エピローグ
これは聞いた話だ。
俺が眠っている間の話。
青龍波を見た魔法騎士は戦意喪失、降参したらしい。
その後、ラース王の住むクリスタ城に向かったクリスタル団は城門をぶち破り、逃げ出そうとしていたラース王を捕縛。
その時のラース王の表情は傑作だったようで、見れなかったのが残念だ。
ラース王は醜く泣きわめき、王の威厳などもうなかった。
小便を漏らしながら連行されるラース王に民衆は馬鹿笑いして、破壊されつくしたクリスタだというのに幸せそうだったとティアが言っていた。
まぁ、そんなところで過去の追想はおしまい。
現在はまだ復興されていないクルザの中心地、クリスタ。そこは帝国領となり、住人は幸せに暮らしている。
そして、今日。
俺、リスティア、ナナ、リリーザ、アーシャ、ヨセフ、アロイスは民衆の決定を見に来ていた。
決定とは、旧貴族階級の処罰のことだ。
ラース王は板に張り付けにされ、ラザルもはりつけにされ、ユーフェとアランは手錠を手足につけられている。
まるで見世物小屋かのように辺りには大勢の民衆が集まっているこの空間はちょっと異様だ。
「やっとこの時が来たって感じね」
「ああ、そうだな」
俺はティアの声を聴き、心にあった重りが落ちたように感じた。
「では、始めるぞ! 帝国臣民! 我が愛する臣民の意見を発表する」
中央に立つ、リリーザは相変わらず小さい。小刻みに動きながらリリーザは俺の顔をちらっと見ると、
「と、その前に! 民衆の解放者ジークとリスティアに拍手なのだ!」
その瞬間、鼓膜が破れそうなほどの拍手が聞こえてくる。
だが、不思議と悪くはない。むしろ心地いい。表で活動するのもいいかもなって気がしてくる。
リスティアも同じようで、皆に愛想を振りまいている。
「ごほん!」
鳴りやまない拍手を止めるようにわざとらしく言うリリーザは続ける。
「クルザ王ラース。彼への罰は重い。王でありながら、無知で何も知らずに怠けていた。この男が有能であれば、こんなことにはなっていなかったのだ。よって、民衆は死刑を要求」
リリーザの声に今度は大歓声が上がる。
「次に宰相ラザル。彼も同罪だ! ジークに対しての行為は許せない。民衆はそう判断したようだ! よって死刑」
意外な結果だった。でも、反論はない。
俺だって、ラザルが一番憎たらしかった。
だから、俺も心の中で拍手をした。
「次にユーフェとアラン。結論から言えば、奉仕刑を要求。若いユーフェとアランには更生の余地ありと考えたようだ! だから、二人にはユーフェがやっていた罰を継続して行ってもらうぞ。以上だ!」
リリーザが話し終えると、魔法花火は空高く上り、青い空に輝く魔防花火と、民衆の嬉しそうな声は今後の帝国の発展を祝っている様だった。
fin
完結となります。ここまで見てくださった方、ありがとうございました。
さて、今回のお話ですが第一章18部から少し展開が難しくなったと思います。3章に至っては完全にそうです。テーマは最初は主人公と貴族の対立→民衆と貴族の対立です。
それには理由があります。
最初このお話を書いたとき、ランキングを参考にし、ランキングのような展開にしようとしていました。
ですが、タイトル変更をしたときに『黄金時代』ってなんだって疑問がわきました。
そうです。最初のポップな展開を諦めなければならなかったのです。もし技量があったりや性格が合致していれば、展開を変えずに済んだかもしれませんが、あいにくそうじゃないので。
あと、最後の方は展開をかなり省略させてもらいました。
単純に、モチベ―ションの問題と、テーマが『ざまぁ』なので省く方がいいかなって思ったのもあります。すみません。