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神の呪い受けし熾天使サリエル

お待たせしました。

本日、2話完成です。



2話「強奪ごうだつの天使サリエル」


腹や太腿など、数箇所すうかしょを刺された僕は、気が付いたら真っ白な空間にたたずんでいた。

要するに、死後しごの世界と言う奴だろうか?

それにしては、辺り一面が雲のみで何も無い。


修:「此処ここは、一体いったい何処どこなんだろうか?」


僕は、雲しかない不思議な空間を、軽く散策さんさくする。


方位磁石ほういじしゃくなど持ってないから、果たして進んでいる道が、正しいのかは分からないが。


しばらく歩いていると頭の中に声がひびいた


?:『こっちだ…。』


修:「だ、誰?」


急に頭の中に声が響いたからか、僕は辺りを見回す。だが、辺りは雲のみがあり、人影ひとかげなどは当然とうぜん無かった。


修:「何かに呼ばれた気がするけど、気のせいだろうか?」


?:『こっちだ…。早く来い……。』


まただ、頭の中に先程さきほどの声が。

しかも、先程とは違い今度の声は力強く感じた。声が頭の中に響くと共に、僕は再び歩き出す。


理由は分からないが、僕の中の本能が声に従えと言っているかのように、あの声に共鳴きょうめいするかのように足が進む。


暫く経ってか、雲しかない不思議な空間に、終わりが見え、目の前に幾十いくじゅうくさりが絡まった黒い大扉が出現する。

扉は何の金属きんぞくで作られているのか、分からないほど黒い光沢こうたくきらめかせ、幾十にも絡まった鎖は、禍々(まがまが)しい程に血塗ちぬられた色をしていた。


修:「扉?」


僕が扉に近づこうとした時、待っていたのかのように幾十にも絡まった鎖は、自然と開錠かいじょうされ大扉が開く。


?:『中に入れ…。』


恐る恐る、僕は開け放たれた扉の中に入る。

中は、雲しかない不思議な空間とは違い、辺り一面が闇に覆われていた。


修:「何も見えない…。」


僕が部屋の中でそう呟くと同時に、

突如とつじょ、開け放たれていた大扉は音を立てていきおいよく閉まる。

僕は突然とつぜんの事に、パニックにおちいられる

暗くて狭い部屋の中にいると、トラウマがよみがえるからだ。

まだ、母が生きていた頃を─────

母が親父に殴られてる間、僕は決まって薄暗うすぐらい押し入れの中に追いやられる。

母が、僕に危害きがいが及ばないよう身をていして隠す場所が、何時も決まって押し入れの中だからだ。

そして……毎回聞こえる。あの声──────


親父:「オラァ!!テメェが、あのガキのために金をめてんのは知ってんだよ!!さっさと出して酒買って来いや」


母:「いやぁぁぁ…!!!!お願いもう止めて…!!あのお金は、あの子の生活費やら何やら入ってる大事なお金なの…!!だから……」


親父:「あ?そんなの俺の知った事じゃねえよな!!大体、あのガキはテメェの連れ子だろ?俺とは血のつながりも一切無いガキにめぐんでやる金なんて無いよな?そうだよな?何とか言えや!!」


そう言って再び母の顔を何度も殴り、腹に思い切り蹴りを入れる親父。


母:「いたい…。うぅぅ…。お願いします。もう、もう……止めて下さい……。」


押し入れのふすまを少し開けて、様子を見ていた僕は、

親父にいきおいよく殴られ、倒れた母と目が合った。

顔中が青痣あおあざだらけで、目はまぶた鬱血うっけつし原型さえない。


母は、僕の方を見ると口パクで。


「あ・な・た・だ・け・は・ま・も・る・か・ら・ね」


と、口を動かした。


母はそれだけ言うと、親父にポニーテールの後髪を引っられ、無理やり起こされた挙句あげく、再び殴られる。

親父の暴力が治まるのは決まって、母の意識が遠のいた時だ。

何故なら、この親父は母の死亡保険を狙っているから、早く母に死んで欲しいのだ。


それから、しばらくして母が自殺した時、

この親父は笑っていた。

金がふところに入ったからだ。


母が死んだのは貴様のせいなのに!!

