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夏のホラー参加作品

テレポテーション


俺はテレポーテーションする事が出来る。


出来るんだけど使って無いって言うか封印してた。


その理由は残念な事に、テレポーテーションは出来るけど出来るっていうだけで、自分が行きたいところに移動するんじゃ無く、ランダムに選ばれた場所に移動させられるからなんだ。


最初に此の能力に気がついたのは高校生の頃、夏休みになる数日前、真夏の太陽の熱射を浴びながら学校に向けて歩いていた時、学校なんて行かないで海水浴に行きたい! って思ったら、海にいた。


北極の冷たい海に浸かってたんだ。


なんで北極だって分かったかって言うと、俺の事を見つけた白熊が泳ぎ寄って来たから。


え、嘘? って思いながら夢なら覚めてくれって思ったら、通学路に歯をガチガチ鳴らしながらずぶ濡れで立ってたんだ。


今のは夢か? 白昼夢でも見たのか? って思いながら、行けるならもっと温かい海へ行きたいって念じたんだけど。


また北極の海に移動して、俺に向けて泳ぎ寄って来ていた白熊が目の前にいて襲いかかって来た。


また戻れって念じたら通学路に戻ってたんだけど、戻る直前に白熊に引き裂かれた学生ズボンのお尻のところが大きく破れてたんだ。


だから此れは夢じゃ無いんだ、って分かった訳。


それで夏休みになってから色々と試したんだけど、結果は残念な物だった。


さっきも言ったけど、此処に行きたいって念じながらテレポーテーションしようとしても、行くのは行きたいって思った所じゃ無く、ランダムに選ばれたらしい川や海に飛ばされる。


そして同じ日に何度テレポーテーションしても、飛ばされるのは同じ場所。


5〜6回試みたんだけど、その都度死にかけたんで封印したんだ。


だってテレポーテーションする度に食われかけたんだぜ。


最初は川、多分アマゾン川、理由はピラニアの群れに齧られそうになったから。


次も川、此方の川はナイル川、理由は川の遥か先に小さくピラミッドが見えたから、此処では川に落ちた途端、岸辺から俺に向けて次々とワニが川に飛び込んで来た。


海に飛ばされた時はサメに襲われそうになったり、大きく口を開けたクジラに丸呑みされそうになったりする。


もうね、テレポテーションの能力を俺に付与した奴が誰か知らないけど、絶対に悪意を待って付与したとしか思えないんだよ。


それで今、俺は大海原に枕にしてたタイヤのチューブに掴まって浮いている。


何故か俺を食おうとするサメやクジラの姿どころか魚の姿1つ見えない。


360度全周に海が広がり、水平線の先で海と空が交わり、雲一つ見えない大空は藍色のような濃い青色で占められていた。


食おうとする奴らはいないけど、俺は死に掛けてる。


だって俺は先ほどまで砂漠の真ん中にいたんだ。


仕事で砂漠のど真ん中付近を走行中、乗っていた車が故障して遭難。


スマホも通じない場所だったんで、捜索隊に発見される事を願いながら車の下を掘って作った日陰で、予備のタイヤのチューブを枕にして寝転がっていた。


ただ残りの水が心許無かったので、ピラニアやワニに齧られる恐れがあったけど、川にテレポテーションできれば水を飲めると思いテレポテーションしたんだ。


それなのに海に移動させられるなんて……、ホント、付与した奴の悪意がビシバシ伝わって来るよ。








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