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3.コンビニでエクスカリバーが売られていた時の反応 

 これは巷で話題になっている話のくだりをネタにし、お酒とつまみを飲み食いしながら宴の席ではなした…佐藤君のしょうもない内容の物語である。




3.コンビニでエクスカリバーが売られていた時の反応 


 それは、お昼ごはんを買いに会社近くのコンビニに寄った時の話である。


 「いらっしゃいませー」


 店に入ると、いつもと変わらないこの掛け声を耳にする。


 ただトイレを借りるだけで入った時も、ただ休憩スペースでくつろぐだけの時でも、どんな人に対しても「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる…


 『普通』とは無縁の生活を送っているボッチ…僕、佐藤からしてみれば「いらっしゃいませ」という掛け声は、今、ここに僕がいることを肯定してくれる…いわば最高の誉め言葉のように感じている。


 さらに言うと、この時間店番をしている中年のおじさんはいつも僕のことを気にかけてくれて、レジで商品の会計をお願いすると、それが終わるまで世間話をしてくれる。


 内容は、僕と同じ年になっているという息子さんの話がほとんどだったのだが…


 即ち、僕にとってのコンビニは天国のような場所なのである。


 そんなコンビニ愛を回想している時、事件は起こった。


 目の前に、岩に刺さった一本の剣が置かれていたのだ。


 前にも、コンビニなのにパソコン数台が堂々と店内に置かれていたり、スノーボードや競泳用水着などのスポーツ用品を置いていたこともあったが、これはさすがにビビった。


 「店員さん、そこに刺さってる剣はなんですか!?」


 僕は恐る恐る聞いてみた。すると


 「ああ、聖剣エクスカリバーって商品だよ」


 即答だった。


僕は予想通りの答えに、口を開けて唖然とした。


「なんでも、琵琶湖の底から見つかったらしくてね、国からたまたま調査を依頼されたダイバーさんが見つけてくれて、わしに仕入れさせてくれたんだよ」


「え!?なぜにおじさんに直で仕入れさせてくれたんですか!?」


おもわず疑問が口から飛び出てしまった。


ここが一番の疑問だからだ。


「わしがこのコンビニグループの会長だから、わしが気になった商品はどんなのでも国の法律に反さない限り置いてもいいんじゃよ」


 あっさり答えられた。


そして、おじさんがこのコンビニの会長という超爆弾発言を耳にすることになった…


当然、おもわねぶっちゃけ話を2つも聞いたせで、魂が僕の体が抜けていくような…そんな気がした。


僕は言及してないのにおじさんの話は続いた。


「その剣を抜こうとしたんだけどね、びくともしなくてね、値段のつけようがないから抜くことができた人にあげようって考えてるんだ」


「へー…」


もう言葉を返す気にならなかった僕は、昼ご飯を手に取り、会計へと足を運んだ。


「んじゃ僕これで失礼しますわ、ではこ…」


僕は気力が何もかも抜けていったのでさっさとこの場を切り抜けようとした時、こころないおじさんの容赦ない一言が炸裂する。


「戻る前にいっぱつ…抜いていかないか!?」


この言葉を聞いた時、僕は完全にドン引きした。


「え!?おじさんとなんてやりませんよ。僕の恋愛対象は女性ですから」


ドン引きしながらも、しっかりと僕の気持ちを伝えた。


おじさんは気が抜けた表情を一瞬見せた後、我に戻りこう…弁明した。


「い、いや、聖剣エクスカリバーの話だから。言ったじゃん、剣を抜いた人にプレゼントするって…」


「あ、そそそ、そうでしたね」


僕はやっと意味を理解することに成功した。


聖剣エクスカリバーがなかったら、ただのド変態おじさんのように見ていただろう…



まあ、どうせ誰にも抜けないんだから僕には抜きとることなんて無理に決まってる…



そう思っていたので、試しに剣を抜いてみることにした。


「おじさん、どうせ無理なんだか…」


僕がこう言い放った直後、剣がまるで細い木の棒を拾ったかのようにすっぽりと抜けた。


「ま、まじかよ。それじゃあ君にプレゼントだね」


僕は突然のことに思わず腰が抜けた。


そして、気を失った…




あれから30分後、昼休みが終わりに差し掛かった時に、僕はコンビニの休憩スペースで目が覚めた。


「き、きみ、大丈夫かい!?」


おじさんは気が動転したのか、僕を運び込んだ後、バニーガールの衣装を着て膝枕をしていた。