許せない…。アイツだけは許せなかった…。


?:『許せないか?その親父が』


声がした方を振り向くと、一際、紅蓮ぐれんの光を放つ場所が目に入る。


?:『理不尽りふじんに愛する者をうばわれた気分はどうだ?』


紅蓮の光に、吸い込まれるかのように近づいていくと、そこには、真紅しんくの槍で身体からだつらかれている3対6枚の翼を持った、金髪ロングヘアの美女が居た。


修:「君が、僕を此処に呼んだの?」


?:『そうだ…。我が名はサリエル。貴様をこの地に呼びよびよせたのは我だ。しかして、先程さきほどの質問に答えよ!あの男がにくいか?』


修:「憎いに決まっている。母さんは、僕を守る為に、あの男に殺されたんだ。だけど…僕は身体が弱い、心ではあの男を殺したいと思っても、身体が恐怖にしばられ動けなかった…」


サリエル:『それは、貴様に力が無かったからだ…。』


修:「それは分かってる!!でも、最初から弱者として産まれた僕には、どうする事も出来ない。ただ、奪われるだけの道を、歩むしかないんだ!!」


サリエル:『ならば、我が貴様に力をくれてやろう?』


修:「力?」


サリエル:『そうだ、貴様に我がスキル。「強奪ごうだつ」をくれてやろう。我に近づき手を取るがいい』


サリエルは、そう言うと僕に近くに来てれろと言ってきた。だが、正直言って怖い。

力をくれると言うが、自分の身に何が起こるか分からないからだ。


サリエル:『怖いか?力をるのが。』


!?──────。


何故、僕の考えが


修:「何故なぜ、僕の考えている事が。」


サリエル:『心を読まずとも、顔に書いてあったからだが?』


修:「顔に?」


サリエル:『何を恐れる必要がある?お前は、復讐ふくしゅうための力が欲しかったのではないのか?』


復讐の為───。


サリエル:『貴様の全てを、奪った奴等やつらを許さないじゃなかったのか?』


全てを奪った奴等─────。


サリエル:『憎悪ぞうお怨嗟えんさ憤怒ふんぬ。お前の心の中に渦巻うずまく感情。それ等に、目をそむけるつもりか?』


憎悪、怨嗟、憤怒──────。


サリエル:『迷うな、我が手を取れ!!復讐者リベンジャーよ!!』


僕は、サリエルの右手に触れた。

すると、サリエルの身体が赤黒く染まったと同時に、僕の中に力が流れ込んでくる。


修:「グワァァァァァアアアアアア……熱い!!……苦しい!!……」


サリエルの力が、僕の身体を駆け巡ると共に、

肉体がボコボコと音を立て、身体の中から沸騰ふっとうしたかの様に体のあちこちがふくれ上がり、尚も侵食しんしょくするかのごとく僕の身体をむしばむ。


終わりの見えない苦痛くつうに、何時間経過したかも分からなかった。力を欲した結果が、身体を根本こんぽんから改造かいぞうするなど聞いてない。


その苦痛が止んだのは、僕が入ってきた大扉が再び開け放たれた時だった。


4つの顔に4つの翼を持った男が、突然入って来た。

足音をひびかせ、僕に近づくと男は口を開く。


?:「サリエルの波長はちょうが、消えたから来てみれば。ネズミがまぎれ込んでいたとはな!貴様、ここで何をしていた?」


男はそう言うと手に持っていた槍を向ける。


正直、男に何を言われてるか頭痛がひどく聞き取れない。だが、敵対てきたいしてる事は理解りかい出来た。僕は、頭の中に響く『右手をかざし存在を奪う(イレイザー)と唱えよ』と言う、サリエルの言葉に従い右手を翳す。


修:「……レイ…ザ。」


?:「何だ?言う気にでもなったのか?」


修:「────存在を奪う《イレイザー》!!!!」


男に対し、右手を翳し存在を奪う《イレイザー》と唱えた途端とたん。僕の右手より漆黒しっこくの大穴が出現したかと思うと、その大穴より幾万いくまんにも及ぶ黒い手の様な物が飛び出し、男の腕や足はおろか翼にいたるまで全てを捕まれ、グシャリとにぎつぶされる。


