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1.駅で見かけた猫がしゃべった時の反応

 



 これはちまたで話題になっている話のくだりをネタにし、お酒とつまみを飲み食いしながら宴の席ではなした…佐藤君のしょうもない内容の物語である。






 1.駅で見かけた猫がしゃべった時の反応


 それは電車が止まって会社の上司と電話をしていた時の話だった…


「すみません、電車が遅れてしまったので会社遅刻します」


「はい、了解しました。気を付けてきてくださいね」


「ありがとうございます。失礼しま」


 その時事件は起こった。突然僕の元に可愛い子猫が近づいてきたのだ!


 この時気づいていればよかった、上司との電話を切っておけばよかったということを…


「うわあ~、ねこ~~~、可愛い」


「佐藤君、どうしたのかね」


 子猫が僕の足元に駆け寄り、頭をこすり始めた。


「癒されるわ~~」


「お~い、佐藤く~ん」


 その後、猫は僕の足元で横になった。普段、猫は安心できるところでしか横にはならないのだ。すると突然聞き覚えのないおっさんの声が耳に入ってきた。


「そこの若旦那、酒一本かってきてくれね~か」


「え?だれ?」


 問いかけると横になっている猫の口が動き僕に向かってこういった。


「おれだよ。あ、ちっさくなってるからわかんね~か。へっ」


「佐藤くん、急にどうしたんだい!?」


 僕は気づいた…子猫がしゃべっているということに!!

 もちろん、上司の声は僕の耳には入っていない。


 ここで普通の人なら「え~~~!?ねこがしゃべった~~~~!?」となるのだが、僕はこう答えてしまった…


「は!?きもっ…」


 言葉を放った瞬間、辺りは静まった…


「おい、どういうことなんだ!?私の頭がつるつるだからそういっているのかね」


 当然、上司との電話は切ったと思い込んでるので聞こえてはいなかった。


「え…きもい!?そ~か…そうだよな…」


 子猫は突然くらくなって独り言を語り始めた…

 

「そうだよ…僕は小さいころから顔がきもいだのブスだの散々言われて…挙句の果てには親にも言われたんだよ、ひどくない!?そんで神待ちした時に知り合った女の子とできちゃった婚してさ、一年経ったら子供連れて家でていかれたよ…置手紙には探すんじゃねーぞ女たらしキモヲタって書かれてたし、そんで務めていた会社もリストラされるわ家追い出されるわ公園で寝てたらヤンキーに絡まれてぼっこぼこにされるわ駅で野宿し始めたら毎日飢えてしにそうになるし、さんざんだよ…だから電車きてるホームにとびこんだらこんなちっさい体になって、この世界にいる最後の時間を謳歌しようと君に話しかけたらきもって言われるし…まじでなんなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 独り言を終えた時、猫がびくともしなくなった。


「おい…おい、しっかりしろ…おっさん」


「お…おっさん!?佐藤君はそんなこと言う人だと思わなかったのに…」


 上司の声はぼくにはまだ届いていない…


「…」


「おい、まじで死んじまったのかよ…」


「私を勝手に殺さないでよ…」


 もう一度言うが、上司の声はまだ届いてはいない…


「おっさん、僕の足元にしたい置かれても困りますって…」


「…(怒)」


 僕の知らない間に、上司はだんだん怒りを募らせていった…


「おっさん!!!」


「…(怒)」


「おっさん!!!!」


「…(怒)」


「おっさん!!!!!!」


「佐藤君…!?(怒)」


 僕の名前を呼ばれた時に気がついた…上司との電話を繋げっぱなしにしていたことに


 そして大きな怒鳴り声が辺りに響き渡った…


「い…いい…いいかげんにしろよクソガキが!!!!!さっきから話聞いていたけどよ、ふざけんなよ、私が禿げてるからって、歳とってるからって…上司に向かっておっさん呼ばわりはね~だろぁあ~~~??なんか文句あるならいってみろよ、今お前の部署変更届出してきたから…」


「す、すみません…おっさん声のこねこと…」


「はぁ?てめえなめてんじゃね~ぞ、もういい、お前は俺の部署くびだ!!プチッッ」


 電話が途切れた…僕の仕事生活終わったな…


 無事に会社につくとさっき話してた上司から異動命令の紙を渡された。


 僕は必死に謝ったのだがゆるしてはくれなかった。


 きもいと直属の後輩から言われたことが一番のショックだったらしい…


 余談だが、電車が遅れたのは佐藤君のいた駅で人身事故がおきたからで、なくなったのは住所不定のホームレスの男性だったそうな…



 このことを知ったのは家に帰ってきたときのことだった。





 不思議な体験をした挙句に部署を異動させられたということはまだ誰も知らない…



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