぜなら
「(なぜなら、元は人間同士の戦争で使われた格闘技、いや武道゛だった゛訳だ、つまりー)」
つまり、本来は「武器」同士で戦う事を想定したものだった
隠している右手は本来なら小刀サイズの短剣を持っている゛想定゛だが・・・
「(野見山 優斗に武器は使わねー事を決めてしまったから、攻撃力がガタンと落ちるというより本来なら1の攻撃で終わるものをそれ以上の攻撃回数が必要になるという事になる、つまり、終わりの先を戦う様なもん・・・なんで、自分に縛りプレイ掛けちゃたかな~)」
自分に縛りをかけた理由、そんなのは僕が一番よく分かっている
ーーーーーーーーーー
「(ハァハァ・・・グソッ・・なんでこんなチビにやられなきゃいけねーんだ!!!)」
ブンッブンッ
大振りの左右のフックが僕に飛んできた
僕はそれをバックステップで避ける
「あれ!?武道すてちゃたのかな????」
「クソがッ!!」
シュン!!
左のハイキックが飛んできた
「(バカか、コイツ、さっきと同じだよ!!)」
ドンッ!!
左の後ろにある腎臓に当てた
ボクシングを始めとし主な格闘技で腎臓打ちは禁止の技である。が、ここは試合場ではない戦いの場だ、反則はない。
「グハッッ!!!」
ニヤッ
トンっ!!
僕は追撃を掛けようとしたが野見山 優斗の表情が変わったのを警戒し距離をとった
「(ん?なんでニヤッとしたんだ?・・・考えろ・・)」
「クックックッ・・・分かったぞぉ~~」
シュン
野見山優斗の顔が苦痛の表情から無表情に変わった
ーーーーーーー
「クックックッ・・・分かったぞぉ~~」
このチビの攻撃は腹しかない!!
しかも、臓器の攻撃を意識している!・・・構え的に武器を主体とした武道の様なものだな、それも徒手格闘に昇華している、つまり、攻撃力が低い!!!だから、臓器の攻撃を意識している!!
雑魚がァァァ!!!テメェの手品はバレたんだよ!!!イジメてやるよ!!!
・・・本当にそれでコイツを倒せるのか?
・・・いや、無理だろうな、、、冷静になろう・・・
あのチビの身長は160前半、リーチは大体165CM、いや、170CMぐらいか、細い体で筋力はない・・はず、そして、体重は60・・・50キロ後半か
対して、俺は身長180前後、いや、178CM、リーチは185CM丁度、筋力はある方だ、そして、体重は90キロ・・・
OK、把握した
コイツを殺す・・・・
この間、わずか3秒
ーーーーーーーーーーー
「(てっ感じかな、つまり、手の内はバレたという訳か、、まぁいいか、バレても問題ないし・・)」
僕は構えを変えた
隠してた右手を前に出し、姿勢を前傾姿勢から姿勢を正しまるでフェンシングの様な構えに変えた
グオォォ
野見山優斗が僕に向かって走ってくる、まるで、激突するほどの勢いだ
「(僕は逃げねーよ、向かい打ってやるよ!!)」
僕は軽く腰を下に落とし激突する直前に野見山優斗の鼻に突きをお見舞いした
まるで、交通事故の様なモノだ・・・本来なら
「捕まえた!!!!」
野見山優斗が鼻血を流しながら僕の襟と手首を掴みそう言った
「(ふーん、意外と打たれ強いのな~)」
「・・・シュ!!!」
野見山優斗がそう息を吐くと僕を背負い投げをした
「うおっ」
「(浮いた!!!テメェの負けだ!!!コンクリの道路に頭ぶつけて死にやがれ!!!」
フワッ
「は?」
僕は背負い投げの最中に力の流れを変え逆に野見山優斗を背負い投げした
ガンッッ!!!!
鈍い音が僕に耳に聞こえた
「鎖骨おったか?受け身は間に合ったか?」
こういう話がある
侍が真剣で決闘をする時は両者とも動けないと、理由は「力の流れを見ているから」だとか「気を察知してる」だとか「相手の未来が見えている」とかだ、
そんな、男ならば胸躍らせる様な絵空事を自慢気言っている者が現代では多くいるが
実際は違う
なぜ、両者とも動けないかと言うと、単純に両者とも「ビビってる」からだ
・・・・本当にそうか?
否!!と言いたい所だが、大体の侍達はそうだったろう・・・゛大体゛の侍達はな
そう、いるのだ、どこの世界にも達人と言われる天才が!!!
だが、そういう人物は一握りの中の一握り
・・・数多の戦場を才能や実力そして強運を持ったものが生き抜き、力とは何かと悟る!!そして視える事が出来るようになる!!!
「なぁ~なんで、僕がお前より、弱いと思うんだ?・・・・僕が何年戦場にいたと思う?何年゛バットウ゛をしたと思う?そんな僕が平和な世界でいじめとかしてるゴミクズに負けると思うのか?なぁ?教えてくれよ、なんで僕に勝てると思ったんだよ・・・・舐めるなよ」
「・・ヒュー・・コヒュー」
「あ?なんだソレ?馬鹿にしてんのか?」
僕は質問に答えない野見山優斗に腹を立てた
「・・お前に魔法は出さないと言ったな?あれは嘘だ」
『火の玉』
野見山優斗の体が灰になり飛んで行った
「あんなのが世にいたら害でしかない・・無駄だ、反省させるだの刑務所で罪を償わせるなど無駄だ・・」
この世界は無駄なことが多い、だから僕が゛世直し゛しないといけない
僕はそう思いこの場を去った
ー思い出した身近の悪編ー完ー
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「楽は出来ない、そっちに行ってしまうから」




