川越のお稲荷様と授業
天の使いである彩が、人間をうますぎるお饅頭で土地神様として転生させてしまいました。
共に、この地を救済活動をするため二人は走り出したところでした。
「着いたわ!ここが私たちが活動している学校、レンガの学び舎よ!」
先ほどの神社から少し離れた場所に僕は案内されました。
二人の目の前には煉瓦調でできた建物が立っています。
建物の前には、噴水付きの庭園もあります。
「表向きでは農業高校だけど、秘密裏にこの校舎の教室を借りて私たちは活動をしているわ!こっちよ!」
そう言われて彩は幽刻寺の手を引いて、右側に見える玄関を目指した。
「今日は新しい生徒が来るって彩が言っていたけど・・この気配どう考えても人間なのよね・・表の世界の人間をまさか境界入りさせたのかしらね・・?彼女初めての土地神降臨だから人間を連れてきても不思議じゃないか・・」
そういいながら、先ほど彩達が見ていた校舎内にある教室で、茶髪の髪をポニーテールに結んだアラサーぐらいの・・ゴフ!は?チョーク?あの・・ここにまで攻撃して来ないでほしいな・・だって事実じゃん!神様のとしての期間考えたらもっと歳いってんじゃんか!
「いちいち、うるさいわね・・」
彼女は窓の外を眺めながら何かを目で追う、そしてカウントを始める
「30・・20・・10・・今だ!」
チョークを投げた。それは対角線上になる教室の扉に向かって飛んでいきました。そして、そのチョークは教室に元気よくこの教室に入ってきた金髪の少女、彩に当たりました。
「いったい!としま!何してくれるの!人気観光地のお稲荷様だからってやって良いことと悪いことの分別付くでしょう!?あいたた!?」
それを聞いた茶髪のポニーテールの女性は間髪入れずに、もう一発チョークを投げていました。再びそのチョークは彩の額に当たり粉々に粉砕する。
そのまま彼女は後ずさりをして床に倒れこんだその際に「さやかのくそばばあ草くらえ」とつぶやいていた。後ろからその姿を見ていた幽刻寺はとんでもないところに来てしまったと思いました。
「こんにちは!君が新しい神様で彩の相棒ね!私はこの学校で教師を務める川越出身の狐崎さやかよ!よろしくね!」
そう挨拶すると窓際の机に腰かけていたさやか先生は腰を上げて黒板前にある教卓前に立ちました。
「授業するわ・・席に着いて二人とも!」
「ええっと僕の名前は幽刻寺といいます。まあ、この手紙に書かれていたことですが・・」
さやか先生は彼から手渡された手紙をまじまじと見ながら聞いていました。
そして、すぐにピンと来ました。
「これこの土地の県庁から出された郵便物ね!ほらここに鳩のマーク!たぶんあなたはこの場所に来る為にこちらの世界に来たのね・・あなた表の世界では観光大使に任命されていたみたいですし・・」
さやか先生は切手に張られていたハンコと裏面の県庁の任命書のようなものを指さして答えた。その言葉に彩は思わず立ち上がりました。
「じゃあ私大手柄じゃないの!この地の危機を救うためにSSR級のレアガチャ大成功じゃない!?これでこの世界を救える!」
さっきは何か言っていた癖に調子がいいなと思いながらも幽刻寺はさやか先生に質問した。
「この地の危機って何ですか?」
幽刻寺の質問に待ってましたというように彼女は黒板に向いてチョークを本来の使い方で使い説明し始めました。
「今、あなたは表の世界ではなく神々の世界さきたまにいるわ、この世界は密接な関係にありさきたまが消えてしまうと表の世界も消えてしまうわ!表裏一体ってやつね・・この世界の維持されるためには人々の心のパワーが源なのしかし、最近枯渇して来ているの・・その為表の世界と後わずかに残されたこの場所を一時的に融合することによりこの世界を維持しているの・・だから表の世界にも神様が人と共生していたり、人々の中にもこちらの世界を知るものも少なくないわ・・」
黒板いっぱい使ってさやか先生が説明している最中、
幽刻寺は何か壮大な事を言われて居る事だけは察しました。
「実感はわかないけど、この地の行く末を僕に委ねられているんですね・・そういえば少し疑問があるんですが何で饅頭を食べただけでこっちの世界に来てしまったんですか?」
「いい質問ね、こちらから出された食べ物を口にしたからよ、ほらよくあるじゃないトンネルを抜けたら何か美味しそうな料理が並べられていて、食べたらこちらの世界に迷い込んでしまった・・」
さやか先生がそこまで言うと彩も口を開きます。
「ああ、その話聞いたことある・・こっちの世界の食べ物食べないと消えちゃうとかもあったよね。」
「ぶえっくしょん!・・」
「え?どうしたの幽刻寺?風邪?いま外には悪い病気がいっぱいだゾ!」
幽刻寺は首を振って違うと伝えると、本当のところはさやか先生と彩の言った言葉に悪寒がした事は黙っていた。
「そういえば、この地を救う方法って何ですか?」
「この地の隅から隅までお散歩して貰うだけの簡単な仕事よ!あなた達にはこの地の魅力を発信してしていただくための観光大使をしてもらうわ!」
彩はそれを聞いて「まぁ、そうなるわね」と頷いていた。
「そんな簡単に言われても、散歩ぐらいで僕たちはこの地を救えると思えないよ・・第一魅力の発信ってどうやってするのさ!」
幽刻寺は席から立ち上がりさやか先生に言い放った。
「問題ないわ・・後ろを見いて」
さやか先生にそう言われて後ろを向く二人そして、すぐに納得した。
「ああ・・そういう事か」
二人はその後すぐにまた黒板に振り返り、幽刻寺は最後の質問をした。
「表の世界の県名って何ですか?」
彩とさやか先生は見るからに青ざめた表情をしていました。
「その話ね・・最初に「さ」がついて最後に「ま」が付く四文字の県よ・・実は言ってなかったけど表の県の本当の名前はみんな思い出せなくなっているのよ何でも本当の名前を言ってしまったら双方の世界にパラドクスが生じて皆消えちゃうのよね・・。」
その後彩も付け加えるようにこう言った。
「それだから、私たちは仮の名前を付けて<さきたま>と呼んでいるわ!」