?:「グワァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!な、何故…!!貴様が禁忌きんきスキル「強奪ごうだつ」を持っている?その力はサリエルしかあつかえぬ力……貴様は………一体……。」


男が最後まで言う前に、黒い手は男の顔に絡まり、同じくグシャリと潰したかと思うと、そのまま黒い手が身体全体からだぜんたいを包み込む。

「グシャ…ボキバキ…グチャグチャ…ブチブチ…バキバキ…グチャグチャ…ボキボキ…ビチャビチャ……。」


黒い手により球型きゅうがたにされた男は、そのまま大穴に引きずらられるかの様にみ込まれ、

この世からの存在そのものをうばわれた。


サリエル:『強奪スキルの1つ存在を奪う《イレイザー》、相手の命、存在全てを奪う我がスキルだ。』


修:「強奪スキル…存在を奪う《イレイザー》……。」


サリエル:『そして、先程。復讐者リベンジャーが命を奪ったのは智天使ケルビム、上から2番目の天使だ。』


サリエルから智天使ケルビムの情報を得たとしても、

正直言ってピンと来ない。

ただ、身体のしんより力がいてくるのだけは感じた。


修:「これは……?身体の芯より力が湧いてくる」


サリエル:『それが強奪スキルの利点りてんだ。相手の能力や、スキル全てを奪った挙句あげく。それらを全て我が物に出来る。そして、先程の智天使ケルビムより奪ったスキルは「転生てんせい」と少しの時間、現世にとどまれる「怨魂おんこん」。そして、智天使ケルビムが本来持っていた風、水、光、火、土の上級魔法。後は、智天使を呑み込んだ事により我が3分間だが「顕現けんげん」出来る』


修:「怨魂おんこん?」


サリエル:『未練みれんを残した魂が、恨みを持ちし者を道連みちづれにするスキルだ。』


未練を残した魂が恨みを持った相手を道連れに──────。


サリエル:『これで貴様の親父や、貴様を殺した不良達の生命を、奪いに行けるがどうする?』


修:「行こう…。アイツらを殺しに!!」

所変ところかわり、とあるアパートの一室。

そこには、1人の男が若い女とはだかき合いキスをしていた。

女:「まさか、おくさんだけじゃなくて息子むすこさんも死んでくれる何て、ラッキーだったわね。」


親父:「ああ、元々あの女とは別れるつもりだったからな、死んでくれて感謝かんしゃしているよ。しかも、あの女だけじゃなくバカ息子まで死んでくれるとは、アイツ等の死亡保険で俺の懐はうるおっているし、お前との結婚資金も出来た。ホント最後の最後で、役に立ったなアイツ等は。」


