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神様の幸せ

作者: なか

【幸せ】

僕には大好きな場所がある

家の近くの山の頂上へ向かう道の途中に

草むらの抜け道があり

そこを抜け少し進むと

皆に忘れ去られているベンチがある

そこには【世界】とは程遠いが自分の住む所や学校、色々な所が見渡せる場所が

そこは僕の中では【世界】だった

喜ぶ事や楽しい事が無く

怒る事や苦しい事があった時には

その場所に行き1人でその場所で時間を潰す


━━━今日も、今日はを最後に僕はこの場所に行く。



【1日目】


カバンの入った荷物を持ってそこへ向かうと


いつもとは違う光景があった


1人の少女がいた


髪が白く長く綺麗で


僕の【世界】を見つめる眼はまつ毛まで白く

大きく綺麗な眼をしていた


僕「…………」


少女は僕の視線に気づく様にこちらに振り返った


少女「…こんにちは」

少女は微笑みながらこちらに挨拶をした


僕「こ…こんにちは…」


少女は僕に手招きをした

僕は警戒心を少し抱きながら近づいた


少女「君、今生きてる世界好きかい?」


僕「え…?」


少女「どう?」


僕「……す、好きだよ。

学校は友達と遊べて授業も楽しくて。

お家に帰ると大好きなお母さんやお父さんがいて。」


少女「ふーん…」


少女「ねぇ、暑くないの?

こんな暑い日に長袖長ズボンで」


僕「僕は寒がりなんだ」


少女「…汗かいてるよ」


僕「…汗っかきでもあるよ」


少女「ふふっ、おもしろいね」

少女は目を細め笑った


僕「君は誰なの…?