聖剣は重かったらしく、僕が気を失った場所に放置したとのことだった。


だが、この状況は…耐えることはできなかった。


「ありがとうございます。あと、その趣味…やめた方が息子さんのためですよ」


色々と疲れ果ててしまった僕は、こころにもないことをおじさんに言ってしまった…


「そ、そうだ…ってあれ!?なんでわしがバニーガール…しかも膝枕してたんだ!?」


僕の一言を聞くと、おじさんは我に返った。


おじさんも頭の中が混乱していたようだった。


「それじゃ僕、仕事戻りますね。」


「それならあの聖剣持って帰ってくれないかな」


知らないふりをして帰るつもりだったのに、おじさんは忘れてもいいような肝心なことを忘れてはいなかった。


「は、はい…にしてもこれどうしよ…」


僕は迷った。


エクスカリバーは1メートルを超える大きい剣だったからだ。


当然、会社に持って帰ったら上司からのお叱りと警察からの職務質問が待っている…


「それね、ソードって叫ぶとペンダントになるって説明書に書いてあったよ」


「え!?説明書!?これってもしかして…ってもう時間だ。ソード!!それじゃ戻ります。ありがとうございます」


「それから…て、ちょっと待って…」


僕は思い当たる節があったが、勤務に遅れそうだったので職場に大急ぎで戻った。


 この後、おじさんの話を聞かなかったせいで後悔することになる…




 戻る途中のエレベーターにて…


 「ねえねえ、ソードアートオフラインって作品みた!?」


 「うん、特に主人公がか…ぎゃ~~~」


 この悲鳴とともに、僕の聖剣が通常サイズに戻った。


 ほかの人が「ソード」と口走るだけでも剣が通常サイズに戻るくそ仕様だということにここでぼくは気づいた。


 「す、すみません、ソード!!これで大丈夫です」


 「気をつけろよ!そー、DQNに昨日か…」


 聖剣が通常サイズに戻った…


 「すみませんすみません」


 この後も、二人が話し出すたびに剣は通常サイズに戻り続け、僕はその都度あやまるという一種の懺悔大会的なものが始まった…




 エレベーターから部署までの通路にて…


 目の前から女性二人が…

 

 「今日仕事終わったらサンディーワン行かない!?」


 「いいね~、そーそードライアイスで…ぎゃ~~~」


 聖剣が通常サイズに戻った。


 「すみませんすみません」


 


 やっと戻ってきた配属されている部署にて…


 上司から


 「佐藤君、おそかったね。どうだい!?」


 「すみません、コンビニで倒れてまして…」

 

 「コンビニで倒れた!?そ~どれどれ…」


 上司からの優しい一言が、命取りになった…


 聖剣が通常サイズに戻ったのだ…


 「さ、佐藤君…その剣どうしたんだね!?」


 「い…いや、その…」


 僕は包み隠さず全てを話した。


 その後、全てを聞いた上司からこう…通告された。


 「佐藤君、すまんが部署を異動してくれないかね!?」


 僕の心が凍りついた。


 「え!?じょ、冗談ですよね…」


 「本当に申し訳ない。部下がそのエクスなんとかっていう剣を見て怖がってるんだ」


 「明日は家に置いてきますって…」


 「それでも、一度やってしまったことにやり直しは聞かない。防具を取り扱ってる部署に推薦状出しておくから異動届書いておきなさい」


 冗談かと思ってかえしたら、なんかド正論で返された。


 この時、僕は思った…仕事人生終わったな…


 それから、上司や同部署にいる人全員に誤ったが、いっしょに働いていた同期のつとむ君以外、許してくれる気はみじんもなかった。



 余談だが、僕が立ち寄ったコンビニは変なものが時々売っていると巷では有名な所で、

僕以外のお客はほとんど寄り付かないそうな…


 聖剣エクスカリバーのせいで社内の風紀が乱れ、混乱したと社長に訴えたところ、そのコンビニは社長自ら買収し、変な商品と店員のおじさんは姿を消した…



 このことを知ったのは家に帰ってきてからの事だった。



 おじさんがバニーガールの衣装を着て膝枕をしたのはなぜだったのだろうか…




 不思議な体験をした挙句に部署を異動させられたということは僕以外、まだ誰も知らない…











 聖剣エクスカリバーはその後、冷たいメロンソーダに一日浸して置いたら自分の思うように扱えるようになりました。


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