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春日部の勧誘

彩と幽刻寺の活動である目安箱に入っていた。

熊谷スイーツを調べる為星川通りでゆきくまという

かき氷を食べているところでした。

「トイレトイレー!もれちゃううのおおぉぉ」

奇声を上げながら彩は、レンガの学び舎の校門から猛ダッシュで玄関を目指していました。

幽刻寺は「あんなにかき氷食べるから・・てゆうか天使なのにトイレ行くんだ・・」と

愚痴を漏らしながら後についていきましたが、思っていたよりも彼女の足は早く気が付いたら見失ってしまいました。

「あれ・・彩さん・・?まあ・・いいか・・どうせ教室に戻るんだから・・」

そういって、次第に彩を追うのを止めて教室に戻ろうと幽刻寺は思い、玄関を目指している最中の事でした。

「おい!お前!止まれや!」

背中からつっけんどんな口調の男性の声が聞こえました。

「!?・・はい?」

恐る恐る幽刻寺が振り返ると目の前には自分の背より10センチは高いだろうがっしりとした体格の男の子が居ました。

 下からローファーに紺色のズボンとブレザー姿で青いネクタイ、顔立ちはほっそりとしているがたくましさも感じられます。

 髪の毛が長く半分片目が隠れていて、医療用の眼帯をしていて後ろは結んでいます。

隠れていない方の目からは何か殺気だった感じが見受けられたので、

何か恐喝されるのかと思い幽刻寺は咄嗟に余計なことを言ってしまった・・。

 「いくらも、イクラも持っていないです!イクラは利根川で取れますが利根川のイクラは取っては駄目です!て、ゆうか僕は怪しい者ではありませんし!刃物も葉物も持っていません!葉物なら岩槻の小松菜が美味しいです!だから見逃してください何でもしますから!」

 その言葉に相手も苛立っていたのか思いっきり校門に拳を叩きつけると、その拳の周りが陥没して「ドゥオーン!」という轟音が鳴りまた、風圧が幽刻寺のこめかみに吹いてきました。

 「やばい、僕死んだ・・こんな壁ドゥオーン!なんて次食らったら間違えなく死んだ・・短かったな僕の土地神転生・・」

 そして次は拳とは反対側の手が上がり、幽刻寺は驚愕した。

 彼の手には入部届が握られていた。

挿絵(By みてみん)

 「これ、この学校の入部届・・?あれ部活動名・・これ春日部ってかすかべですよね?」

 「あ?ちげーよ!はるにちぶだ!はるにちぶ!俺の活動している部活だ!二度と間違えるな!これからお前も入る部活なんだからよ!」

 「え?何でですか?・・てか部活の勧誘ならこんな手荒な真似しないでしょ!?普通に頼めないんですか?」

 「俺が直々に来てやっているんだから有難く思え・・お前さっきの話だとセンコーが言っていた通りこのさきたまの地を知り尽くしているみたいだな・・だったらこの先この部活に入っておけばもっと早くこの地の真実にたどり着くぞ知りたくないか?このさきたまの本当の名前を・・」

「本当の名前・・それは僕らの知ってはいけない事では?」

「お前のいう通り表向きではそうなっているかもしれないが、誰も見たこともやったこともないのにそうなるとは限らないだろう?」

 確かに彼の言う通りまだ起きていないのに、そう決めつけつけるのも疑問だと幽刻寺は思った。

「お前の力が借りたい、何としてでも俺は真実に早く近づきたいんだ。血洗島財団の尻尾を掴むためにも・・」

「血洗島財団?何ですかそれ?ん・・血洗島ってここから北に向かってある地名では?深谷?」

「察しがつくのが早いじゃねえか!やっぱ入れこの部活。」

彼の鋭い眼差しの中、幽刻寺は目を逸らしながらちらりと入部届けに目をやった瞬間でした。

「春日タケル?・・え?まさか?」

 幽刻寺は入部届けに部長の名前が入っているのに気が付きました。そしてピンときました。

「もしかしたら、さやか先生が言っていた通りまさか彼もこの地の神様なのだろうか・・?タケルこの名前もしかしたらこの地の山奥にまつわる英雄の名前じゃないのか?流石に眷属の方かな?」

「所でどうするんだ?入るのか入らんのか?さっさとしないともう一発ぶん殴るぞ!」

 春日タケルは拳を再び上げて脅しをかけて来ようとしてきた。

理不尽に思いながらも、幽刻寺は彼の気迫に押し負けそうになりサインをしかけた時だった。

「うぅぅ!急に尿意が・・」

 それも無理もない、彩と幽刻寺はこんな寒い中かき氷を食べていたのである。

尿意もすぐに訪れ幽刻寺も慌ててトイレを探そうと思いましたが、生憎ここには来たばかりでトイレの場所が解らない上に他にも問題があった。

「そういえば、トイレってどうするんだ?」

「は?何いってんだお前?今までどうやって育てられて居たんだ?」

春日タケルは幽刻寺の言葉に流石に一歩引きました。

「そ・・そんあぁこと言われても・・解らないものは解らないんだかぁら、助けてください何でもしますから・・これじゃ僕のダムの貯水量もオーバーフローして決壊しぃ・・そうだよ」

「・・別にいいぞ・・」

幽刻寺は春日の二つ返事に、流石に驚いて「え?」と声が漏れた。

「こんなに口が悪そうで暴力的なのに何で・・?ん?」

そういえば先ほど見せられていた入部届に活動概要が載せられていた事に気が付いた。

「活動内容は困っている人が居たら放って置かずに助けること・・え?慈善団体じゃんか!もしかして滅茶苦茶良い奴なんじゃ・・」

「おい、さっさとしないと置いていくぞ!」

「え?待ってよ!置いてかれたら絶対入部しませんからね!」

二人は右側の壊れた校門から離れて玄関を目指した。


 その様子を校門前にある噴水の陰から見ていた者がいた。

「は?何なのよあいつ等・・今日会ったばっかりなのにあんなに仲良くして・・まあ、別に私には関係ない話だし!あいつらが仲良かろうが悪かろうが関係ない!それにしても何なのよこのモヤモヤ感、あー!むかつくむかつくむかつく!」

 そう言うと手に持っていた金棒を思いっきり壊れていない方の校門に放り投げた。

反対側の校門も「ガキン」という音とともに粉々に粉砕した。

 「あーすっきりした!校門完全にぶっ壊しちゃったわ!・・あっ校門とか言っちゃった・・!あーまた腹立ってきたわ!やっぱあの二人どつきに行こう!」

 そういって、金棒を持って二人の後をついて行きました。


一方その頃、幽刻寺と春日はと言うと、二人で放流式を開いていました。

「へえ、こうやってするんですね。」

「みてくんじゃねえ!」

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