今までこの場所で人を見た事無いからびっくりだよ」


少女「私?私は所謂、神様だよ」


僕「…え?」


少女「神様」


僕「面白いねそれ、神様なんて初めて見たよ」


少女「信じてないなー」


僕「ふふっ、でもなんで神様がこんな所にいるのさ」


少女「それはね、世界中色んな所見てこの世界を消すかどうか考えてるの」


僕「へぇ、いつ頃世界を消すのさ」


少女「もう色々見てきてここが最後。

今日含めて3日で決めるよ」


僕「そうなんだ、じゃあそれまでここにいるの?」


少女「そうだね、君を待ってるよ話を色々聞かせて」


僕「……うん、いいよ」


少女「約束だからねー」


僕「うん」



僕「あ…僕もう帰るね。

親が心配してるから」


少女「……そっか。じゃあね」


僕「うん、またね。」



【2日目】



少女「…今日は早いね」

またこの場所で僕は少女に会いに行った


僕「…うん。」


少女「じゃあ、君はどんな話を聞かせてくれるの」


僕「今日はね、仲良しの●●君と遊んだんだ

他にも色んな人と一緒に遊んで凄い楽しかったよ。

それで夢中になって遊んでたら水道で水掛かっちゃってずぶ濡れだ笑

でも先生が優しくてそれを見てタオルを貸してくれたんだ、担任は生徒思いですごい好きなんだ」


少女「うん」


僕「それとね、この後家帰ったら久々に外にご飯食べに行くの

3人で食べるの大好きだけど外で食べるのも大好きなんだ」


少女「うん」


僕「…つまらない?」


少女「んーん。すごく興味深いよ君は」


僕「君の話を聞かせてよ」


少女「えー、じゃあ1つお話してあげる」


僕「うん」


少女「ある所に優しい男の子がいました

彼は友達の頼みも断らないし先生からの評価も良かった。成績も良く親から愛されていた。

でも彼はある日人が変わった様になってしまったんだ

友達を傷つけ先生を裏切り親を殺した」


僕「…どうして?」


少女「彼はとても良い子だったんだ」


僕「?」


少女「答えは明日教えてあげるよ」


僕「えーー、ヒント教えてよ」


少女「…うん、そうだね

【彼はとても人間が出来ていた】

だね」


僕「んー…分からない」


少女「…ほら、親が待っているんでしょ?」


僕「あ、うん行くね」


少女「じゃあまたね」


僕「うん。」

結局答えは僕の中では出なかった


【3日目】

最後の日はとても薄暗い曇りの日だった

それでも僕は最後の日と決めてその場所に行く

雨が降りそうな日だけど荷物はカバンだけ


僕「今日が最後だね」


少女「そーだね」


僕「どうするの、世界」


少女「その前に昨日の答えを言うよ」


僕「え…うん…」


少女「答えはね

その男の子は精神的に酷く妄想を見てしまい自分自身に虚言を吐いていたのさ」


僕「……うん」


少女「本当は彼は誰にも愛されていなかったのさ

友達と言っていたのは自分を虐めてくるクラスメイト

先生と言っていたのはそれを見ない振りをして一切助けてくれない無関心でいた先生

親と言っていたのは理由も無く、理由があっても理不尽な事で殴る蹴る物を投げる首を絞めるご飯をあげない親

だけども彼は自分に嘘をついて自分を保っていた

でも彼は限界が来た

友達に復讐を先生に復讐を親に復讐をって」


僕「………そうなんだ」


少女「……似てるね」

少女はそう呟いた


僕「…何がさ」


少女「君だよ」


僕「どこが…どこも似てないしなんなら正反対だよ」


少女「そう。1回目とは違うんだね」


僕「…どういうこと」

僕はイラついていた


少女「私は神様だよ

君の事はなんでも知ってるし

君と会うのは2回目なんだ」


僕「意味が分からないよ!!」

怒って怒鳴ってしまった

でも意味分からない事言われてイラつかせたこの子に非がある


少女「………そのカバン一昨日も持ってたけど、それ首吊るためのロープだよね」


僕「………違う」

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


少女「そう」

そう言うと少女はカバンを叩き落とした


中からはロープと手紙…遺書が出てきた


僕「…何するんだよ!!!!」


少女「さっきの話ね、男の子は前の世界の君なんだよ」


僕「…は?」


少女「どうして君は暑い中長袖長ズボンを着てるの」


僕「…寒がりだよ」


少女「違う。

傷痕や痣を隠すため」


僕「…」


少女「どうして君は昨日あんな嘘の話をしたの」


僕「…本当だ」


少女「違う。

君は友達となんか遊んでない。遊ばれていた

君は水道で濡れたのではなく水をわざとかけられた

君は先生からタオルなんて貸してもらってなんていない。先生は君を見えないものと扱い無関心だった

君は親とご飯なんて食べれないし、ましてや3人で食べた事も無い」


僕「…」


少女「これが真実だ」


少女「君は喜ぶ事も無く生き

怒りを向けられ苦しみながら生き

哀しみばかりに生き

楽しみが一つも無かった」




僕「五月蝿い!!!!!!!!」


僕「お前に僕の何が分かる!!!!!!!!

お前に僕の辛さが理解されてたまるか!!!!!!!!」


少女「分かるよ。言ったでしょ…」


僕「なに、神様なんて巫山戯た事本気で信じてると思ってるの!?」

そう怒鳴ると目の前が光り輝き少女を包んでいた


その光景は人が受け継いできた"神様"と呼ぶに相応しい姿だった。

光に包まれ白い布を纏いとても暖かかった


神様「私は君を知っている。

君の事にとても興味がある」


僕「じゃあなにさ、本当にこれから世界を消すの?」


神様「うん」


僕「は…はは。

なんだよ、死ぬ事もなくこんな世界終わるんか

いい気味だ。みんなみんな死んでしまえ…!!!!!!」


神様「でもまた世界を創るよ。最後に」


僕「なんの意味があるのさこんな世界」


神様「君が世界が良くなると思う考えを1つ叶え、また創る」


僕「そう…それなら…」



この世から喜怒哀楽の怒と哀を無くして







【1日目】

私はまたこの場所で君を待つ

3度目となり君はきっと救われているだろうと思い。

私は君に逢う為。


ガサガサ


彼が来た。


僕「あれ?!ここに人がいるの珍しいな!」


彼はとても楽しそうに話していた

私はそれがとても嬉しかった


神様「やぁ、こんに…ち…」


彼は…


2度目と同じカバンを持っていた。


僕「わ、話しかけられちゃった!!

こんにちは!!」

喜びを表しとても笑顔で楽しそうに彼は答えた


神様「ねぇ…そのカバンには何が入ってるの」


僕「これ?!これはね今から首を吊るためのロープなんだ!!

あ!遺書もあるよ!!頑張って書いたんだ!」


どうして?どうして彼はまた自殺を?

私は創造出来るが。全知全能では無い。

理解が出来なかった。


神様「どうして?怒りや哀しみが無いのに?」


僕「ん??怒り?や哀しみ?がどういったものかは分からないけど僕はこの世界には要らない人間だからだよ!」


神様「どうして…?」


僕「友達も先生も親も楽しそうに生きてるんだけどね、僕はそのどれらにも必要とされてないし居ない方がより喜んでもらえて楽しんでいれるんだよ!」


あぁ


僕「僕はね友達や先生、親に必要とされたくて自分を殺して皆に幸せになってもらうの!

それを考えたら嬉しくて!!」


あぁぁ


僕「喜んでもらえて僕も喜べて、楽しんでるの考えて僕も楽しくなれる!!

じゃあ僕もう 逝くね!! 」


あぁぁぁぁぁ




僕「………………………………………」





彼は程なくして命を断った



神様「もう…辞めよう。」


神様「君以外…全部…全部全部全部消そう…」


神様「君だけが生きてくれ…」


要らないのはこの世界だ

戦争虐め虐待暴力暴言見殺し…

全て要らない


彼を壊してしまう世界を壊せば


彼は



彼は幸せになれるはずだ




私が彼を



彼だけを幸せにする






○月✕日午後18時46分24秒


【世界】は消えた


少女と男の子を残し


全ての生き物が死んだ


全ての物が壊れた


全ての概念が消えた


全て


全て全て


全て全て全て










【神様の幸せ】の為に


【神様の幸せ】

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