023 央華連邦の影
AMI歴12年5月17日 白銀楼第一小学校
石動太一郎
さて学校も終わり今日は柔道の練習も無い日だ、栫工務店には先日行ったばかりだし、放課後は神社裏の仕事場に籠って現在手をつけている作業を仕上げてしまいたい。
どうも表情が面に出にくい性質らしいので、傍からはそうは見えないだろうが、内心心弾ませながら帰り支度をしているとクラスメイトの十一がこちらに寄って来た。
偏屈な変わり者で通っている俺にわざわざ話しかけてくるのはクラスに数人しか居ないが、中でも一は前世の縁もあって良く話す方だ。
「太一郎くん、今日も裏山の作業場に行くつもりだったりする?」
「あぁ、そのつもりだが?」
「やっぱりそうだよねぇ、悪いんだけどしばらく砂金神社には近づかないで欲しいんだよね」
「何故だ?何か問題でもあったのか」
「うーん、どう言ったらいいのか」
「太一郎の身の為だよっ」
珍しく言いよどむ一の後ろから、ひょっこりと顔を出したのは同じくクラスメイトの秋月羽依だ。幼い頃から風香ちゃんを通して交流があったので、一応幼馴染と言って良い間柄ではある。その為気安くこちらの事を下の名前で呼び捨てにしてくる。
クラスで誰よりも目を引く鮮やかな金髪をなびかせ、胸の成長具合いも頭一つ飛び抜けたサイズを誇り、見た目は間違えなく美少女なのだが。
どうにも胡散臭い物を感じてしまい、俺は昔からこいつの事が若干苦手だった。
ちなみに俺の親父が栫工務店で働いている縁もあって、風香ちゃんには昔からお世話になっている。
「身の為とはどういう意味だ羽依?」
「文字通りの意味だよ!」
言いながら不意にこちらに身を寄せて耳元に囁いてくる。
「・・・今はちょっと砂金神社に近付くのは危険だから」
吐息が耳に吹きかかりぞわぞわっとさせられた、不意にこういう事をしてくるからコイツは本当に性質が悪いのだ。俺が嫌がっているのを分かってわざとやっているに違いない。
コイツも誰にでも気安そうな雰囲気の割に、その実ちょっかいを掛ける男は限られている。
その為一部クラスメイト男子から羨ましそうな恨めしそうな視線を受けるが、そんな視線を向けられるような立場じゃ無いってんだ。
秋月羽依がクラスで一番仲良くしてる男子は誰が見ても一なのだが、こいつが年上の従妹にお熱な事は周知の事実なので、羽依が一と絡んでいても不思議と一に男子のヘイトが向く事は無いのだが。
今のように羽依が俺と距離を詰め気安い態度を見せると、何故か俺の場合だけ羽依のファンの男子達からのヘイトを買う羽目に陥るのだ、何だか世の中不公平である。
俺はコイツにかけらも興味が無いと言うのに・・・いや、欠片も無いと言うのは嘘だな、これだけの顔とスタイルの良い美少女に傍にいられれば心躍る部分がある事は否定出来ない、が、それ以上に強くコイツと深く関わってはいけないと言う警戒心が湧き上がるのだ。
結果として俺はこいつの行動に動揺しつつもそれを見せまいと虚勢を張って隠してしまう。そんな俺の内心を恐らく理解した上で反応を楽しもうとちょっかいを出してきているのだコイツは。結構な性悪女なのである。
と、そんな事はさておき今の言葉は聞き過ごせないぞ。
声のトーンを落とした羽依に合わせ、小声で会話を続ける。
「砂金神社で何かあるのか?」
「ちょっとね、大きな声では言えないけど、奏ちゃんがストーカーに付きまとわれているんだ」
「砂金先輩がストーカーに?本当か一」
「はぁ、太一郎くんに話ちゃうんだ・・・」
「太一郎は理由を聞かないと納得しないでしょ」
「それもそうかな、うん・・ちょっと性質の悪い奴等が奏お姉ちゃんの事を狙ってるんだよね」
「狙ってるとは穏やかじゃ無いな、それにしてもストーカーごときお前や犬上先輩がいれば・・」
勇者と黒狼王がボディーガードについていてどうにか出来る相手なぞ居ないだろうと思ったのだが。
「ただのストーカーじゃ無いんだよね・・・君も知っている相手が敵に回っているんだ」
「俺の知り合い?」
「雷神の勇者だよ、他のゼンモン持ちはともかく、さすがに太一郎でも勇者の相手は厳しいでしょ」
思いもよらない名を聞いた俺は、思わず羽依の顔をマジマジと見つめてしまった。
艶然と微笑むコイツの顔を不用意に真正面から見つめてしまい、ついまた動揺してしまう。
くそっ、普段は目を合わせないようにしているってのに、本当に腹立たしい程に顔立ちは整ってやがるなコイツはもう。
しかし、雷神の勇者がどうして・・・て言うか羽依に前世の話をそんなにした事は無いハズだがどうして俺と雷神の勇者が知己である事を知ってるんだ?