女:「ふふ…酷い人ね。」


親父:「俺の役にも立たない奴等など必要ないからな!!」


────言いたい事はそれだけか?─────


親父:「だ、誰だ!?」


修:「ひどい者だな。僕より母さんを自分の私利私欲しりしよくの為に奪っておきながら、今度は別の女と結婚か……。」


親父:「お前、まさか……おさむか?どういう事だ?お前は、不良達に襲われ死んだと聞いていたはずなのに…。」


修:「地獄じごくより、貴様に復讐リベンジする為に戻って来たと言ったら?」


僕がそう言うと、壁にかけてあった金属バットを手に取る親父。

生前せいぜんの時は、よくアレで殴られたものだが、

力を手に入れた今となっては──────。


親父:「この死にぞこないが、さっさとくたばれ!!」


修:「くたばるのは貴様の方だ。」


バットを思いっきり振り下ろそうとした親父に対し、僕は右手を翳し存在を奪う《イレイザー》と唱える


親父:「な、何だこれは?黒い手が俺の身体に、は…はなしやがれ!!」


黒い手は、親父の右腕をつかんでグシャリとにがつぶすと、今度は両足に狙いをしぼったのか、同時に掴んでは同じ様にグシャリと握りつぶす。


親父:「ギャァァァァァァァァァアアア!?い……痛い。た、頼む!!離し…ゆ、許してくれぇぇぇぇぇぇ!!」


許しをう親父の顔を掴んだ僕は奴の目の前にて─────。


修:「母が泣いて許しを乞いた時、貴様は殴るのを止めたか?今度は貴様がむくいを受ける番だ、この世からの存在そんざいごと消え去れ!!」


僕が、そう言うと黒い手は幾重いくえにも親父にからまり

「グシャリ…バキバキ…ブチブチ…ビチャビチャ…グチャグチャ…。」

暴虐的ぼうぎゃくてきな音を立てつつ親父は黒い手と共に大穴へと呑み込まれる。


それを見ていた女は、あまりの恐怖にその場より逃げ出した。


サリエル:『1人終わったか』


修:「ああ…。!?─────。」


僕が、サリエルの言葉にうなずくと、どうしたのか身体が重くなり足がふらつく。


サリエル:『反動はんどうだな。今の復讐者リベンジャーでは、1日の強奪スキルの使用回数は5が限界。その内、2回も使ったのだ足がふらつくのは当然だろうな。』


修:「まだ、アイツがいるのに…。僕を殺した不良達が…。」


サリエル:『なら、我を顕現させよ!!3分間と言う短い時間だが、顕現する事が可能だ。それに、我が姿は復讐者リベンジャーしか見えぬ、何も困ることは無い』


修:「分かった…。サリエル頼む」


サリエル:『任せよ。』


サリエルは、そう言うと修の身体よりい出る形で顕現けんげんし、サリエル自らが持つ、個人スキル「サーチ」にて不良達をさがした。


サリエル:『ほう、復讐者リベンジャーを殺した不良達の他に、若い女の反応があるな。』


若い女?まさか──────────!!


サリエル:『我が見た物を、復讐者リベンジャーの頭の中に投影とうえいしよう。』


僕の頭の中にサリエルが見た物がうつし出される

そこには、辺りに何も無い野原にて不良達4人に、服をやぶり捨てられ下着姿になった、おさななじみ「小杉こすぎ りん」の姿があった。


僕が死んだから次は凛に狙いを定め弱味よわみにぎためおそったか─────。


サリエル:『此処ここからでも、者達ものたちねらいをさだめ、攻撃する事が可能だがどうする?復讐者リベンジャー。』


修:「頼むサリエル…。奴等やつらを、灰すら残らぬようやしてくれ。」


サリエル:『良かろう。我が裁き(ギルティ)のフレイムにて燃やし尽くしてやろう。』


サリエルの右手があかまったかと思うと、

遠くの方で天にものぼる炎が四つ上がった。


サリエル:『終わったぞ。』


修:「ありがとうサリエル。」


僕がそう言うと、僕の身体が次第しだいけてくる。


サリエル:『怨魂おんこんの時間が切れたか。そのままだと、復讐者リベンジャーも我も消えるが、1つだけ助かる方法がある。』


修:「何だ?」


サリエル:『異世界へと転生てんせいする事だ。』


異世界転生────。漫画まんがとかでよく聞くが

まさか、自分がなる日が来るとは。

だが、もうこの世界に未練みれんは無い。この世界での、僕の復讐リベンジは果たしたのだから……


修:「分かった異世界へと転生させてくれ。」


サリエル:『心得た。我と共に行こう復讐者リベンジャーよ!!』


そして───僕は異世界へと転生を果たす。


後日談ごじつだんになるが、サリエルの力にてやしくされた不良達は「人体発火現象じんたいはっかげんしょう」と言う事で、処理しょりされ野原には4人の影のみが残ったそうだ。








































熾天使サリエル

エデンの園に生えし黄金の林檎を神がアダム達を追放してる隙をつき奪おうとした為に

神の呪いを受け、天より追放された後死後の世界に幽閉される。

また、サリエルに刺さった槍は己が力が神を上まった時。消えるように設定しております


強奪のスキル

を譲渡した時に修が苦しんだのはスキル譲渡と共に神の呪いが流れ込んだ為

身体に影響がでて改造するに至りました


今回出た強奪スキル

は相手の存在したと言う証明を奪いこの世から消失させる為

「イレイザー」と名付けました。


修のレベル

が一定になる時、強奪スキルが徐々に解放されていきます


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