1話 外れスキルと言われ、追放されました。
試行錯誤しているので話が大幅に変わるかもしれません(。-人-。) ゴメンネ
「レイ、貴様を追放する!」
僕は代々勇者パーティーに入っているホープ家の長男として生まれてきたが父から15歳の誕生日に家を出て行けと言われた。
理由としてはこの世界では15歳になるとスキルが開花される。スキルが良ければ冒険者として活躍できたり、運が良ければ王族とも関係を築けたりなど皆に注目される存在になれるのだ。もちろんホープ家の人間は皆、強いスキルを開花しているので僕もきっと強いスキルを授かると父上から期待されていた、それに次の勇者パーティーに入ることを父と約束していたのもあり、プレッシャーが重かった。
父上は家にあるスキルを鑑定する水晶を持ってきて僕はスキルを鑑定するべく手をかざしてみた。すると水晶から光が放出され、スキル名が表示された。
スキル【能力強奪】……討伐した対象者の能力を奪うことが出来る。
僕、個人としては強そうな能力だと思ったが父は外れスキルと言って絶望していた。その顔は何もかも失ったかのような死人みたいな顔をしていて放心状態になっていた。
スキルには続きの説明があったが父上はどうでもいい! と言って激怒して水晶を取り上げた。
父上が何か言おうとしたときに弟、ジルがやってきた。ジルは双子の弟なので僕と同じスキルが開花していた。すぐにジルに水晶へ手をかざすように言って、指示通りに行動していた。するとスキルが表示される。
スキル【聖剣】……持った剣が悪を滅する力を付与される。剣を離すと効果は切れるが持っていれば体内の魔素が枯渇するまでずっと聖剣になる。
魔素とは、スキルを使うときに使うエネルギーの事でこれは誰でも体内に宿している。しかし魔素量には個人差あり、多ければ多い程より強力にスキルを使うことが出来る。ちなみに魔素量は遺伝されるので親が多ければ子も多くなる。ホープ家はというと代々勇者パーティーに入っているだけあり、皆、魔素量が多い。
弟のスキルは名を聞くだけでわかる最強スキルだったので見惚れていると父が声を上げて感激して弟に次の勇者パーティーに入るのはジルだと言っている。
さすがに話が違うと思い、「勇者パーティーに入る約束は……」と父上に確認したが激怒され、追放すると言われてしまい、今に至る。
「ちょっと待ってください! 今は使えないですけど父上から教わった剣技で敵を倒せばスキルを手に入れて、いずれは強力になります。なので考え直していただけませんか?」
「馬鹿者! そのスキルは敵を倒さないと意味ないだろ! 敵を倒すまではスキルが無いようなもの、剣技はスキルがあってこそ力を発揮するんだ、スキルが無ければ敵は倒せるわけないだろ!」
ダメだ、父上は話を聞いてくれない……。今まで勇者パーティーに入るために父上から色々教えてもらったのに、こんなことがあってたまるかよ……。
「ジル、俺の考えが甘かったよ。やはり勇者パーティーに入るのはお前だったよ」
「ありがとうございます父上、期待に応えられるよう努めます」
本来約束していた内容は僕が勇者パーティーに入ってジルは国の王を護衛する話だった。まさかスキルが分かった途端に約束が破棄になるとは思わなかった。
僕はずっと勇者パーティーに入るために頑張ってきたんだ、ここで引き下がるわけにはいかない!
