19話 洞窟の中にいたもの
お久しぶりです、遅くなり申し訳ございません。(見てくれる人はいないかもしれませんが……)
「薄暗くて先が見えない……」
この洞窟は先に行けば行くほど光が届かなくなり真っ暗になっている。1本道になっているがモンスターがいたら気づかず襲われる可能性があるので危険な状態である。
「明かりをつけるね」
このままでは危険だが僕達は村を出る前にランプも渡されていたので視野は暗い洞窟の中でも確保できる。ランプはマナに預けていたので、マナが取り出してランプを付けて明かりを灯してくれた。
「ありがとう、しかしこの洞窟不気味だな」
「そうね、気を付けていかないとね」
明かりが出てきてわかったのだが洞窟の所々にモンスターの骨があるのでいきなり現れそうで警戒してしまう。
「そんなに警戒したらいざという時、体が動かんぞ」
「警戒しないといるかもしれない」
「安心しろ、この辺りにはモンスターはいない」
「なんでわかるの?」
「竜眼を使えばわかるぞ」
インドラ曰くスキル【竜眼】を使えば気配も察知出来てモンスターの能力値が分かるという。気配も察知できる効果があるのは驚きだ。早速使ってみるが全く分からなかった。
「使いこなせればできるようになる、頑張れ」
「レイなら使いこなせるようになるよ」
使いこなせなくて今は諦めようとしたがマナが励ましてくれたのでしばらくスキル【竜眼】を発動させながら洞窟の奥へと進んでいく。
「結局何も感じないよ……」
「すぐに使いこなせたら苦労はせんぞ、少し進んだ先にモンスターがいるから注意しろよ」
僕では察知できなかったがインドラは完全に把握していてモンスターがいることを僕達に教えてくれる。隣を見るとマナはすぐに弓を取り出して警戒していた。
「インドラ、どういうモンスターかわかる?」
「まぁ脅威ではない事だけ言っておく。だから剣と雷を使うのは無しだぞ」
使ってはいけないということはスキルの練習が出来るほど弱いモンスターなのでそんなに警戒しなくてもいいが初めての依頼でもあるので念のため警戒する。
慎重に進むと2体の影が見える。その方向に明かりを照らすと小柄で全身緑色の肌をしており、瘦せ細っていた。
「あのモンスターはゴブリン?」
「ゴブリンね、冒険者が依頼を受けていたモンスターよ」
ゴブリン……Dランクのモンスターで比較的初心者冒険者が最初辺りに戦うモンスターだ。群れで行動し、人を見つけ次第襲い掛かり、物を盗む行動を見せる。
ゴブリンは僕達を見つけてすぐ突進するように襲い掛かってきた。口を開けてよだれをたらしながらこちらに向かってくる。
「レイ、戦うよ!」
マナはすぐに矢を放ち、1体の腕に刺さる。しかし怯むことなくこちらに向かってくるがマナの能力で矢から木が生えてきて体を巻き付けるように伸びていき、次第には締め付け状態となり動かなくなった。
何度見ても恐ろしい能力、でも僕も負けてはいられない。こちらに向かってくるなら先程手に入れたスキルを試そうと思う。
【脚力】発動!
スキル【脚力】を使って足を強化して向かってくるゴブリンに目掛けて飛び蹴りをして腹部に当たり、そのまま洞窟の奥へと吹き飛んでいった。ゴブリンが吹き飛んでいった方向を見ているとモンスターの悲鳴らしき声が聞こえてきた。
「そのスキル、極めればかなり強くなるぞ。遠く離れたモンスターに直撃して動かなくなってしまった……」
「凄い威力だった……足が軽くなった気がしたから本気でやったら吹き飛んでいったから驚いたよ」
スキル【脚力】、これはかなりの収穫だ。使いやすく、かなりの威力があるので安心感がある。インドラが冷や汗を搔いて驚きを隠せないほど期待があるスキルだ。
「しかしマナの能力も凄いね、あれに捕まったらひとたまりもないよ……」
「ありがと、レイには負けるけど私のスキル【植物】で出来ることはしたいからね」
マナのスキルは【植物】、全ての植物を操作できる。種に魔素を込めると急成長して木を生やしたり、花を咲かせたりすることができる。応用で植物で作られた武器ならそこから木を生やして敵を巻き付けたり、植物の効力を自由に使うことが出来る。
マナが自分のスキルを僕に教えてくれるがやはりエルフの女王にスキルが似ている。女王も木を生やしたりしていたので同じスキルなのだろう。
「おい、話はそのくらいにして先に進むぞ」
そうだ、僕らはここで話している時間は無い。依頼に行った冒険者がもしかしたら命に係わるほどの重症かもしれないので少しでも早く安否を確認したいところだ。
「そうだね、先に急ごう!」
会話をやめて先に進もうとした時、奥から足跡が聞こえてきて僕達は耳を澄ませるとどんどん足跡が大きくなり、先の方からゴブリンが5体がこちらに走ってきた。
「ゴブリン!?」
「先程飛ばして当たった奴がこっちに来たのかな、ならここは僕1人でやるよ」