「央華連邦軍が奏お姉ちゃんの精霊眼を狙っているらしいんだよね」
続く一の言葉に更なる衝撃を受ける。
どうやら俺の知らない所で随分大事が起こっているらしい。
「あっそうだ太一郎君、以前君が鍛えた大振りの鉈が二丁あったよね?あれ貸してくれない」
「裏山のけもの道を切り開くのに使ったあれか、別に構わんが・・・お前には少し大きすぎないか?前に打ってやった刀はどうした?」
「刀は勿論大事に使わせてもらっているよ!僕が使うんじゃ無くて鉈はちょっと人に貸してあげようと思ってるんだよね、あっ又貸しはダメ?」
「あー分かった、さては例の助っ人用でしょ」
「羽依ちゃん良く分かったね」
「又貸しは別にいいが、助っ人?」
「うん!本人は割と乗り気で張り切ってるんだけど、得物は持って無いって言ってたから必要だと思ってね!」
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AMI歴12年5月20日 白銀楼市 路上 宮代伊織
以前に逆追跡を仕掛けて以降、監視員が神社の境内にまで入って来るような事は無くなったけど、玲ちゃん曰く大分距離を置いて監視しているようだった。
こちらが近付く素振りを見せると素早く自動車やオートバイなどで撤収してしまうらしく、同じ轍は踏まないように警戒しているみたいだ。
そんなにこちらを警戒する位なら、そのまま諦めてくれればいいのにそうもいかない事情があるのかな?
小康状態と言うか現状維持のまま数日の時が流れていったある日、例のアメリア人ミシェル(仮)さんから奏ちゃんに連絡があり、直接会って会談をする事になりました。引き渡した央華連邦共和国のおっさん監視員にも合わせてくれると言う事で、今度は先方の指定する場所まで出向く事になった。
アメリアさんとは少なくとも表面上は敵対的な行動はとって無いけれど、あちら側の用意した場所へ出向くのは正直あまり気は進まない。玲ちゃんの感覚頼りでいささか心もとないけど、敵意は無さそうだという玲ちゃんの言葉を信じて指定されたオフィスビルへと向かった。
メンバーとしては奏ちゃん、玲ちゃん、羽依、亮人くん、一くんと僕の合計6人だ。
「よく来てくれたね、先日の手際は鮮やかだった、我々も一歩間違えれば彼らのようになっていたかと思うとゾッとする話だが、君らDMCに正面から銃器で対抗しようとするのは愚かしい事だと改めて認識したよ」
通された会議室のような場所で、僕等はミシェル(仮)氏の挨拶を受けた。
大きな机を挟んでミシェル(仮)氏の向かい側に僕等6人が対面する形で並んで着席する。
「それはどうも、前置きはいいから本題に入ろうぜ、何か話があるんだろう?」
「いいだろう、結論から言うと我々は日本から撤退し、急ぎ本国へ引き上げる事が決定した」
「私の勧誘は諦めるという事でしょうか?」
「急な話で悪いがこれは上層部の決定でね、我々としては従うのみさ。勿論ミズ奏が我々と同行してくれるというのなら歓迎するよ」
「アメリア本国で何か問題が起きたって事かなー?」
「すまないが詳しい事情を話す事は出来ないんだ、方針の変更があったとしか言えない」
「でもあなた方が奏ちゃんのマークを解くと言う事は・・」
「そうだね、我々がミズ奏の周辺から姿を消したら、央華連邦共和国の動きが本格化する可能性は高いと思うよ」
「もしそうなったら・・・・こちらも手加減しないだけ」
「確かに奏ちゃんの能力は希少でしょうけど、なぜ央華連邦共和国はそれほど奏ちゃんに固執するのでしょう?」
「うむ・・・そうだね、置き土産と言うのも何だが、我々の知る央華連邦共和国の事情を少し教えしておこう」
「それは・・・自国でゼンモン持ちの絶対数が少ないから他国から拉致しようって・・」
「央華連邦共和国は今現在DMCのゲリラ部隊に苦しめられているという国内の事情があるんだ」
