9話 封印された悪魔
ここで話をなるべく大きくしたかったので最終ボス? を示唆する存在を出しました。ここから話が進んでいく感じなので最後まで見てください。
食事が用意されている部屋に到着すると既に料理が並んでいた。とても鮮やかで品があり、高級感を感じる。
「待っておったぞ」
ルーカス王は先に来ていて座って待っていた。各々が適当に座り料理を頂く。料理を口に入れた瞬間美味い! と叫んでしまいそうなぐらい美味い。肉を頂いたが肉汁が口いっぱいに広がり、溢れ出そうだ。インドラにもルーカス王にバレないように料理を分けている。
「レイ君よ、前から言おうと思ったが従魔を隠さなくてもよいぞ」
「えっ!?」
隠し通しているつもりだったがバレてしまった。しかしまだインドラとはバレたわけではない、見た目も小さくてキュートになっているからもしかしたら見せてもバレないかもしれない。
インドラを出してあげると「開放された―」と言いながら周りを飛び回っている。
「いつから気づいていたんですか?」
「最初に顔を合わせた時からだ、しかしドラゴンとは珍しいな……んっ!?」
ルーカス王はインドラを目を凝らしてじっと見ていると目が飛び出そうなほどに驚き、顔が青ざめていた。
「レイ君、もしやこやつ……あの雷竜インドラか?」
「おっ、よくわかったな。我は雷竜インドラだ!」
インドラはなにも気にせずに自慢げに胸を張っている。終わった……インドラと知られれば敵視させられる。どうする、どうすればいい……。
「申し訳ございません、ルーカス陛下。知ればインドラさんを捉えて討伐されると思い、隠してました……」
マナさんは経緯を話す際にインドラを契約したことを僕達に気を使い、濁していた。責任感を感じたのか席を立ちあがり、謝罪する。
「マナさんが謝る必要ないよ。ルーカス陛下、どうかインドラを敵視しないでもらえますか?」
僕も席を立ち、頭を下げてお願いする。インドラは伝説になっているがためかかなりの脅威的な存在なので皆、恐れている。書物によると国1つを雷で滅ぼしたという逸話もあるので敵視されてもおかしくはない。
「そんなに警戒するではない。我々が敵視して全兵力を注いだところでこのペリドットが滅ぼされるだけだ」
「……と言いますと?」
「我々はインドラを敵対するつもりは無い、逆に友好な関係を気づきたいと思っている」
ルーカス王の言葉を聞き、安堵する。これでインドラを隠す必要はないので自由にさせることが出来る。ずっと隠れてもらい、心の奥底で申し訳ないと思っていた。
「ありがとうございます! こちらとしても友好な関係を気づきたいと考えています」
「そうだな。我は人間の事を知らないから教えて欲しいのだ、ルーカスよ」
「まさか七大竜のインドラに名を覚えてもらえるとはな、光栄な限りだ」
「えっ! ルーカス陛下、インドラと知り合いだったのですか」
インドラが馴れ馴れしくルーカス王に話しかけたので知り合いなのではと思い、驚きながら聞いてみるとルーカス王が教えてくれる。
ルーカス王が僕ぐらいの頃、勇者パーティーの一員として各地域に訪れていた。ある日、標高が最も高いと思われる山へ調査に行った時、頂上に遺跡が見つかり、中に入る。奥に進んでいくと巨人でも入ってくるのかと思うぐらい天井が高く、広々としている部屋でその1番奥にてインドラが優雅に寝ていた。
伝説上、架空の存在とされていた雷竜インドラが実際に存在していたことに感動し、大声で喜びそうになるがそこは抑えて起こさないよう慎重に辺りを調査していたが勇者パーティーの1人が物音を立ててしまい、インドラを起こしてしまった。
雷竜インドラはその場で上を向きながら咆哮を上げた後、戦闘が始まった。始めは互角の戦いに見えたがそれはインドラが本気を出していなかったからでいわゆる小手調べ程度だったのだ。インドラが本気を出してくると一方的に押されていった。危険と感じ退却せざるを得なかった。
「懐かしいな。ルーカスは人間にしてはやる方だったぞ」
「それでもインドラにはかなわなかった。いまだに悔やまれるな」
「インドラに一矢報いるだけでも凄いですよ、ちなみにルーカス陛下はどのようなスキルなのですか?」
「本来なら言わんが特別に教えてやろう。余のスキルは【千里眼】だ」
スキル【千里眼】と言われてもわからないので申し訳ないが【竜眼】を使って詳細を確認させてもらう。
【千里眼】……相手のステータスや状態を見ることが出来る。心情も見れるので情報を聞き出すことが出来る。半径1㎞まで視野を伸ばすことができ、遠くにいる人でも同様に確認することができる。しかし、スキルや隠されているものとかは判別できない。
このスキルは【竜眼】の劣化版ということか。……んっ、待てよ? このスキルって戦闘向けじゃない気が……。
「余の事は正直どうでもよいだろ。それより運がいい、レイ君の強さにもビックリしたがまさかインドラを仲間にしているのは嬉しい誤算だ。レイ君、強制ではないがお願いを聞いてくれないか?」
