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11.〈ルキア・マエロン〉

 飯屋でルキア・マエロンに出逢った僕とシエルは、今までのことを話した。すると、ルキアさんは驚く表情を一切見せずに、僕たちの話に耳を向けた。




「エレドリヌとユーベルか。噂では聞いていたが、そこまで悪化していたんだな。お前たちが解決してくれて、助かった」




 ルキアさんは、僕たちに頭を下げた。




「いや。それってどういう意味だ?」




「俺は、グローリア帝国の騎士なんだ。今日は久しぶりの非番で、たまたまここに立ち寄っただけのことだ」




「それで? この国の騎士様が、何故。あたしたちに、頭を下げるんだい?」




「元々、俺たち騎士団が、エレドリヌの原因不明な霧について、調査しに行くつもりだったんだ。だが、霧の濃さが異様過ぎてな。一旦中止にするよう命令が下ったんだ」




(まぁ、あの霧の濃さなら、普通だな)




「二年以上放置しているような感じだったから、それに、エレドリヌの貴族の件についても疑問視されていたから、俺はユーベルに避難している貴族共を一刻も早く、捕まえたかったところだった。そこで、お前たちが現れてくれて、本当に助かった」




「二年以上も放置って、君たちの王様からその期間内にも、一度も命令を下されなかったのかい?」




 シエルは、呆れた態度でルキアさんに尋ねたが、ルキアさんは頷くだけだった。




「へぇ~。ルモンド王って一体、裏で何をしていたんだろうね?」




「口を慎め、シエル殿」




 シエルの血の様な赤い瞳と、ルキアさんの翡翠色の瞳が交わった。互いに、ほんの少し魔力を解放しながら。僕は、危険だと感じ、すぐに二人の間に手を置いた。




「二人ともやめろ。ここは店の中だ。シエルの言葉使いは、今始まったことではない。だが、すまなかった」




「いや、俺も悪かった。子供相手にムキになってしまった」




「子供じゃないし!! まぁ、いいや。こちらこそすまなかったね。お詫びとして、クロイが君と一勝負する権利を上げよう!!」




 突然シエルは、可笑しなことを言い出した。




「いやいやいやいや!! 可笑しいだろう!? どう見たって今の状況の中で言う言葉じゃないだろう!? しかも、権利ってなんだ!?」




「いやぁ~。面白いだろうな~って。君が勝てば、クロイが何者か教えてあげよう。ちなみにおまけとして、クロイの恥ずかしいエピソードも!」




「無いわっ!!」




「珍しいね? クールな君がツッコむなんて。あたしにはどうでもいいけど」




(どうでも良くないがな?)




 心の中で言うが、全く反応してくれなかった。そして、そのまま話が続いた。




「反対にクロイが勝てば、君がどうして───ルモンド王に対して、復讐心を抱いているのかを教えてもらおうかな?」




 シエルの言葉に、ルキアさんは顔を顰めた。




「シエル。それはどういう意味だ?」




 僕はシエルに問いかけると、大人びた笑みで、僕に説明してくれた。




「そのままの意味さ。あたしのことを、よく知っている君にならね」




(心の声か……)




「フフッ。さて、どうかな? 乗るか乗らないか、君次第だよ。ルキア君」




 シエルはそう言うと、ルキアさんを見つめた。どこか楽しそうに。




「いいだろう。受けて立つ。クロイ殿、いいか?」




「僕は良いが……。どこで勝負するんだ?」




「俺の庭でいいだろう。屋敷まで案内する」




 ルキアさんと勝負するため、彼の住んでいる屋敷へと案内されるのであった。

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