「ゲリラ部隊?」
「ここ白銀楼と同じように七つの月の欠片達が落下した場所の一つに三藏郷自治区がある、ここは長年央華連邦共和国が軍事力で占領してから開発という名目で央華民族による入植と民族浄化政策がとられており反発する現地の三藏郷民族を武力を持って弾圧している、一時は沈静化が果たされていたが、近年また反共ゲリラ活動が活発化している」
「・・民族浄化政策って何なんです?」
「三藏郷人の女性に無理やり央華民族の独身男性にあてがい、央華民族の子を産ませる。一方で三藏郷民族の男性はまともな仕事も与えられず貧困にあえいでいる。当然のように反発が生じるがそれらは全て武力によって押し殺してきた」
「酷い・・・」「そんな事までしてるのかよ・・・」
「そう・・・つまり近年活発化している三藏郷独立を謡う反政府ゲリラ組織に多くのDMCが所属していると言う事だ、その力を持って現在独立運動が過激化していて、鎮圧に向かわせた央華連邦共和国の軍隊はDMCのゲリラ部隊に大打撃を被った・・・そこで央華連邦共和国は身をもって痛感しているのさ、DMCの戦力としての恐ろしさを・・・そしてDMCに対抗する為には自国にもDMCの軍隊が必要だと結論付けた」
「つまり自国の軍に多くのゼンモン持ちを組み込むために、奏の能力が必要だって言うのかよ・・」
「君らが相手した央華連邦共和国のDMCもつまるところ既に軍属なのだろう」
「雷神の勇者が央華連邦共和国の軍人かよ・・・・酷い話だな」
「表面上いくら民主的な自由経済を標榜しようとも、彼らの本質は決して変わらない一党独裁政権だ、個人の自由など国家の利益の前には建前にすらならない・・そしてそれは自国民に限らないという話さ」
「ふざけやがって・・・」
「ゲリラ活動をしているDMCの中に、桁外れに強力な力を持つ者がいるらしくてね、央華連邦共和国自前のDMC部隊も既にそいつとの戦闘で壊滅的な被害を被ったという報告もある・・・その強力なDMCを央華連邦共和国軍はコードネーム『小白竜』と呼んでいるそうだよ」
「『小白竜』?・・・その人は竜のゼンモン持ちだと言う事なんでしょうか?」
「そこまでは分からない・・だが大隊規模の正規軍をほぼ一人で撃破したとか荒唐無稽な話を聞いた事がある、なんでも冷気を操る事が出来、敵対した者は恐怖で正気を保てなくなると。当人は大層美しい白髪の少女だという噂だがね」
「小白竜・・・・」
呟いた羽依のその言葉に彼女らしからぬ真面目な雰囲気を感じ、釣られるように視線を向けると珍しく真剣な表情を湛えたその横顔が強く印象に残った。
「どんなに強力なゼンモンを持っていたとしても、地球で力を振るい続けるには限界があるハズなんだけど・・・」
「魔力の問題か」
奏ちゃんの疑問に亮人くんが応じる。
「そう、軍隊を打ち破るなんてそこまで強力な力を使えば技能にしろ魔術にしろ、相応の魔力消費がされるはず、魔力の薄い地球では継戦能力には限界がある・・・大軍を一人で打ち破るなんて不可能のはずだわ・・・」
「三藏郷って大地女神山を有する天空神峰山脈があるんだろ?霊峰として強力な竜脈源があってもおかしくねーんじゃ無いか?」
「そっか・・確かに遥か昔から霊峰として多くの人々の信仰を集めていたなら、聖地として機能していてもおかしくは無いか・・拠点防衛に徹するならひょっとしたら可能なのかも・・でも地球の竜脈源でそこまでの規模ってあり得るのかしら・・?」
「もし本当にその人が竜なら、その竜が住まう聖地を軍で攻めようだなんて、正気の沙汰じゃ無いです」
僕が黙って奏ちゃん達の会話を聞いていると、隣の羽依が小さく独り言を呟いていた。
(まさか既に完成している?・・こっちじゃまだ発見出来てないっていうのに、たまたま聖地の近くに堕ちたせいで成長が早まったのかな?)
