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第1話

BARって少し異世界っぽいなと思って書き始めました。

オススメのカクテルは店ごとの特色が出るジントニックです。

第1話


 俺はいつも通り残業を終えて、会社を出た。


普段ならこのまま帰るのだが、何となく酒を呑みに行こうという気になり、スマホで近くのBARを探してみた。


どうやら会社から少し歩いたところにザーゲ、という名前のBARがあるらしい。


呑めるところがどこにでもあるのが唯一都内で働くメリットかもしれないな。


そんな事を考えながら、俺は地図に従って店の前まで来ていた。BARの看板は出ておらず、地下へ続く階段と入り口が施錠されてしまっている雑居ビルしか見当たらない。



とりあえず地下への階段を降りてみると、

中の様子が全く見えない入り口の扉があり、

扉の横には『BAR Sage』と書かれた木製の看板があった。


入り口のライトが点いているので、多分開いているはずだが、扉に拒まれているような気がして入るのを少し躊躇ってしまう。


数刻考えた後、思い切って扉を開こうと手を掛けたが、扉は俺の躊躇いを反映してるかのように重く更に勇気を必要とした。


何とか扉を開くと


ーカランカラン


とドアベルが店内に俺の来店を知らせた。


店内はJAZZっぽい音楽が流れ、足元が少し見辛いくらいに薄暗い。

短い廊下を歩くとバーカウンターとグラスを拭いているマスター、そして、先客の男性が1人居るのが見えた。


マスターは俺に気付いて、「いらっしゃいませ」と落ち着いた声で迎え入れてくれた。

そのまま男性の隣の席へ座るよう手で示し、俺もそれに従って着席する。


マスターからおしぼりを自然と受け取ってから、俺は注文の仕方が分からないという事に気付いた。

注文の仕方まで調べておくんだったと思いつつ、諦めてマスターのオススメを頼むことにした。


「BARに来るのは初めてで……。あの、何かオススメとかあればそれで。」


マスターは少し考える様子を見せながら答えてくれる。


「普段、お酒はどのようなものを呑まれますか?」


そうか、初めて来店した俺の好みを知らないのにオススメなんて出来ないのは当然だ。どうやら俺はテンパってどうかしていたらしい。


「えーっと、普段は甘くて度数強めのお酒とかが多いですね。それと、あのせっかくなので出来ればシャカシャカ振って作るようなカクテルが良いんですけど……。」


「畏まりました。」


そう言ってマスターは次々とバックバーからお酒の瓶を取り出した。

次に人さし指と中指に挟んだ銀の砂時計のような形をした何かへ次々と酒を入れては獅子威のように銀の大きめのコップ?へと更に移していく。


酒を入れ終わると同じくらいの大きさの銀のコップのようなものを被せてシェークし始めた。


ドラマとかでよく見かけるやつだ、と俺は内心興奮しつつ流れるような作業に見惚れていた。


シェークしていた容器のキャップを外し、カクテルグラスへ赤茶色の液体が注がれる。

バーカウンターだけがライトアップされているのもあってまるでカウンターがカクテルの為のステージのように感じた。


「こちらチェリーブロッサムです。甘くて度数の高いお酒なのでご要望に合うかと思います。」


そう言ってスッ、と俺の前へカクテルを出してくれる。


カクテルは確かに甘かったが、度数が高いとは思えないくらい呑みやすかった。


その後、マスターと少し会話をして慣れて来た俺は更に注文を重ね、気付くと先客の男性と話していた。


男性の声は不思議と厳かに聞こえ、俺は酔っているにも関わらず明瞭に受け応えが出来た。


俺は28歳のしがないサラリーマンで、人生に行き詰まりを感じてるんだ、などと愚痴を聞いて貰っていると、突然彼は「異世界に行きたいか?」と聞いて来た。


俺よりかなり歳上に感じる人間からそんな質問をされると思わず、少し驚いてしまったが、条件付きでなら行きたいな、と答えた。


「ふむ、それで条件とはなんです?」


「やっぱり言語は伝わるようにしてほしいよな。あと俺から病気とかが広まっても困るからその辺の対策とか?そうだな、後はまぁ無力だと困るから銃とか使えると安心かな。あ、後しばらく暮らす為の資金もいるか。」


「それらがあれば異世界に行くと?」


何故だか不思議と言葉に力があるように感じる。

それらがあれば俺は今の生活を投げ出して異世界へ行くだろうか?

ふと気付くとマスターが何かカクテルを出してくれていた。


「xyzです。初めてご来店頂いたサービスですのでどうぞ。」


俺はカクテルを受け取り、呑んでみた。

柔らかい飲み口でほんのり酸味を感じる。

そして、ふと、やはり条件さえ整えば異世界へ行くだろうな、と思った。

そう思っていると先客の男性が再び俺に訊ねる。


「それで、どうする?異世界へ行くか?」


「あぁ、俺は異世界へ行くよ。どうせ家族も居ないし、人生は詰んでるし、せっかくなら物語みたいに異世界へ行ってみたいよ。」


「良かろう。契約は為された。アズマ ケントよ、異世界へ旅立つが良い。」


そんな先客の男性の神々しい声を最後に俺の意識は途絶えた。

まだまだ拙い文章ですが、頑張って面白くしていくので応援してください。

否定的なコメントは心の内に留めておいて下さい。

よろしくお願いします。

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