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8話 ルーカス王の頼み事

主人公には伸びしろがあるところを見せたかったのであえてこのようにしました。別の展開が良いと思いましたらコメントして教えてくれると嬉しいです。



「かなり迫力のある雷だ、これは気が抜けないな」


 スキル【雷竜】を使用して全身に持てる力を最大限で雷を纏うとシリウスさんは感心し、気を引き締めて剣を構える。その後、お互いに動かずに辺りは沈黙になる。正確に言うとシリウスさんには隙が無く、動けないというのが正しい。


「動かないのなら、こちらから行くぞ」


 シリウスさんが鋭い目つきで攻め込んでくる。少し遅れて僕も接近しようとしたが気づいた時にはシリウスさんを通り過ぎていてバランスを崩し、横に倒れて転がってしまう。


「やっぱりコントロールが効かない……」


 すぐに体制を立て直し、シリウスさんを向いて構える。雷を全力で纏うと自身のコントロールが効かなくなるので上手く戦えない。ただスキルを発動するだけならイメージするだけで良かったが纏わせるとなると身体能力が上昇するためか、コントロールするのが難しくなる。


 シリウスさんは僕の動きに一瞬、目を見開いたと思ったらすぐに攻撃を仕掛けてくる。動いた時には通り過ぎてしまうから今度は足を動かしたと同時に剣を振りかざしてみようと思い、それを実行する。


 ガァッ!


 見事攻撃が当たり、シリウスさんが来ている銀色を基調とした鎧の胴体部分に浅い傷ではあるがつけることが出来た。攻撃を当てた後は上手く着地が出来ず、前に転がってしまう。


「やった、攻撃が当たった」


「ほぅ、枷をしているとはいえ攻撃を当てるとは中々やるね。そうだ、ルーカス陛下、この鎧を外して戦いたいのですがよろしいでしょうか?」


「レイ君の強さを認めたのだなシリウスよ。よかろう、しかしやりすぎるなよ」


「ありがとうございます、では外させていただきます」


 喜んでいるのもつかの間、シリウスさんが鎧を外し始めた。外された鎧が地面に降ろされると余程重いのか沈むようにその箇所だけ(へこ)んだ。いやいや、重すぎるだろ! それを身に着けたってことは本気じゃなかったってことか?


「訓練の際に本気を出さなくても皆さん戦いについていけないんだ。なので皆さんに合わせて、尚且つ自身も鍛えられるのでこのような枷を身に着けてるんだ」


 理由を聞いたわけではないが教えてくれるシリウスさん。先程とは違い服装は機動性のある、身軽な格好だ。なので予測するに先程よりかは断然動きが速いことが考えられる。


「では、続きといこうか」


 僕は剣を構えなおす。シリウスさんが軽く前後にステップをしているところをじっと見ている。


「取り合えず、先程の要領で動いたと同時に剣を振ろう。僕にはそれしかできない」


 恐らくスキルや戦闘経験、全てにおいてシリウスさんが上だろう。そんな相手になれないスキルで勝てるはずがない、しかし僕は勇者パーティーに入るために剣の腕を磨いてきた。スピードやパワーはスキル【雷竜】を借りるがシリウスさんの攻撃をさばくことぐらいなら出来るかもしれない。だから自分の腕を、剣技を信じて戦うしかないんだ!


「この領域についてきてみよ、()()()()!」


 シリウスさんが攻撃を仕掛けてきた。一瞬遅れて僕も動き、同時に剣を振ってみる。しかし簡単にシリウスさんに止められてしまう。やはり先程より遥かにスピードが上がっていて僕と同じ、いやそれを陵駕するほどに速くなっていた。


 止められたことに驚いている暇は無く、すぐに剣を突いてくる。小さい時から剣を持って鍛錬していたためか、その感覚だけで何とか剣をさばくことが出来る。しかし全てをさばくことは出来ず、数撃の内、1撃は喰らってしまう。


 反撃を試みるがその隙を与えてもらえず、余分にシリウスさんの攻撃を喰らうことになり、距離を取る。雷を全力で纏わせるの慣れてないし、それ以前に力の差が歴然だ。このまま続けても一方的にやられるだけだ。ならば、強力な1撃をシリウスさんにぶつけて倒す、これに賭けるしかない。


「このままでは勝てそうにないのでこの1撃であなたを倒します!」


 剣先をシリウスさんに向けて、全身に雷を纏いながら剣にも同じように纏わせる。これで倒せなかったら僕は負けてしまうと言っていいだろう。

 覚悟を決めて、シリウスさんを貫かせる勢いで渾身の攻撃を仕掛ける。


「はぁーーーっ、貫けー!」


「並みの敵だったらそれで倒せるかもしれないが相手が悪かった」


 シリウスさんは焦ることなく、逆に冷静で渾身の1撃を受け流しながら隙だらけになっている僕の腹に蹴りを入れ、僕は訓練場を囲んでいる壁まで吹き飛ばされてしまった。


「くそっ、まだまだ……」


 すぐに立ち上がり、次の手を考えながらシリウスさんに接近しようとしたが突如として全身に激痛が走りだした。


「グアアアァァァァァァ……」


 僕が全身の激痛に苦しんでいる直後にシリウスさんが追撃しようとしたがルーカス王の発言により立ち止まった。


「そこまで。シリウスよ、やりすぎるなと言ったはずだが」


「申し訳ありません。つい熱くなってしまいました」


 シリウスさんはルーカス王に注意された後、ポーションを渡されて僕の所に歩みより飲ませてくれた。ポーションを飲んだことにより全身に走っていた激痛がウソのように引いていった。