僕の攻撃のせいでこっちに引き寄せてしまったので責任を感じて1人でやることにした。ゴブリンは数が増えただけで先程とは変わらないのでスキルを試す余裕がある。スキル【脚力】を使って試したいこともあるので早速やってみる。
「よし、今だ!」
ある程度距離が近づいたところでスキル【脚力】を使って足を強化して前に進む。その時には手にスキル【操糸】で生成した蜘蛛糸を準備していてしかもその糸はスキル【麻痺】で麻痺させる効果を付与させている。
瞬時にゴブリンの後ろを駆け抜けてその時にゴブリンに糸を引っ掛けて通り過ぎたタイミングで糸を引っ張り絡ませて束縛してゴブリンを一か所に集めたあと釣りの如く大きく上げてそのままの勢いで地面に叩きつけた。
「麻痺蜘蛛糸!」
地面に叩きつけられたゴブリンたちはピクリとも動かなくなった。それにしても先程手に入れたスキル【脚力】、使い勝手がいい。エルフの里で覚えたスキル【操糸】に麻痺効果を付与する技に合わせることが出来たのでこれでまた1歩強くなった気がする。
【個体名、ゴブリンを討伐したためスキル【盗人】を獲得しました】
「またスキルを得たようだなレイよ」
「そうだね、戦いが終わるたびに新たなスキルが手に入るから覚えにくいよ」
スキルがたくさん入りすぎて練習していたスキルを忘れそうで困る。しかし新しく手に入ったスキルを使わないのももったいないのでとりあえず確認してみる。
盗人……相手の持ち物を盗むことが出来る。狙いを定めると存在感を数秒消すことが出来てさらにスピードも上がるのでその間に盗むことが出来る。
「戦いで使えそうにないな……」
尋ねるようにイメージすると世界の理が教えてくれたがあまり期待できそうにない。インドラと話しているとマナに何かあったかを聞かれたので戦いに使えないスキルが手に入ったとざっくり説明した。
☆☆☆
しばらくスキル【竜眼】を使って索敵練習をしながら慎重に奥に進むが何も感じることはできなかった。でも進んでいるがモンスターや人にも遭遇しなかったので助かっている。何も感じなくても諦めずにスキル【竜眼】を使って索敵を続けるとインドラが急に止まり、僕らを止める。
「止まるのだ!」
「どうしたの、インドラ?」
「レイよ、わからんか?」
恐らくインドラは竜眼で何かを察知したみたいなので僕もスキル【竜眼】を使って索敵してみるがやはり何も感じない。
「ごめんインドラ、何も感じない」
「まだ難しかったか、とりあえず今は解除して敵が見えたらすぐ竜眼を使うんだぞ」
「わかったよ。マナ、この先に何者かがいるみたいなんだけどここに残る?」
「私も行くよ、きっと出来ることがあると思うから」
この先は危険そうなのでマナはいかない方がいいと思ったが本人は行く気満々だったので無理に残ってもらうのは無理そうだ」
「分かった、でももし危険になったらすぐに離脱して遠くに逃げてほしい」
「分かったけどレイとインドラがいるから危険にならないよ」
マナもインドラ同様、僕を強いと思っているのでものすごい安心感を持たないでほしいと思うがインドラがいるから安心してもいいかも知れない。
「そこの王女、早速出来ることがあったぞ。実は他にも察知していてなぁ恐らく帰ってこない冒険者だと思われる。とりあえずそいつらと合流した後、王女はそこに残り冒険者を守ってくれ、余裕があったら援護射撃しても構わんぞ」
「全力を尽くすね」
「なら僕とインドラで戦闘ってわけだね、よし行こう!」
ダッシュで駆け抜けてまず冒険者がいると思われる場所に向かう。真っ直ぐ進んだ後2手に分かれる道が現れるがインドラが先導して進んでくれるため迷うことなく行ける。進むと横に道がありそこに入ると2人の冒険者が身を潜めていた。
「大丈夫ですか?」
「応援か、君たちランクは?」
「まだ冒険者に入ったばかりです」
「なんだと! Eランクじゃあ戦えないじゃないか。なら君たち急いで村に帰って救援を頼んでくれないか?」
冒険者2人は何か慌てている様子だった。状況がつかめないので聞いているとそんな暇は無いと怒鳴られてしまう。
「早く救援を頼めと言っているんだ、急げ!」
「落ち着いてください、救援と言ってもどのランク帯に頼んだ方がいいですか?」
「Bランクは無いと戦えない、あのフードを被った集団は強すぎる……並の力では歯が立たない」
「フードを被った集団ってまさか……」
その集団の特徴を聞き、ある組織が脳裏に浮かぶ。初めてインドラに会った時に現れて僕を勧誘しようとしていた組織の名が頭の中に出てきた。その組織はサタニズム。この奥にはサタニズムがいるかもしれない。
~【能力強奪】で入手したスキル一覧~
【雷竜】 【嗅覚】 【斬撃】 【毒】 【麻痺】 【操糸】 【飛行】 【翻訳】 【契約】 【竜眼】 【脚力】【盗人】
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