囚われのお嬢さん
こんにちは。
地下室にたどり着いたイケメンに変装したエレナというところから話が始まります。
地下室へと進む道をエレナは小型の拳銃を構えながらゆっくりと進んでいった。
地下室は予想をしていた牢獄というよりは、どちらかといえば豪勢できちんとした客間のような部屋になっており部屋の中でティーカップにお茶を注いでいるきれいに手入れされた金髪のロングヘアの少女を見つけエレナは声をかけた。
「まさか、こんな日も当たらないところに美しい花が閉じ込められているなんて……」
とっさに役に入り込みすぎて出たセリフでエレナは笑いたくなったが、麗人を演じることにした。
「あら、あなたが助けに来たお方?」
少女はそう言って、手に持ったカップを口に当てて、エレナの胸の部分を見てこういった。
「あなた、女性なんですね……でも、とってもすてきだわ…」
エレナはそれを聞き、彼女の隣に立ち指で顎を持ち上げて瞳を見ながらこう聞いた。
「きれいなお嬢さん、君の名前が知りたいな……」
「クリスティーナ。クリスって呼んで欲しい」
クリスと名乗った彼女は目を瞑ってこういった。
「あなたがもし、本当に男の人だったら良かったなぁ……でも、私は満足してる」
エレナは、ふと視線に入ったクリスの首から掛かっているロケットに描かれている剣を持つライオンの絵から隣国の王女であることを確信することが出来た。
エレナはクリスの唇に指をそっと当ててこういった。
「クリス。この続きはここを出てからにしよう。君をここから美しい世界に連れて行ってあげる」
そろそろ役が体にしみてきたのを体感し始めたエレナは、クリスの手をつかんで引っ張って彼女を立たせてこういった。
「さて、スリル満点の旅が始まりそうですね」
エレナは地下室に走って駆け下りてくる、人の音に気が付いて身構えた。人数は数人だが明らかに敵だと感じることが出来た。
エレナは銃をしまい。階段の方に体を向けて敵が来るのを待った。
「さ、クリス。少しの間だけ隠れてくれるかな?」
エレナがそういうと、クリスは無言で頷いてベッドの陰に隠れた。3人のメイドが部屋の中に駆け込んできて、エレナを囲った。手には短剣が握られていて明らかに敵意を向けていた。
「あまり、お嬢さんには手をあげたくなんだけど。仕方がないか……」
エレナはそう言って、大きく伸びをした。その瞬間を狙って正面にいたメイドがナイフを突き刺しに来たが、エレナはそれを足で払いその反動を使って一回転して後ろ回し蹴りで踵をメイドの脇腹に差し込んだ。
痛みに悶えて膝をついたのを見た瞬間に次に、左と右からメイドが襲い掛かってきたが、体を半身にして攻撃を交わして、一人には鳩尾に肘を入れ、もう一人には膝で鳩尾に入れ込んだ。
なすすべなくあっという間に3人を倒したエレナはほっと一呼吸入れて、クリスを呼んだ。
「さて、クリス。行きましょう」
エレナはそう言って、クリスに向かって手を差し伸べた。
クリスはすごくうれしそうな笑みを浮かべて、差し伸べた手に手を置いた。
そして二人は、地下室を後にして地上に出た。
力強くも優雅な足取りで進むエレナとエスコートされてついて行くクリスの足取りはどこか軽やかだった。
最後までありがとうございます。
1500字程度でストーリーを進めていきたと思います。
今後もエージェント・エレナの活躍をよろしくお願いします。