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第2話

さぁ!冒険だ!

第2話


 目が覚めると俺はよく分からない小屋のような所に居た。酔っ払って勝手に入ったんだろうか?何も記憶がない。



外に出ると草原が広がっている。


ーいやいや、外国?酔っ払って外国に来ちゃった??


混乱しつつもう一度小屋に戻り、両頬を強めに叩き、深呼吸して再び外に出た。



外に出ると草原が広がっている。ふと空を見上げるとワイバーンのようなものも飛んでいる。



ーいやいやいやいや、まだ酔ってるかな?オタクの願望みたいなの出ちゃったかな??



余計に混乱した俺は再び小屋の中へ戻り、次は寝ていた布団の中にまで戻って目を閉じた。


五秒数えて、再び目を開ける。


「はっ!夢か!」


そして、もう一度外へ出てみた。


外には草原が広がっている。ワイバーンがギョエエと恐ろしい鳴き声を上げながら飛び回り、どこからか牛を攫って来ていた。


再び小屋の方へ戻ろうとすると、遠くに居たはずのワイバーンがこちらへと向かっているのに気付いた。


ーなんで!?



あまりの急展開についていけず棒立ちになっているとワイバーンの口から火の球が発射された。


「ウソウソウソ!?マジ?!そういうタイプのワイバーン!?」


俺はテンパりつつもギリギリ火の球を躱しなんとか死を免れたが、代わりに小屋は吹き飛んでしまった。


「お、俺の拠り所がぁーーー!?」


しかし、俺がショックを受けてる間にもワイバーンは近付いて来ている。何か無いかとポケットを探ろうとした時何かが手に引っ掛かり、咄嗟に俺はそれを構えた。


S&WのM19に似た作りのリボルバーだ。撃鉄を上げ引き金を引くとデカい発砲音が鳴り、強い反動と共に青い火の弾がすごい勢いで飛んで行き、狙い通りワイバーンの額をぶち抜いてくれた。


意味は全く理解出来ないが助かった。


俺はビビり倒しながらワイバーンの死体へ近付き、何度か蹴ってみて確実に死んでいるのを確認した。


ホッとした途端、不意にBARでの会話を思い出した。


「もしや?俺は提示した条件で異世界へ来たのでは??」


「パンパカパーン!正解です!っていうか、遅い!気付くのが遅過ぎるよ!」


誰に言うでもなく呟いたのに、返事が返って来た。


「まだ疲れているらしいな。とりあえず、夢にしろ異世界にしろせっかくだし街を目指そう。」


「うぉーーい自然なかたちで無視すんなー!我、妖精ぞ?!お主のガイドをする妖精ぞ?」


どうやら異世界のガイド妖精が話し掛けて来ていたらしい。周りを見回すと手の平サイズの羽が付いた少年のような少女のような見た目の妖精が飛び回っていた。


「ふふん!ようやく気付いたようね!私の名前は、チッチキ・チィ!あなたの担当になったガイド妖精よ!」


なんだその一発ギャグめいた名前は、と思ったが言わずにおいた。


「ふーん?それでチッチキさんは何で俺を異世界へ連れて来たんですか?」


「ちょっと、いきなりファーストネーム呼びは失礼じゃない??初対面なんだから距離感もっと大事にしてね?」




「チッ、うるせぇーな……撃ち落とすぞ。と心底思ったが俺は大人なので声には出さず改めて、何故異世界へ連れて来たのですか?と訊ね直した。」



「で、出てるよ!全部声に出てるよ!恐ろしい人間だな、キミは!ま、まぁ、良いや。よくないけど。とにかくキミがここに来たのはこの世界の神様と契約を交わしたからだよ!覚えてない?」


そう言われると、最後にそんな事を言われた気はする。まさか神様と呑んでいたとは。


「となると、このリボルバーもその契約で得たものって事か?」


「うん、そうだよ!さすが、理解が早いね!小屋に何度も入り直してる時は狂ったかと思ったけど。あ、そうそう、他にも説明しなきゃならない事があってね!ステータスって叫んでみて?」


ほぉ?これは所謂ありがちな奴か?ゲームの世界にみたいなやつか???


期待を込めて俺はステータスと叫んだ。しかし、何も起こる様子はない。


「何も起きないが?」


「うん、そうだよ?ステータスって言って貰っただけだもん。」


コロス。この野郎大人を舐めやがって。


俺は自然と銃を構える。


「た、たんま!ちょっとマジでストーップ!ね?ちょっとしたお茶目でしょ?妖精ってそんなもんだから!ごめん!ごめんって!ステータスオープンでステータス見れるから!ホント命賭けても良い!」


半信半疑でステータスオープンと唱えるとゲームのステータス画面のような表示がARのように浮かぶ。


 レベル15

 HP1500/1500

 MP3500/3500


 ちから 15

 かしこさ 35

 すばやさ 15

 まもり 15

 しんこう 10


 スキル:なし


 ユニークスキル:ガンマン

インベントリ


 パッシブスキル:疾病無効

         言語理解

         ガイド妖精


「ふむふむ、見れたようですね!他にも教える事はありますが、日が沈んでしまうのでとりあえず、街へ向かいましょう!」


俺が答えないうちから妖精は勝手に俺を先導し始め、こうして俺の旅は雑に始まった。





 街に向かうまでの道中、チッチキはユニークスキルやパッシブスキルについて教えてくれた。


ガンマンのスキルは銃に込めた魔力を放つユニークスキルらしい。銃自体も好きに作れるらしいが、残念なことに現在のレベルだと魔力量的に銃は作れないらしい。リボルバーは神様が持たせてくれたもののようだ。