「ん?羽依今なにか言った?」
「うーん、別にー!」
誤魔化すように首をふる羽依に疑念を覚えつつ、すぐに僕の意識羽依の発した問いかけに答える奏ちゃん達の会話に引き戻された。
「興味深い話だ、確かにそれだけの力をもっているにしては、攻めに転じたという話は寡聞にして聞かないね、防衛に徹していると言うよりは攻め手が無いのかも知れないね」
「仮に今の仮説が正しいとして、継戦能力が続かないだけですから、その気になれば一撃離脱(ヒット&アウェイ)を仕掛けるなら問題無いと思います」
「一騎当千のワンマンアーミーなら、奇襲なんてのも簡単だろうしな」
「不意に現れた非武装の個人・・・それも子供に軍事拠点が大打撃を受けるか・・想像するだに恐ろしい事態だな」
「でもよ、三藏郷なんて央華連邦共和国からしたら地方も地方、田舎の片隅じゃねーの?なんでそこまで固執するんだ?」
「三藏郷は地政学的にアジアの覇権を握るのに重要な地域だよ、濱印度との緩衝地帯としても重要だが、何よりアジアの屋根としてあらゆる大河の水源としての価値がある」
「そうか・・・生命線とも言える大河の水源と言う事は、三藏郷を抑える事で河川の水量をコントロール出来る立場にあるのか」
「ムーンインパクト以降の気候変動で、アジアの降水量は全体的に見れば下がってきている、頂栖江、黄央河、インドリア川、メルコーン川等軒並み水量が減少し、下流域では干ばつが発生し、食糧事情の悪化を招いている。そんな状況下で下流の国々はまさに喉元を央華連邦共和国に抑えられているようなものだ・・だが逆に三藏郷自治区が央華連邦共和国中央のコントロールを離れるとなると、自分達の水源を他者に抑えられる事も意味する」
「なるほどなー・・生命線って事か、そりゃ何としても押さえておく必要がある訳だ」
「そう三藏郷は他国の喉元を抑える為に必要な地政学上の重要地域で、同時に自国にとっても生命線となる弱点でもあるんだ」
「ねぇ奏ちゃん・・・もしそのゼンモン持ちが名前の通り白竜だったとしたら・・・」
「白竜は氷を操る・・・今話に聞いた戦果と能力が本物なら、その気になれば頂栖江や黄央河の水源を凍り付かせる事だって出来るんじゃ無いかな・・」
「もし・・・そんな事になったら・・・?」
「ふむ・・大河の恵みを失った穀倉地帯への打撃、数多建設されているダムによる水力発電の停止・・・央華連邦共和国の経済に深刻な影響を及ぼす事になる・・・自前の生産力で不足する食料を世界中から買い漁る事になり、その影響により世界規模で食糧の高騰が起こる、食糧自給率の低い日本も深刻な影響を受けるだろう」
「本当にそんな事態になったら世界中の耳目が三藏郷とゼンモン持ちに集まるぞ!?」
「ねぇ・・最近ニュースで聞いた気がするんだけど・・・先物取引市場で食料品全般の値上が加速し続けてるとかって・・・・耳の早い投資家の間にはもう既になんらかの情報が出回ってるのでは?」
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央華連邦共和国のゼンモンを取り巻く状況が思っていたより切実な問題を抱えていた事を知り、僕達は改めて奏ちゃんを守らねばという思いを強くした。
「では次に先日捉えた監視員の尋問をするかい?我々で調べさせて貰ったところ大した情報は持っていなかったがね」
僕等が頷くと会談中の部屋に一人の男が連れられてきた。その男は囚人服のようなイメージの灰色の簡素な服を着せられ、手錠をかけられた状態で、酷く虚ろな目をしていた。
「詳細は伏せるが、この男は現在催眠状態にあると思ってくれればいい、大抵の事は知りうる限り素直に答えてくれる状態だ」
「自白剤・・いいえ、何かのスキルを施したのかしら?」
「まぁさすがに手の内を全てさらけ出すのは勘弁願いたいものでね」
「まずは姓名と所属から教えてくれる?」
「第三方面軍諜報部所属日本支部の潜入工作員、主に警備や護衛、あるいは拉致監禁などの荒事を専門としている・・・」
「俺と戦った時はどんな任務を受けていたんだ?」
「尾行するネズミの捕縛か駆除を指示された、指定された場所で挟み撃ちの上、可能なら生け捕るようにと・・・銃の発砲も許可された」