ルーカス王は意図的に話を流すかのように話題を変えた。スキルについて聞きたいことがあったがそれよりお願いの方が気になるので話を進める。
「お願いと申しますと?」
「レイ君は悪魔の存在を知っているかね?」
「はい、書物で少し見たことがあります」
今から1000年前、突如として現れた異界の生物と記されていた。その悪魔が7体現れ、各地を火の海に変え、世界を滅ぼそうとした存在と認識している。
「その悪魔が各地に封印されているが最近、度々光り出しているという話を聞いた。もしかしたら封印が解かれ、悪魔が復活するかもしれん」
「悪魔が復活!?」
「あいつらか……復活したら七大竜でさえ手が追えんぞ」
「インドラ、戦ったことあるの?」
「あぁ、あの時は勇者と名乗る特別な存在がいたから封印まで持ち込めたが、この時代にそんな強さを持った奴はいない。もし今、この地に復活したら世界は火の海に呑まれること間違いない」
「伝説の竜でさえ倒せないなんて……」
マナさんはインドラでも倒せない事を知り、体を震わせて怯えている。それを踏まえて考えてみると悪魔の強さはどれくらいのものか大体想像できる。
「だが、諦めるのは早いぞ。この時代には頼もしい人材がいるからな、対抗できないわけじゃない。例えを言うとシリウスとかだな」
「シリウスさん?」
確かにシリウスさんは強い、それは戦って十分理解した。しかし、七大竜と比較すると少し厳しいところはあるかもしれない。何せ七大竜は別格だからだ。
「シリウスは元々Aランク冒険者でもう時期Sランクになろうとしたが護衛の推薦状を出したら引き受けてくれたのだ」
冒険者にはランクが存在している。下からE、D、C、B、A、Sのランクに分かれていて最初はEランクからスタートして功績に応じてランクが上がっていく仕組みだが、シリウスさんはSに上がろうとしたと言っていたので言えばトップクラスの実力者である。
そのトップクラスと戦ったと思うと恐ろしい限りである。
「シリウスさんって、そんなに強いんだ……」
「でも、そのシリウスさんに一矢報いたレイさんも凄いと思いますよ!」
「あのインドラと対等な関係になっている時点で強いというレベルはとっくに超えている」
「スキルも多いから次やったら絶対勝てますよ!」
護衛の方々が目をぱっと見開いて僕を称賛しているが正直、恥ずかしいからやめてほしかった。スキルを使いこなしている訳でもないのでそこまで僕は強くはない。シリウスさんだって本気を出していたわけじゃないと思うからまだまだ弱い。
「まぁそうだな、レイ君もその中の1人だ。これから各地を巡ってその中で強くなってほしいものだ」
「期待に応えれるよう、全力を尽くします!」
「安心しろルーカス。我がレイを強くして見せるぞ、まぁコツさえ掴めばすぐ強くなれそうだけどな」
「それもそうだな、悪魔に関してはまだ時間がありそうだから各々、力を付ける方針で良さそうだな。ちなみにだが悪魔の存在は公表していない、だから他人に話さぬよう頼むぞ」
インドラが堂々と発言しているが、それを言われるとかなりのプレッシャーを感じる。期待のハードルを上げないてくれと思ってしまう。
「了解です」
「あの、ルーカス陛下1つよろしいですか?」
「どうした、レイ君」
「封印に関してですが恐らくサタニズムという組織が解こうとしているかもしれません」
「先程マナ王女が言っていたやつか」
マナさんが僕と共にいる理由を話すときにサタニズムの事を少し話していた。悪魔の話をするときにこの組織を忘れてはいけないと思う。
「サタニズムの事を詳しく聞かせてくれ」
僕はサタニズムについて分かっている範囲で教える。強い者を勧誘しながら悪魔を復活させるために動いていること、悪魔を復活させるためには人間を生贄にすること。これらをルーカス王に伝えた。
「厄介な組織だな。だがもしかしたらサタニズムを壊滅出来たら悪魔の復活は阻止できるかもしれんな」
確かにサタニズムを壊滅させたら阻止できるかもしれないが忘れてはいけないことがある。
「サタニズムですが、侮ってはいけないと思います。なぜならインドラを洗脳したものが向こうにいます」
「何!? それは誠かインドラ」
「事実だ、寝ている間ではあるが我の遺跡に足を踏み入れ、洗脳されてしまったぞ」
オパールが言っていたあのお方がどのくらいの強さか計り知れないので警戒しなくてはならない。ルーカス王は無精髭を触りながら考えてのち、結論を出した。
「サタニズムに関しては信頼できる冒険者に声を掛けてみようと思う。レイ君もこれは別にやらなくていいが、もしサタニズムを見たら阻止してほしい」
「わかりました、見つけ次第倒して見せます」
ルーカス王はやらなくてもいいと言っているが僕自身、サタニズムの行いが許せないので見かけたら絶対に倒すと決めている。その後は対談する内容が終わったらしく、会話を楽しみながら食事をして終わった後、満足しながらこの部屋を退出した。
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