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17.〈幕開け〉

 ルモンド王の悪事を世間に晒すために、何故かシエルの案により、僕が女装することとなってしまった。




「これで、いいんじゃないかな!!」




「愛らしいな!」




「なっ!? 僕は男だッ!!」




「事実だが?」




 ルキアさんは真面目そうに、僕を褒め始めた。恥じらいが半分と屈辱感半分で、顔を左手で覆った。




「君たち……相性合いそうだね。色んな意味で」




 シエルは面白半分で言ってきたが、僕は聞く耳を持たなかった。




「ルモンドは、上品な女性が好みだ。それに、スタイルもこだわる。でも、クロイ殿のスタイルはルモンドにとって効果抜群だ。後は、喋り方と身のこなし方が重要になる」




「あ、それに関しては大丈夫だと思うよ?」




「まぁ……」




「〈勇者〉だからか?」




 ルキアさんの問いに、僕は頷いた。




「王様の前では、こんな喋り方はだめだからな。作法も何とか身についている」




「そうか。確かに当たり前か」




「そういえばさ、クロイ。君、自分が〈勇者〉だというの教えたみたいだね? あの勝負、意味なかったじゃないか!」




 シエルは僕に頬を膨らませ、怒ってきたが、どの道バレるのは時間の問題だったことを、シエルに教えた。




「〈エクスカリバー〉を引き抜いてしまった以上、バレるのは時間の問題だ。それに、ルキアさんだけ秘密をばらすのは、僕的に嫌だからな。だから敢えて、教えたんだ。別に、ルキアさんならばらしても、何とも思わないしな」




「クロイ殿……」




 ルキアさんは、僕の顔をまじまじと見つめ、僕は目線を逸らした。




「あたしの前で、いちゃつくのやめてもらっていいかな? 握りつぶすよ?」




「いちゃついていない。そんな事よりも、ルモンド王の恒例行事は何時だ?」




「明日だ」




 胸ポケットから小さな手帳を開き、僕とシエルに教えてくれた。




「明日か……。それまで、被害に遭った方に、知らせないといけないな」




「騎士団の方は俺に任せてくれ。後は、そちらに任せる。で、いいか?」




「勿論だとも! じゃあ、早速。街に出ようか!」




 僕とシエルは、グローリア帝国の街の中を歩き回り、ルモンド王に娶られ、被害に遭われた家族の方々に、このことを知らせると共に、明日。計画を実行することに了承及び、協力してくれることを誓ってもらった。




 例え、神を信仰する国だとしても、ルモンド王の行いには、神も頭を抱えているだろう。だから、これはいい機会になる。




 そして、ユーベルであった、貴族らの正体。魔王との関係性を知れる機会も。




「これは、神の裁き。という事にでもするかい?」




 突然。街の中で休憩していると、シエルにそう話しかけられた。




「まぁ、そうだな?」




「〈勇者・クロイ〉という神にかい?」




「変なことを言うな。僕は神じゃない。ただの〈勇者〉という役目を背負った()()だ」




 僕は平然に答えると、シエルは何かを考えるように、下を俯いた。




「シエル?」




「君には、神と正反対の性格だもんね。〈勇者〉としての性格も」




「どういう事だ?」




「そのままの意味さ。まだ、自分の心に気づいていないみたいだから、この回答はノーコメントとして扱わせて貰うよ。この件も終わって、旅を重ねると共に、気づいてくるはずだよ。本当に〈勇者〉としての生き方を続けてもいいか……ね?」




 シエルの言葉に、毎回狂わされていく気がする。だが、今の僕は〈勇者〉としての生き方をするだけ。それは変わらない。




「僕は、このまま生きていくつもりだ。未来よりも、今を」




「そうかい。まぁ、楽しみにしておくよ。君の本性が現れる。()()()()()




「……あぁ。さて、次に行くぞ」




 僕は、シエルに手を差し伸べ、シエルは僕の手を握り、互いにはぐれないように、再び街の中を歩いたのであった。

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