第二十九話 優しい拷問を始める2
ナナは短刀をしまうと、パニック状態のユーフェを見て、あらためて嘆息している。
「よくみて。血だってそんなにでていない」
「血! 血が出てるわ!! どうしましょ!! 死んじゃう!」
ナナのそんな言葉もユーフェの耳には入ってこなかった。
ユーフェは必死に切り傷がある腕を心臓より上に上げていた。
そんな様子にナナはもう何度目か分からない嘆息をすると、ナナは町人に目くばせをする。
ナナは慌てているユーフェの意識を現実にに戻そうと考えているようだ。
町人は水をバケツに汲むと、ばしゃりとユーフェの顔にかける。
「ひゃ!! 冷たい!」
ユーフェは水をかけられたことにより、自分の立場を再認識する。
ユーフェは辺りを何度も見渡すと、水をかけた町人に対して唾を吐いた。
「あんたどうなるか分かってるんでしょうね? 私を殺したら、あんたの家族は皆殺しよ」
ユーフェは怖気つくと考えてそう言うが、町人は首を横に振る。
「ユーフェ様。もうお終いだ。神話の時代からあるこの国はもうお終いだ。あんたたちのせいでな」
町人が怒った声でそう言うと、ぽかんとしているユーフェにナナは口を開いた。
「ユーフェに何言っても無駄。中央にいる自分たちのことしか考えられない。食料を改善しに来たのだって多分それが原因」
「なっ! 勝手なこと言わないでよ! 私だってラザルの代わりに頑張ってるのよ!」
ナナのその言葉は図星で、多少はクルザ王国のことも考えてはいたが、ユーフェは王都と身の回りの環境の事しかほとんど考えていなかった。
だが、ユーフェのプライドがナナの言葉を否定している。
「じゃあ、クルザ中で反乱が起こっていることは?」
「もちろん、知っているわ。でもそれは私の担当じゃないから」
馬鹿なユーフェは素直にそう答える。
「でも、内政担当のあなたも担当するべきじゃない。それに、あなたが動かなきゃ下も動けない」
「くっ! うるさいわね! だから私はこうやって食料問題を解決しにきてるんじゃない!」
「師がいなくなってから2週間以上。その間にも動けたはず。それに、他にも放置していた問題はある」
ナナがそういった時だ。ユーフェの眉がピクリと動いた。
「あー! うるさい、うるさい、うるさい! どうせ何とかなるんだから、今やらなくてもいいの! この国は中心なのよ? 何とかなるの、何か偉大な力によって」
「ふざけるなっ! そんな幸運は降ってきやしねえ! 少なくともお前たちが働かなきゃ、神だってそうしない!」
町人はユーフェの左頬を思いっ切り殴っていた。
備蓄していた食料を食べられた町人の怒りは頂点に達していたようで、殴った後も興奮気味で口を開く。
「蛮族の侵攻により、治安も維持できてない。食料もない。税だってジーク様がいなくなってから高くなる! 最悪な状況だ!」
町人はそう言うと今度はユーフェの顔を平手打ちすると、ユーフェの上着を脱がす。
下着が露わになったところで、ナナは町人の腕を掴んだ。
「大事な人質。いつか使える機会がある」
「すみません」
ナナと町人がそんな会話をしている最中、ユーフェは腫れた顔でナナを睨みつけていた。
その瞳はもはやお嬢様と言った表現は似つかわしくない。
ユーフェは服をぬがされたことで、ようやくナナたちが本気で怒っていて、金や権力で解決できないのだと理解していた。
「それで、あんたたちの望みはなに? 私の体や権力、金が目的じゃないようだけど」
「簡単なこと。今民衆と魔法騎士部隊は激突寸前。だからアルベールをどうにかする必要がある。アルベールの居場所を教えて」
「教えたら逃がしてくれるの?」
「全てが終わった後で師が考えること」
ナナがそう言うとユーフェは嘆息する。
「それで教えるわけないじゃない! 馬鹿じゃな――」
瞬間、町人は再び水をかけると今度はバケツに入った水にユーフェの顔を押し付ける。
「こういう時、師みたいに魔法が使えれば拷問の種類も増えたのに」
(魔法を使えないゴミが私を苦しめるのがどういうことか分かってないようね。あ、水が。苦しい)
ナナのその言葉にユーフェは水中で否定するも、自らの首を絞めているもので、水が口内に侵入して苦しさは頂点に達している。
そのあまりにも苦しそうなユーフェを見て、町人は手を緩めるとユーフェは思いっきり上半身を起こした。
「げほっ。げほっ! これ、あと、何回続ける気?」
「吐くまで永遠に」
「そう。でも居場所は教えない。私にメリットがないもの」
ユーフェがそう言うと今度はナナがユーフェの服がない上半身を鞭で叩く。
そのせいでユーフェの体は全身真っ赤になり、ところどころ血が出ている。
「いたい! いたい! もういい! わかったから! もう許して!!」
(私の綺麗な体をよくも。許さないわ愚民共。捜索隊が来たら、物凄い拷問をする。絶対するわ。苦しんでる顔を早く見たい)
自己中心的なユーフェはたった2回の拷問でさえ耐えることができなかった。
ユーフェの瞳からは大粒の涙があふれている。
「どこ?」
「クルザ北部のゲインズ草原で愚民と戦っているはず」
ナナはユーフェのそんな言葉に眉を微かに上げていた。
(愚民。やはりユーフェは国民のことをゴキブリ程度にしか思っていない。なら)
「計画変更。師が決める前に私が軽い罰を用意する」
「待って! そんなのおかしいじゃない!」
ユーフェは慌てて首を横に振るが、ナナは持っていた鞭で再度叩く。
「気がついたらやめてあげる」
「意味が分からないわ! いたっ!」
ナナは思いっきりユーフェの尻を鞭で叩いた。
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