7話 模擬戦
対談の途中で私情に持って行っていいのかと疑問に思いながら書いてました。こうでもしないと主人公に焦点を当てることができませんでした笑笑
しばらくルーカス王についていくと広々とした庭らしき場所に到着する。その広さは建物1軒分の土地ぐらいあり、周りには多少の木が生えているぐらいで何もなかった。
「ここは訓練所と言ってここで日々兵士たちが鍛錬を行う場所だ」
「だから何もないんですね……。ところでルーカス陛下、何故この場所に僕達を連れてきたのでしょうか?」
「言っただろ、試すためだと。レイ君、これをもって中央に言ってくれぬか?」
ルーカス王に渡されたのは見た目は剣に変わりはないが、これには刃がついていなかった、余は模造剣だ。僕は周りにバレないようにインドラを護衛のフードの中に移動させた後、言われた通りに訓練所の中央へ走って行く。言われた位置に着くと僕らが来たところから5人の兵士が現れ、僕の所にやってくる。
「よし、準備が出来たな。これより模擬戦を開始する」
試すってそうゆうことかよ! 僕の力を試して何がしたいんだ、ルーカス王。多分あれだな、僕の力を見た後に父上に報告するつもりだな。それで僕を陥れようと……これはある意味、ピンチかもしれない。
「スキルは使用してかまわん、相手を戦闘不能にしたら終了だ」
スキルは使用していいんだ。……あっ、そういえばオパールとの戦いで体内の魔素ほとんど残ってないんだった! 使えないじゃん……。
「レイ、頑張って!」
「レイさん、あの力で倒しちゃってください!」
エルフの護衛達、マナやインドラもルーカス王と同じ、隅の方で応援してくれるけど、この勝負、勝てる自信が無い……。でも、やるしかないよな。仕方ない、出来るだけ避けて隙を突くしかないな。
「模擬戦を始める前にレイ君、これを飲みなさい」
僕が作戦を考えているとルーカス王がいきなり液体が入っている瓶を投げてきた。急なので慌ててキャッチすると瓶の液体は明るいピンク色をしていた。いきなり知らない液体を渡されて、飲むのに抵抗があったが勇気を振り絞って飲んでみると体の中から活力が湧いてくる気がした。
「それはエリクサーと言ってな、体内の魔素を補う治療アイテムだ。レイ君の魔素が枯渇寸前だったからな、飲ませてもらった」
「ありがとうございます?」
よかった、これでまともに戦える。と言ってもスキルの使い方がいまいちわからないから少し不安だ。しかし僕は魔素が枯渇していることを一切言ってないはずだが、なんでだろ? まぁいいや、今は戦いに集中だ。とにかくスキルはイメージすればいいんだよね?
「それでは、始め!」
始まりの合図が言われた瞬間、5人の兵士が一斉に仕掛けてくる。これはモンスターに比べたらスピードは遥かに遅いな。僕は冷静に攻撃を受け流していく。
「ウィンドカッター!」
受け流した後、1人が風の刃を放ってきた。これで1人は風のスキルを持っていることがわかる。スキルならスキルで対抗しよう、実は使いたいと思っていたけどまだ使ったことないスキルがあるのでここで試すことにする。
【斬撃】発動!
剣から斬撃を放つイメージで剣を横に振ってみるとイメージ通り、放つことが出来た。その斬撃はウィンドカッターを容易く砕き、風スキルの持ち主に直撃し、戦闘不能になった。それを見た仲間の兵士は驚愕している。当たった直後は心配したが斬られた跡が無かったので安心した。恐らく剣に刃がついていなかったので斬られなかったのだろうと思われる。
そう言えば、風のスキルを見て思い出したが固有能力、【竜眼】を使えば相手のスキル見れることを思い出した、すっかり忘れていた。
早速見てみると所持者の上に白い文字で表記されていた。
【火属性】【身体強化】【標的】【一撃必殺】
【火属性】と【身体強化】は何となく想像できるけど、残りの2つはいまいちわからない。詳細は見れるが今は戦闘中なのでその時間は無いだろう。
「業火の炎よ、焼き尽くせ。ファイヤーボール!」
変な呪文みたいなのを唱えながら火の球体を生成し、僕に放ってくる。呪文を言った割にはスピードが遅く、簡単に避けれそうなので横に移動する。しかしファイヤーボールは急に進行方向を変えて僕に向かってくる。咄嗟に剣で防いだが、少しダメージを受けてしまう。何で急に曲がったんだ……そうか、これが【標的】のスキルか!
「よし、決めるぞ!」
「インパクト!」
2人の兵士が追撃してきて、2人共、力を1点に集中して僕に攻撃してきた。バックステップで距離を取ろうとしたが、【標的】の効果で当たるまで追尾してくる。本来これは使いたくなかったが、このスキルを使わないとこっちがやられそうだ。
瞬時に右手に雷を集中させて、2人を向かえ打つ!
放電!