 負けてしまったな……。シリウスさんの方が強いことはわかっていたが純粋に悔しいな。僕はまだまだ弱いってことだよな。


「ありがとう、とても楽しかったよ。スキルにまだ慣れてないのにあそこまで戦えるのはなかなかやるね、今後が楽しみだ」


「いえいえ、僕はシリウスさんに傷1つ与えることが出来ませんでした。まだまだ弱いですよ」


「そんなことはない。見てごらん、最後の1撃を受け流そうとした時に全て流せず、腕に切り傷がついたんだ。だから君の攻撃は喰らってないわけではない」


 確かにシリウスさんの右腕に切り傷がついていた。しかし、それはかすり傷みたいなものなので攻撃が当たってないと同じな気がする。


「自信もっていいと思うよ。もしスキルを使いこなせるように鍛錬すればもっと強くなれる」


「ありがとうございます。次会うときは使いこなせるようにしてみせます」


 シリウスさんと敬意を込めて手を交わす。すると遠くで戦いを観戦していたマナさんが心配そうな顔でこちらに走ってきた。


「レイ、大丈夫!?」


「大丈夫、シリウスさんからポーションもらったから何ともないよ」


「見事コテンパにされたな」


 マナさんとは違い、インドラは笑っていた。この時インドラはうっかりと護衛のフードから出てしまっていた。インドラに慌てて隠れるように言おうとしたがその時にはシリウスさんに見られてしまった。


「珍しいものを連れているね。喋るドラゴンは初めて見たよ」


「喋るドラゴンとは何だ! 俺は雷竜イン――」


「あはは……僕の従魔が怒鳴ってすみません」


 インドラが自分の名を言いそうだったので慌てて口を抑える。ここでインドラの事が知られれば大ごとになる可能性があるので知られるわけにはいかない。すぐさまインドラをフードの中に隠れさせる。


「話の続きは後でいいか。それよりレイ君、君に言わなければいけないことがある」


 ルーカス王がこちらにやってきて、話を遮った。正直遮ってくれて助かった。その後、真剣な表情でルーカス王は口を動かす。


「今回試した理由だが、レイ君が勇者パーティーにふさわしいか見極めるためだが、結論から言う。勇者パーティーにふさわしくない」


「どどど、どうしてですか!」


 まさか試した理由が勇者パーティーにふさわしいかどうかとは思わず動揺してしまう。一体なんで急に勇者パーティーについて言うのかわからない。


「自分の目で確かめたかったからだ。実際のところはヘンリーが言っていたこととは違い、戦えるスキルで強さだけを見れば勧誘したいほどだが、スキルの扱い慣れてないし、スキルそのものがあまりいい印象が良くないのが1つの理由。それに1つ聞くがレイ君は勇者パーティーに入ることしか考えてなかっただろ」


「それは……」


 何も言えなかった。全く持ってその通りだった。ホープ家の人間なら勇者パーティーに入るのが責務と思い、なれるように日々鍛錬していた。そのため家を追放されたときはかなりショックだった。これで僕が完全に勇者パーティーに入れないことが決定した。


「確かにホープ家の人間ならそう思わずにはいられないのは凄くわかる。だがその視野の狭さがゆえにもったいないのだ。レイ君はあの戦いを見る限りまだ強くなる可能性を秘めているからな、勇者パーティーに入れるのはあまり得策じゃないと考えた。そうなるとレイ君は余の護衛となる話だったな。よし、余から任務をやる。まぁ任務というよりはほぼ頼み事みたいなものだ」


「任務?」


「冒険しに行け。色んな場所に行き、世界を見てこい。そうすれば視野が狭いことに気付くだろう」


 恐らく弟のジルが勇者パーティーに入るので話通りにいけば僕はルーカス王の護衛となる。任務と言われたのでいきなり護衛の件で何か厳しいこと言われるのかなと思いきや冒険しろと言われた。今後何するか決めていなかったがどのみちインドラと旅することになっていたと思うからちょうどいい。


「わかりました。たくさんの場所に行って冒険したいと思います」


「うむ。マナ王女、長くなり申し訳ない。今日はもう日が落ちそうだ、ここに泊まってはどうだろうか?」


 空を見上げるともう夕方のなっており、太陽が落ちそうなためか夕陽がオレンジ色に光り輝いていた。マナ王女は護衛の方々と相談したのちに城に泊まることを決めた。さすがに僕は泊まるのはまずいと思い断ろうとしたがルーカス王がいきなり肩を掴んできて「レイ君も泊まれ」と言われ、泊まることになった。


「話は一旦ここで終わろう。食事の時に続きを話そうじゃないか」


「わかりました」


 僕達は訓練場を後にして城の中に入っていき、シリウスさんに部屋を案内されて食事の用意が出来るまで待機した。部屋に入ろうとした時にシリウスさんにはインドラを見られているので、インドラは堂々と護衛のフードから飛び出し、僕の所に来た。


「はぁ~暑すぎて体が干からびそうだぞ」


「インドラ、お疲れ様」


 インドラはフードの中から出てきて風船の空気が抜けるかのようにぐったりしていた。しばらくすると、使用人が来たのでインドラを背中に隠しながら食事が用意されているところに案内され、向かった。


~【能力強奪(スティール)】で入手したスキル一覧~


 【雷竜】 【嗅覚】 【斬撃】 【毒】 【麻痺】 【操糸】 【飛行】 【翻訳】 【契約(テイム)】 【竜眼】


 隠し能力……サーペントスティール

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