「俺たちの正面にいたガキ共は?」
「同じ工作員としか聞いていない・・少々特殊な能力を持っていると説明を受けたが詳細の説明は却下されたので知らない・・・」
「他にも同じような能力を持った子供を知ってる?」
「一人だけ・・・伏虎という少年は上位者なので、指示があった場合は即座に従うように言われていた」
「その少年は、オカッパ頭で電気を操る能力を持ってた?」
「髪型はそうだ・・電気はわからないが、周りの人間から『雷公子』(レイエンハイツ)とも呼ばれていた、一度素手でアメリアの工作員を気絶させている所は見た事がある・・」
「先ほど任務で拉致監禁と言っていたわね、あなたは日本で子供を拉致した事があるの?」
「5名程、子供を拉致する任務を手伝った事がある」
「まじかよ・・・」「5人も・・・」「そんな・・」「許せない」
「その、拉致された子供はどうなったの?」
「知らない・・本国へ輸送するとしか・・・」
「その拉致に、先程の少年も関わった事がある?」
「対象の確保を手伝ってくれた事が3回ある」
「勇者ともあろう者が・・・人攫いだって・・・・!?」
「一くん・・・・」
激しい怒りと憤り・・・僕は一くんがこれ程の感情をあらわにする所を見たのは初めてだった。
その後色々と質問を繰り返したけど、この男が過去におこした命令という名の犯罪行為くらいしか情報らしい情報は得られなかった。
結局この男は現在進行形の奏ちゃんへのアプローチには一切関わっていない事がはっきりしただけだった。
「ちっ肝心な情報は一切不明かよ」
「残念ながらこの男達の証言から判明した彼らの拠点やセーフハウスはすべからく既に撤収済みだったよ」
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「では最後に、我々は月末を待たずに本国へ帰還する予定だ・・・くれぐれも気を付けてくれたまえ」
「色々と情報には感謝します、せいぜい警戒して過ごす事にします・・・」
「奏は絶対に守る」
「一応何かあった時の為大使館詰めで正式な立場を持つ者の連絡先だけは教えておこう、何か情報があれば直接私へメールをくれてもいい」
ミシェル(仮)氏に別れを告げ、僕達はオフィスビルを後にした。
「はー、しかし思ってたより大事になってんだなー」
「本当に拉致されている人たちがいただなんて・・・」
「何とか救い出す事は出来ないでしょうか?」
「あっちの雷神の勇者を捕まえて人質交換でも持ち掛けるか?」
「え?」
「拉致された奴らがどんなゼンモン持ちかは分からねーが、勇者様より貴重な能力持ちって事はねーんじゃねーのか?」
「襲撃があるとしたら、今度の朔日かなやっぱり」
「朔月か、俺の力が・・・月の加護が一番弱まる日だなぁ」
「私も五十棲くんも同じよね、となると頼りになるのは一くん・・・」
「まーかせてっ!!」
息まく一くんだが、正直これだけの人数では心許ないよねぇ。
「念の為に僕達も奏ちゃんの家にお泊りさせて貰おうか?」
「いいの?平日だけど・・」
「ここまで央華連邦共和国の勇者含めゼンモン持ちが何もして来ないで様子見に徹してるのって、本国から増援を待ってたんじゃ無いかって思うんだよね・・」
僕一人増えた所ででどうにか出来る問題じゃ無いだろうけど、玲ちゃんが一緒に居てくれればどんな相手にも後れを取る事は無いだろうと言う確信はある。
女の子頼りでいいのかお前と言われるとぐうの音も出ないけど・・・
※本作品はフィクションです、実在の国家・地域・団体・人物とは一切関係ありません。
ちょこちょこ出てくる太一郎くん、伊織経由で宮代総師範の知り合いの刀匠に紹介してもらって、弟子入り志願と言う事で月に数度か通っていて、刀鍛冶の工程も見学させて貰った経験があります。行動力のある刃物マニアですね。
アメリア陣営の突然の帰国は次章への伏線て所ですね。
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『楽しい』『続きが気になる』『この伏線ちゃんと回収されるの?』
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