放たれた電撃はそのまま2人の兵士に直撃し、煙が上がる。この雷はモンスターやオパールに使用した時、焼き焦げて尚且つ塵になって消えてしまったので同じようになってないか心配になる。相殺できるぐらいの威力をイメージして放ったが……。
煙が上がると2人の兵士はうつ伏せに倒れ、気絶していたのでほっとする。
「あの2人が1撃で……」
残った兵士の1人は声を漏らして驚愕し、もう1人は啞然としている。見る限り攻撃力が高そうな2人を倒せたのでよかった。このチャンスを2人が動揺を隠しきれていないうちに攻撃を仕掛ける。
「しまっ――」
気づいた時にはもう既に手遅れで僕は【標的】のスキルを所持する兵士に目掛けて斬撃を放ち、それが直撃して倒れ込み、戦闘不能になった。これで相手は1人だけとなった。
「くっ、くそっ……」
最後の悪あがきのつもりか、先程のファイヤーボールを連発してくる。冷静に受け流しながら近づき、模造剣で1撃を与えて戦闘不能にした。
「そこまで、この勝負レイ君の勝利だ!」
「凄い、5人相手に勝利するなんて」
「さすが、我の相棒だ」
「やっぱつえ~よ、レイさんは」
模擬戦が終わり、ほっとすると僕よりマナ王女と護衛の方々が喜んでいた。インドラは護衛の懐でうなずいている。
「ほぉ~強いとは思っていたがまさかここまでとは想像を超えていた。あの兵士たちはそこそこ強い方なのだぞ」
正直、勝てたのはスキル【雷竜】のおかげだ。もし使ってなかったら、【身体強化】と【一撃必殺】の攻撃で終わっていた。ルーカス王が立ち上がり、倒れている兵士にポーションを与えていく。
「対戦ありがとうございました、かなりお強いですね」
「こちらこそ、ありがとうございました。勝てたのは運がよかっただけですよ」
ポーションを与えられた兵士の1人、【火属性】所持者が代表して礼を言われ、握手を交わした。何、謙遜になっているんですかと苦笑いしながら言われるが事実なのでそりゃあ謙遜するよ。
「お前たち急に悪かった、ご苦労だった」
「お気になさらずに、我々はこれで失礼します」
5人に兵士は素早くその場から立ち去って行った。よし、これで僕の話は終わりだと思っていたがルーカス王が無精髭を撫でながら提案してきた。
「レイ君、まだ体力が有り余っているだろ?」
「いや、そこまであまって――」
僕が答えようとした時にはルーカス王は通信魔道具で誰かと連絡を取っていた。確かに体力は余っているがもう戦いたくないのだ。このことは絶対父上に報告されると思われるので精神的に疲れる。
ルーカス王が連絡を取り終えた時に先程の銀色を基調とした鎧を装備している門番らしき人がこちらにやってきた。
「何度も呼び出して悪いなシリウス、少しそこにいるレイ君と戦ってくれんか?」
「承知しました、ちょうど体を動かしたいと思いましたのでとてもありがたいですよ」
門番らしき人、シリウスは僕が渡された模造刀を持った後、僕の前にやってきて手を差し伸べてくる。
「先程ぶりだね、シリウスという。早速だが手合わせお願いするよ」
シリウスさんと握手を交わすとすぐに距離を取り、戦いを申してきた。
「わかりました。ですがあまり期待しないでください」
「模擬開始!」
ルーカス王の合図で戦闘が始まるが合図を言われたと同時にシリウスさんが僕の前にいて、模造剣で顔に目掛けて突いてきていた。ギリギリの所で首を横にずらして避けるが連続で突いてくる。
「は、速い……」
反撃しようにもシリウスさんが速すぎて、避けるので精一杯だった。こんな速い攻撃を避けられるのは小さい時からホープ家で剣の修行をしていたからだと思われる。するとシリウスさんが攻撃パターンを変えてきて、僕の頭の目掛けて模造剣を振り下ろしてきた。僕は咄嗟に防ごうと模造剣を頭の上に持ってきたがそれはフェイントで隙だらけになっている僕の腹に蹴りを入れてきた。
「ぐっ……」
シリウスさんの蹴りが直撃し、飛ばされてしまう。強い、強すぎる……。先程の人達と比べられない程に強い。
「どうした、スキルを使わないのか?」
シリウスさんは僕に剣先を向けながら問いてくる。これはスキルを使わないと勝負になりそうにないな。仕方ない、【雷竜】を使うか。シリウスさんなら手加減しなくても大丈夫な気がする、いや手加減したらこちらがやられる気がした。
「スキルを使用しますが、どうなっても知りませんよ」
忠告した後にスキル【雷竜】を発動させて、全身に雷を纏わせるイメージをしながら力を込める。全身に黄色いが発生し、バチバチと音を立てていた。
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【雷竜】 【嗅覚】 【斬撃】 【毒】 【麻痺】 【操糸】 【飛行】 【翻訳】 【契約】 【竜眼】
隠し能力……サーペントスティール
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