次に、インベントリだが、これは物を収納出来るスキルだそうだ。こちらは魔力を使わずに使用出来るらしい。条件として設定した記憶が無いので訊いてみると、餞別としてくれたんじゃない?と雑に言われた。


疾病無効や言語理解は読んで字の如く、疾病を常時無効化するスキルと言語を理解出来るスキルだ。


そして、ガイド妖精。異世界への来訪者には、トラブルの予防のために常にマンツーマンでガイド妖精が付いて回るのが決まりだそうだ。

他の者には見えず念話での会話も可能なのでほぼ異世界人とバレずに暮らせるらしい。

他にも異世界ネタが分かるので寂しさが紛らわせて、安易に恋人をたくさん作ろうとしなくなるとかそういう効果もあるらしい。


と、まぁ、そんな説明を聞きながら歩くこと1時間ようやく遠目に何か建物的なものが見えて来た。


「あともう1時間くらい歩けば着きそうだ。見慣れない風景だからか、意外と疲れないもんだな。」


何気なく俺がそう言うと、チッチキがいきなりクワッと近寄って来た。


「ですよね!!それが普通ですよね?!聞いて下さいよ!」


チッチキの勢いに気圧されてしまい、俺はつい頷いてしまう。すると、チッチキ怒涛の愚痴が始まった。


「私ね、最初は勇者の資質がある高校生を日本の地方都市から勧誘して来ていたんですよ!地方都市の方が自然も多いし、親和性高そうじゃないですか?それで、契約して連れて来たのに!連れて来たのにですよ!?30分も歩かないうちに座り込んで何を言ったと思います!?『クルマ無いの?』ですよ!?信じられませんよね!?高校生だろ、歩けよ!それで私ブチ切れちゃって異世界の記憶消して日本に送り返しちゃったんですけど、それで怒られちゃって。絶対私悪くないですよね?それにアイツ私の事なにを勘違いしたのか口説こうとしてくるんですよ?もし人間同士ならコンプラ案件ですよ!?何で私が怒られるんですかね、おかしくないですか?!」


そんな感じでチッチキの愚痴はひたすら1時間続いた。

妖精がコンプライアンスを気にしたり、高校生が車社会に慣れ過ぎて歩けなかったり妙にファンタジー感は台無しだが、小気味良く続く愚痴のおかげで飽きずに街まで歩けたので良しとしよう。


街に近付くと馬車が3台ほど並んで門が開くのを待っていたので、俺がその後ろに並ぼうとするとチッチキが呼び止めて来た。


「ちょ、ちょっと待って!そっちは馬車用だから!歩きの人はこっちの小さい門の方!!馬車を使うのは貴族か大きな商人が多いから関わるとロクな目に遭わないわよ!」


めちゃくちゃガチめに怒られたので素直に従い、小さい門の方へ行き、門番に名前と来訪の理由を答えて無事に街へと入った。


「(ここからは念話で話をするわよ。まぁ、狂人と思われても良いなら普通に会話しても良いけどね。)」


「(なるほど。気を付けよう。ところで手っ取り早く身分証をただでくれる冒険者ギルドとか無いの?)」


「(保証金は掛かるけど冒険者ギルドはあるわよ。案内するわね。)」


そうして、俺は初めての街で冒険者ギルドへと歩き始めたのだった。


冒険者ギルドのホールには二、三人ほどしか人が居らず、閑散としていた。


「ようこそ、冒険者ギルドへ!ご用件はこちらの受付で伺いますよ!」


ボーッと立っていたら愛想の良さそうな男性が声を掛けて来たので、冒険者として登録したい旨を伝えた。


「でしたらまず、冒険者ギルドについての説明から始めますね。冒険者ギルドはその名の通り、冒険者たちの互助会です。つまり、商人ギルドや鍛冶ギルド等の他の同職ギルドと同じく、厳格に品質や価格を守る必要があります。ここまではよろしいですか?」


深く考えていなかったが組織である以上仕方ない事だろう。


俺は頷いて続きを促す。


「当ギルドでは、最低はFから最高はSまでのランク制を設けており、それにより品質管理を行っています。またFからDランクは仮登録者として常時依頼のみを受けて貰っています。マイスター資格を持つAランク以上の冒険者が同行する時のみクエストを受ける事が可能ですが基本的には無いものとお考え下さい。」


「そうなると本登録には何が必要なんだ?」


「極端に言うと、保証金の1万ゴールドを支払い、試験に合格さえすれば本登録可能です。ですが、ほとんどの冒険者は常時依頼の報酬から少しずつ保証金分の支払いを行って試験を受けています。」


「ちなみに1万ゴールドってどれくらいのものを買える額なんでしょうか?」


俺はあまりの衝撃につい敬語になってしまったが、仕方ない事だと思う。そもそも無料だと思っていたからな。


「そうですね。王都で家を一軒、このスタードの街ですと二軒買えるくらいの額ですかね。もちろん、調度品等込みでの話ですが。」



た、高っ!?嘘でしょ!?え!?冒険者ギルドに登録するだけでもう一生の買い物じゃん!?


「依頼等はこちらの冒険者ギルドで仲介しておりますので、何か冒険者側に瑕疵があれば必ず損害を補填しなければならないのでそれくらいは必要なんですよ。ちなみに、他の同職ギルドでも大抵そのくらいですよ。」


「え、えっと、とりあえずじゃあ仮登録で……。」


「かしこまりました。仮登録自体は無料ですが、仮登録中はギルドの利用時に手数料を頂く事になっておりますがよろしいでしょうか?」


「問題ないです!」


から元気で返事をし、書類に必要事項を書いて仮登録を済ませた俺はそそくさとギルドを出た。


異世界でもやっぱり金かぁ、と思いつつ俺はチッチキに宿屋まで案内して貰った。

初日なので二話投稿してみました。

ストックは無いです。

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