「父上、僕にチャンスをください! 必ずスキルを手に入れてホープ家に恥じぬよう力を付けますのでどうか約束通り……」
「貴様まだいたのか、早く荷物をまとめてここから出ていけ! ホープ家の恥さらしが。そのスキルでルーカス王の護衛をやっても務まるわけがないからな。もうお前は俺の子じゃない! そして俺の前に二度と顔を見せるな!」
鬼の形相で怒鳴り散らかす父だが、その目には僕のことは眼中になく、言いたいことを言って満足した後、ジルの能力に見惚れていた。顔を見せるなって……さっきまであんなに期待してたのにそれは無いだろ……。僕は放心状態になり、膝から崩れ落ちた。
僕は勇者パーティーに入っていた父上を尊敬していた。父みたいにかっこよく、強くありたかったから少しでも近づけるように努力していた。そんな父に俺の子じゃないと言われ、涙が今にもこぼれそうだった。
父上の前で泣く姿は見せたくないので涙をこらえているとジルが僕の前にやってきた。ジルとは今まで仲良くしていたのできっと優しい言葉を掛けてくれると信じていたが……。
「兄さんが家を出てくれて清々するよ。馴れ馴れしく話しかけられるのは正直うざかったし、少し早く生まれただけなのに兄貴ずらしてずっとイライラしたよ」
「ジル、嘘だよな……あんなに優しいお前がそんな口言うはずないよな……」
「俺が演技しているのにも気づけないとは……呆れるね~だから兄さんは追放されるんですよ。はぁ……俺はずっと憎んでいた。少し遅く生まれただけで勇者パーティーの候補から外れては王の護衛をしろだ……ふざけるな! ホープ家は代々勇者パーティーに入っている家系、勇者パーティーに入っていなければ存在意義がなくなるだろ!」
現実を受け入れることは出来なかった。小さい時は穏やかな顔でずっと僕についてきていたのに……勇者パーティーに入る約束を父上とした時、応援してくれたのに……。勇者パーティーには掟で兄弟一緒に候補に挙げてはいけないというのがあり、入れないと言われた時も嫌な顔しなかったのに……。そんなジルが今、人が変わったかのように暴言を吐いているなんて……信じられない。
「ずっと憎かった、今すぐにでも殺してやろうとも思った。まぁでも俺が勇者パーティーに入ることになったんだ、今はとても心地よい気分だ。礼を言うよ、外れスキルを開花してくれてありがとう兄さん!」
ジルは邪悪な笑みを浮かべながら僕の顔をのぞき込んでいた。やめろ……ジルの口からその言葉は聞きたくない。
「ジル、そいつはもうホープ家の人間じゃないんだ。兄さんと呼ぶのはやめろ」
「おっと、俺としたことが申し訳ございません父上。まぁ精々無能らしくそこら辺で野垂れ死んでくれよレイ君」
ジルの目はまるで害虫を見ているかのように僕を見下していた。この時に思い知った、今まで仲良く過ごした時間は偽りだったことを……。
「早く荷物をまとめて出ろよ、部屋がお前で汚れる前にな。ジル、明日王都で勇者パーティーに入るための準備があるから仕度するぞ」
「わかりました、今すぐ仕度をしましょう」
父上とジルは僕を部屋に残して出ていった。ジルはとても楽しみなのか明るい声で父上との会話が部屋越しに聞こえてくる。
「ちくしょー!」
一気に感情が高ぶり、涙が溢れ出てきた。今までホープ家で過ごした日々が頭の中に過ぎる。父上と共に鍛錬したり、家族みんなで笑顔で食卓を囲んだり、ジルと遊んだり……どれも忘れられない思い出で心に残るぐらい僕はホープ家が大好きだった。
でもそんな大好きなホープ家を父上から出ていけと言われ、今はただ泣き叫ぶことしかできなかった……。
☆☆☆
しばらく泣き続けて心が少し落ち着いた後、自分の部屋に行き、無表情のまま黙々と荷物をまとめている。鍛錬の時に使っていた剣、小さい時に父上からもらったペンダント、ジルと一緒に読んでいた本など大切にしていたものを次々とバックに入れていく。
荷物を全てまとめた後、これ以降戻ってくることは無い、いや許されないので最後に今まで過ごした家を徘徊することにした。もちろん父上とジルにバレないように静かにね。
ホープ家は代々勇者パーティーのためかかなりの豪邸だった。リビング、客室、キッチン、ベランダ……部屋の数は以上に多かった。
それぞれを見ていくたびに昔のことが思い返されて悲しくなる。そのたびに頬を両手で勢いよく叩いて気持ちを抑えている。
全て徘徊して最後の玄関の所に来たがもちろん父上やジルは見送りに来ることはなかった。
「今までありがとうございました……」
見送る人は誰もいないが感謝の気持ちを口に出し、誰にも気づかれないまま家を出ていき、ずっと住んでいたホープ家の屋敷を後にした。
15歳の誕生日に外れスキルを開花させてしまったため、代々勇者パーティーに入っているホープ家を追放されました。
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